「もう補助はいらない」と追放されました。──三人だけでも勝てた? よかった、これなら安心ですね
「セレスタ。悪いけど、ここから先は俺たち三人で行く」
古代遺跡の薄暗い通路で、セレスタは胸に抱えていた魔導書をわずかに強く握りしめた。
「えっ……三人で、ですか?」
「ああ」
剣士のガレスは気まずそうに視線を逸らした。その隣に立つ魔法使いのノイルと、弓を背負ったネリスもまた、セレスタと目を合わせようとはしない。
「最近の俺たちなら、もう補助なしでも十分やれると思うんだ。いや……セレスタの補助が役に立ってないって言ってるわけじゃないぞ」
「でも、実際に魔物と戦って倒しているのは、ほとんど私達三人でしょう?」
ネリスがそう続けると、ノイルも静かに口を開いた。
「それに報酬のこともあるからね。Dランクになって一件あたりの報酬も増えてきた。今まで通り四人で均等に分け続けるのが本当に適切なのか、一度考えてもいいと思うんだ」
「……そう、ですね」
セレスタはそれ以上、言葉を重ねられなかった。
自分が敵へ直接剣を振るうわけでも、最後の一撃を放つわけでもないことは、誰より自分が知っている。それでも、この半年間は自分なりに三人の役に立とうと尽くしてきたつもりだった。
「それに私達、元々三人だったんだし」
ネリスが何気なく放った言葉に、魔導書を抱いていたセレスタの指が止まった。
この半年間、何度も一緒に依頼へ向かった。失敗した日も成功した日も、依頼を終えれば四人で食事を囲み、くだらない話をしながら笑い合った。
そして、Dランクへ上がったあの日。
『四人で上がろうぜ』
ガレスは確かに、そう言ってくれた。
「……私は」
押し込めようとした声が、わずかに震えた。
「私は、もう皆さんの仲間になれたと思っていました」
三人は答えない。
何か言ってくれるかもしれないと期待してわずかに待ったが、誰からも言葉は返ってこなかった。
「……四人で、Cランクを目指そうって……そう言ってくれたから」
それでも返事は返ってこない。
薄暗い遺跡を満たす沈黙だけで、セレスタには十分すぎるほど答えが伝わってしまった。
◇
半年前──。
「おめでとうございます! 本日付で、皆さんはEランク冒険者へ昇格です!」
冒険者ギルドの受付嬢から三枚の冒険者証が差し出された瞬間、ガレスは嬉しさのあまり拳を突き上げた。
「よっしゃあ!」
「やっとだね。思ったより時間がかかったけど、悪くないんじゃないかな」
「最初の頃なんて、薬草を探すだけで日が暮れていたものね」
「それは言うなよ!」
楽しそうに笑い合う三人を見て、受付嬢も微笑んだ。
幼い頃から一緒に過ごしてきたガレス、ノイル、ネリス。失敗や怪我を繰り返しながらも三人で依頼をこなし続け、ようやく最低ランクであるFランクを抜け出したところだった。
「ただ、さらに上を目指されるのでしたら、パーティメンバーをもう一人増やしてみませんか? 現在の構成ですと、誰か一人が崩れた際の立て直しが難しいんです」
「もう一人かぁ……」
ガレスは露骨に渋い顔をした。
「俺たち、ずっと三人でやってきたからなぁ」
「今のところ大きな問題もないし、急いで増やす必要はないんじゃないかな?」
「私も二人に賛成。知らない人が急に入ってきても、連携しづらいでしょう?」
三人が揃って難色を示したため、受付嬢は少し考えてから別の案を出した。
「それでしたら、正式加入ではなく、まずは臨時で一人入れてみるのはいかがでしょう? 支援魔法と術式解析を得意とする優秀な魔法使いで、セレスタさんという方がいるのですが──」
こうして三人は、たった一度だけ試すつもりでセレスタと依頼を受けることになった。
そして、その一度目の依頼で三人の考えは大きく変わることになる。
「ガレスさん、右から来ます!」
「右!?」
茂みを激しく突き破り、大型の魔物が飛び出してきた。
ガレスが振り向いた時には、すでに鋭い爪が目前まで迫っている。回避が間に合わないと誰もが直感した瞬間、後方にいた帽子姿の少女が素早く魔導書を開いた。
「魔導付与・疾風迅雷!」
セレスタの魔力が三人を包み込む。
「うおっ!?」
直前までとは比べものにならないほど身体が軽くなり、ガレスは間一髪で爪をかわした。その勢いを殺さず、すれ違いざまに魔物の胴へ長剣を叩き込む。
「ノイルさん、今です!」
「っ! 爆炎弾!」
炎が魔物の身体へ直撃した。
それでも倒れず、怒り狂って再び突進しようとする相手を見たセレスタは、すぐさま次のページを開く。
「闇影の束縛! ネリスさん、首の右側です! そこだけ外皮が薄くなっています!」
「分かったわ!」
足元から伸びた影が魔物の動きを止めたわずかな隙に、ネリスの矢が首元へ深く突き刺さる。そこへガレスが踏み込み、長剣を急所へ叩き込んだ。
大型の魔物が地響きを立てて倒れ伏すと、三人はしばらく呆然とその巨体を見つめていた。
最初に沈黙を破ったのはガレスだった。
「……すっげえ! セレスタ! 今の何だよ!?」
「えぇっと……今のは身体能力と魔力循環を一時的に高める補助魔法です。ノイルさんの魔力の流れも、少しだけ整えていました」
ノイルが驚いたように自分の手を見つめる。
「そんなことまでできるのか。確かに、いつもより魔力を扱いやすかった気がするよ」
「私は皆さんの力を引き出しただけですよ。元々の力がなければ、ここまで上手くはいきません」
セレスタは帽子のつばへ手を添えながら、少し照れくさそうに笑った。
「いや、めちゃくちゃ助かった。ありがとう! なあセレスタ、次の依頼も一緒に来てくれないか?」
「っ……はい! よろしくお願いします!」
その日の夕方、依頼の報告を終えたセレスタは、ギルドを出たところで三人へ丁寧に頭を下げた。
「今日はありがとうございました。次の依頼、楽しみにしておきますね。それでは、私はこれで」
「あ、ちょっと待ってくれ」
ガレスに呼び止められ、セレスタは不思議そうに振り返る。
「え?」
「俺ら、今から飯食いに行くんだけどさ。初めて四人で依頼成功したんだし、セレスタも来ないか?」
「……私も、ですか?」
思わず聞き返すと、ネリスが小さく笑った。
「ええ。セレスタが良ければだけど。四人で受けた依頼を達成したんだから、四人でお祝いした方が楽しいじゃない?」
「それに、今日一番働いたのはセレスタなんじゃないかな。僕も色々と聞いてみたいことがあるんだよね」
「一番は俺だろ!」
「最後にトドメを刺しただけでしょう?」
「お前なぁ!」
いつもの調子で軽口を叩き合う三人を見て、セレスタは少しだけ目を丸くした。それから、帽子のつばを押さえながら柔らかく笑う。
「……はい。では、ご一緒させてください」
その日の食事は、セレスタにとって時間を忘れてしまうほど楽しいものとなった。
一度きりだったはずの臨時加入は、二度、三度と重なっていった。
森で魔物を討伐し、洞窟では素材を採取し、時には商人を隣町まで送り届ける護衛も請け負った。依頼が終われば四人でギルドへ戻り、報酬を受け取った後はその日の出来事を話し合いながら食事をする。それがいつしか、誰から言い出すでもない当たり前の日常になっていた。
一緒に戦う時間が長くなるにつれて、セレスタは三人の戦い方だけではなく、それぞれがどんな時に危険へ陥りやすいのかまで自然に覚えていった。
三人には、目の前の敵との戦いだけに集中してほしい。
そのためにセレスタは後ろから全体を見渡し、誰かが危険に陥るより先に必要な支援を届けるようになっていた。
「ガレスさん、二歩下がってください!」
「おう!」
「ノイルさん、まだ撃たないでください!」
「分かった。君の合図を待つよ」
「ネリスさん、左です!」
「任せなさい!」
ガレスが踏み込もうとする頃には身体強化を施し、ノイルの魔力循環にわずかな乱れが生まれれば、本人が違和感を覚えるより先に整える。ネリスが狙いを定められずにいれば敵の動きと外皮を見極め、矢を通せる場所をすぐに伝えた。
三人が見落とした危険を拾い上げ、それが戦況を崩す原因になる前に取り除いていく。それがセレスタの戦い方だった。
ある依頼の帰り道、ガレスが満足そうに笑った。
「俺ら、結構いいパーティになってきたんじゃね?」
「まだEランクだけどね」
「そういうところで水差すなよ、ノイル」
「でも、前よりずっと戦いやすくなったのは本当だわ」
ネリスがセレスタへ視線を向ける。
「セレスタが入ってから、危ない目に遭うことも減ったもの。ありがとう」
「……いえ。皆さんが強いからですよ」
「またそれ?」
ネリスが呆れたように笑った。
「セレスタって、本当に自分のこと褒めないわよね」
「だって、本当のことですから」
四人の笑い声が重なった。
二か月ほど経った頃には、別のパーティと合同で依頼を受ける機会もあった。
その日の討伐を終えた後、合同パーティの魔法使いが驚いた様子でセレスタへ声をかけた。
「セレスタさん、さっき俺の魔力循環まで補助してくれましたよね?」
「はい。少し乱れていましたので」
「あれ、すごく助かりました。自分の魔法なのに、普段よりずっと扱いやすくて」
「お役に立ててよかったです」
嬉しそうに礼を言う青年の横で、ガレスも感心したように笑った。
「セレスタって、他の奴にも同じことできるんだな」
「はい。範囲内でしたら、ある程度は」
「やっぱり、セレスタって便利だなぁ」
ガレスに悪気はなく、セレスタもその言葉を気に留めなかった。
合同パーティの魔法使いだけは、そんな二人を見比べながら何か言いたそうにしていたが、結局その場で口を挟むことはなかった。
一方で、ガレスたち三人も、決してセレスタの支援だけに頼っていたわけではない。
ガレスは毎朝欠かさず剣を振り、ノイルは新しい術式を学びながら効率のいい魔力運用を模索していた。ネリスも射撃の精度を高めようと、依頼のない日まで弓を握っている。
その積み重ねは少しずつ結果として現れ始め、三人はFランクだった頃とは比べものにならないほど確実に強くなっていった。
だからこそ、全員でDランクへ昇格した日、セレスタは自分のことのように喜んだ。
「次はCランクですね」
「おう!」
ガレスが差し出した拳へノイルとネリスが重ね、少し遅れてセレスタも嬉しそうに自身の拳を添える。
「四人で上がろうぜ」
その一言に、セレスタがぱちりと瞬きをした。
「……四人で?」
「当たり前だろ。ここまで来たんだから、次も四人で行こうぜ」
「僕も異論はないね。今さら別の構成に変える理由もないんじゃないかな」
「そうね。ここまで来たんだもの。次も四人でランクアップしたいわね」
三人の言葉を聞いているうちに、セレスタの表情が少しずつ明るくなっていった。
「はい!」
正式に「仲間になってほしい」と言われたわけではない。
けれど、もうそんな言葉は必要ないのだとセレスタは思った。
“ 次も、四人で ”
その約束だけで、自分も三人と同じ場所に立っているのだと信じるには十分だった。
◇
四人で依頼を受けるようになってから、四か月ほどが過ぎた頃。
それまで当たり前に交わされていた言葉が、少しずつ聞こえなくなっていった。
──最初に消えたのは、「ありがとう」だった。
「魔導付与・疾風迅雷!」
補助を受けたガレスが一気に間合いを詰め、魔物の首を綺麗に斬り落とす。
「よし! 毎朝剣振ってる成果が出てきたな!」
「ガレスさん、今の踏み込み、とても綺麗でした!」
「だろ?」
毎朝欠かさず剣を振ってきたガレスの努力を、セレスタは知っている。実際、以前の彼であれば同じ支援を受けても、今ほど鋭く踏み込むことはできなかっただろう。
だから、ガレスが自分自身の成長を喜ぶ姿を見ると、セレスタも素直に嬉しかった。
──次に消えたのは、「お願いします」だった。
「セレスタ、補助」
「はい」
「ノイルの方も頼む」
「分かりました」
「こいつ止められる?」
「少しだけなら──」
「じゃあ早く」
「はい」
三人が安全に戦えるのなら、それでいい。頼られていること自体は嬉しかったため、言葉遣いの小さな変化を深く考えることもなかった。
◇
ある夜、依頼を終えて宿へ戻った後も、セレスタの部屋だけは遅くまで明かりが消えなかった。
「……やっぱり、ここですね」
机の上に魔導書を広げ、昼間の戦闘を思い返す。
最近のノイルは、爆炎弾を発展させた上位魔法、爆炎砲を使うようになっていた。
威力は以前とは比べものにならない。それはノイル自身が努力して完成させた立派な成果だったが、高出力の魔法を続けて使った時だけ、魔力の巡りに小さな乱れが生じている。
本人はまだ気づいていなかった。
「なら、この部分を変えて……こちらへ余分な魔力を逃がせば、ノイルさんも楽になるはずです」
セレスタは普段使っている支援術式を少しずつ組み替えていった。一度書き直しては魔導書と照らし合わせ、気になる箇所があれば再び修正する。
納得できる形へ辿り着いた頃には、すでに夜はかなり更けていた。
翌朝は睡眠不足が響き、集合時間へわずかに遅れてしまった。
「セレスタ、遅いぞ。支援役が寝坊してどうすんだよ」
「ごめんなさい。少し調べ物をしていて……」
「そういうの、依頼が終わってからやってくれよ」
「……はい。すみません」
誰のために夜更かししていたのか、セレスタは言わなかった。
その日の戦闘で、ノイルは爆炎砲を立て続けに三度放った。
普段なら二発目を越えた頃から魔力の巡りが重くなり始める。それなのに今日は、三発放っても呼吸がほとんど乱れていない。
昨夜セレスタが組み直した支援術式が、滞りかける魔力を本人が気づくより先に整えていたからだ。
「……やっぱり最近、魔力の持ちが良くなってきたね。爆炎砲を三発撃ったのに、まだ余裕があるよ」
「新しい術式に慣れてきたんじゃねえの?」
「そうかもしれないね。練習した成果が出てきたのかな」
楽しげに話す二人の後ろで、セレスタは小さく笑った。
「よかったです」
「ん? 何か言った?」
「いえ。何でもありません」
ノイルが苦しまず、自分で掴んだ新しい力を使えているのなら、それで十分だった。
けれど、戦闘以外の時間でも少しずつ距離が生まれ始めた。
ある日、ギルドで依頼の報告を済ませたセレスタが三人を探していると、受付嬢から声をかけられた。
「セレスタさん、お連れの皆さんでしたら、先ほど出ていかれましたよ」
「え?」
「何かご予定があったみたいですけど……聞いていませんでしたか?」
「……そう、だったんですね」
一人で宿へ戻る途中、賑やかな声が漏れる酒場の前を通りかかった。
何気なく窓越しに中を見ると、そこには楽しそうにジョッキを傾ける三人の姿があった。
「やっぱ三人で飲むと昔思い出すよな!」
「Fランクだった頃は、一杯頼むのにも悩んでいたからね」
「今なら好きなものを頼めるわ。Dランク様々ね」
三人とも楽しそうだった。
セレスタは店の扉へ手を伸ばしかけたが、途中で止めた。
「……今日は、三人でお祝いしたかったんですね」
少しだけ寂しかった。
それでも、三人は幼い頃からずっと一緒に過ごしてきたのだ。自分の知らない思い出もたくさんあるだろうし、たまには三人だけで昔話をしたい夜もあるのだろう。
そう考えることにして、セレスタは一人で宿へ戻っていった。
一方、酒場では酔いが回るにつれて報酬の話が始まっていた。
「Dランクになってから、報酬かなり増えたよな」
「その分、危険も増しているけどね」
「でも四等分でしょう? 思ったより手元には残らないわね」
「まあなぁ」
ガレスは少し考えた後、手元の酒へ視線を落とした。
「……セレスタには助けられてるけどさ。最近の俺らなら、三人でも結構やれるんじゃねえかな」
「僕も、それは少し考えていたよ」
「……私も」
そこで一度、三人の会話が途切れた。
三人が以前より強くなったことは、間違いではなかった。
だからこそ、成功を重ねるほど自信も大きくなっていった。依頼を終えるたびに「自分たちだけでも」という思いは強くなり、四人で報酬を分けることへの不満も、以前ほど簡単には飲み込めなくなっていた。
◇
「皆さん、止まってください」
古代遺跡の通路を進んでいたところで、セレスタが声を上げた。
「この先に術式があります。罠ですね」
「何が起こるんだ?」
「まだ正確には分かりません。少し待ってください」
床へしゃがんだセレスタは、複雑に絡み合う魔力の経路を一つずつ確認していった。下手に刺激すれば、解除しようとした行為そのものが起動の引き金になりかねない。
時間をかけて最後の起点を断つと、床へ刻まれていた魔術文字から光が消えた。
「……大丈夫です。解除できました」
ガレスが警戒しながら石板を踏んだ。
一歩進んでも何も起こらない。さらに進んでも、遺跡の中は静かなままだった。
「……本当に罠だったのか?」
「解除しましたから」
「でも、最初から何も起きなかった可能性もあるんじゃないかしら?」
「魔力の流れがありましたので、間違いなく術式は──」
「まあいいじゃん。何もなかったんだから」
三人はそれ以上興味を示さず、先へ進んでいった。
セレスタは言いかけた言葉を飲み込み、魔導書を閉じてから少し遅れて後を追った。
その先で、四人はDランク上位の魔獣『岩甲熊』と遭遇した。
「ガレスさん、正面から受けないでください! 外皮が硬すぎます!」
「分かってる!」
「魔導付与・疾風迅雷!」
支援を受けたガレスが速度を上げ、岩甲熊の側面へ回り込む。巨体が彼を追って向きを変えた瞬間、セレスタは次の術式を発動した。
「闇影の束縛!」
影が岩甲熊の脚へ絡みつき、その動きを一瞬だけ止める。
「ネリスさん、胸元です! そこだけ外皮が薄くなっています!」
「見えたわ!」
矢が胸元へ深く刺さった。
「ノイルさん、今です!」
「爆炎砲!」
圧縮された炎が矢の刺さった場所へ直撃し、岩のように硬い外皮へ大きな亀裂を走らせる。
そこへガレスが渾身の一撃を叩き込むと、岩甲熊の巨体は大きく揺れ、やがて地響きを立てて倒れ伏した。
「……やった!」
ガレスが力強く拳を握る。
「俺たち、Dランク上位の岩甲熊まで倒せたぞ!」
「僕たちもかなり上まで来たんじゃないかな?」
「この調子なら、本当にCランクも見えてきたわね」
「はい。皆さん、本当に強くなりました」
セレスタは心から嬉しそうに笑った。
その言葉を聞いた三人は、互いに顔を見合わせた。
先ほど倒したのはDランクでも上位に位置する魔獣だ。自分たち自身が強くなっているという実感は、もう十分にあった。
だからこそ、少し先でセレスタが再び足を止めた時、ガレスはその背中へ声をかけた。
「セレスタ」
「はい?」
「もういいよ」
「……え?」
「悪いけど、ここから先は俺たち三人で行く」
セレスタは胸の前で魔導書を抱き直した。
「……私は、もう皆さんの仲間になれたと思っていました」
誰も答えない。
「……四人で、Cランクを目指そうって……そう言ってくれたから」
ガレスの口がわずかに動いたが、言葉にはならなかった。
しばらく待っていたセレスタは、やがてほんの少しだけ視線を落とした。
「……そう、だったんですね」
帽子を少し深く被り直す。
「…すみません。私が勝手にそう思っていただけですから」
顔を上げた時には、いつもの穏やかな笑顔へ戻っていた。
「分かりました。私はここまでにしますね。半年間、お世話になりました」
深々と頭を下げる。
それでも立ち去る直前、セレスタはどうしても気になって奥へ続く暗い通路を振り返った。
「ただ……この先の術式だけは、本当に気をつけてください。まだすべて解析できていませんから、触らない方が──」
「もういいって」
ガレスが少し苛立ったように手を振った。
「ここからは俺たちだけでやるから」
「……はい」
セレスタはもう一度だけ頭を下げた。
「皆さん、ありがとうございました。お元気で」
そして今度こそ、三人へ背を向けた。
◇
一人で遺跡の入口へ引き返しながら、セレスタは胸の奥に残る痛みをどうしても拭えずにいた。
『セレスタも来るだろ?』
『四人で受けた依頼なんだから、四人でお祝いした方が楽しいじゃない』
半年の間に積み重ねた思い出が、歩くたびに浮かんでくる。
そして何より──。
『四人で上がろうぜ』
あの時は、本当に嬉しかった。
これから先も一緒に依頼へ行って、いつか四人でCランクへ上がるのだと思っていた。
「……元に戻っただけですから」
小さく呟いてみても、胸の寂しさは消えなかった。
それでも、これ以上追いかけるべきではない。もう自分は必要ないと言われたのだから、戻ったところで迷惑になるだけだ。
そう思って出口へ向かっていたセレスタだったが、やがて足が止まった。
奥には、まだ解明しきれていない古代術式が残されている。それだけでも心配だったが、半年も一緒に戦ってきたセレスタには、危険な状況で三人がどんな行動を取りやすいのかまで分かっていた。
ガレスは目の前の敵へ集中すると周囲や足元への警戒が薄くなる。ノイルは追い込まれるほど威力の高い魔法を重ね、ネリスも確実に狙おうとするほど必要以上に前へ出てしまう。
「……大丈夫、でしょうか」
しばらく迷った末、セレスタは小さく息を吐いた。
「……半年も一緒にいたんですから。今日一日くらい、余計なお世話をしてもいいですよね」
陰から様子を見て、三人だけで問題なく進めていると確認できたら、今度こそ帰ろう。
そう自分へ言い聞かせながら、セレスタは静かに来た道を引き返した。
そして戻った先で目にしたのは、先ほど四人で倒したものと同じ岩甲熊を相手に苦戦する三人の姿だった。
「くそっ! なんだこいつ! さっきのやつとは動きが違いすぎるだろ!」
ガレスは攻撃を避けようとするものの、あと一歩が間に合わず、剣の腹で受けた衝撃に耐えきれず床を転がった。ネリスは弱点が胸元にあると分かっていても、暴れ続ける巨体を前に狙いを定められない。ノイルの爆炎砲も威力そのものは十分だったが、弱点を正確に捉えられず、硬い外皮へ浅い亀裂を残すだけだった。
物陰から見ていたセレスタは、思わず魔導書を強く握った。
「……危ない」
自分たちだけで戦うとはっきり言われた。それでも、このまま見ていることはできなかった。
「ごめんなさい。少しだけ、お手伝いします」
声を抑えて術式を唱えると、ガレスの身体が一気に軽くなった。同時に岩甲熊の足元から影が伸び、巨体の動きを止める。
その瞬間を逃さずネリスの矢が胸元へ刺さり、続けてノイルの爆炎砲が傷口へ直撃した。最後にガレスの長剣が外皮の砕けた場所へ深く突き刺さり、岩甲熊は地響きを立てて倒れた。
「……ほらな。やっぱり俺たちだけでもいけるじゃん」
ガレスが肩で息をしながら笑った。
「最初に少し噛み合わなかっただけみたいだね」
「ええ。これなら問題なさそうだわ」
物陰で聞いていたセレスタも、安堵したように胸を撫で下ろした。
「……よかった」
けれど、今の戦いが三人だけの力ではないことはセレスタ自身が一番よく分かっている。
「やっぱり……もう少しだけ見ていた方がよさそうですね」
三人がさらに奥へ進み始めたため、セレスタは距離を取りながら後を追った。
途中、ネリスが古代術式の起点へ足を近づけた時には、姿を見せないまま遠隔で起動部分だけを切り離した。ノイルが高出力の魔法を重ねて魔力の巡りを乱した時も、倒れない程度に流れを整えた。
三人はそのどちらにも気づかなかった。
やがて未解析の術式が集中していた区画を抜け、周囲に大きな異常がない場所まで来たところで、セレスタは足を止めた。
「……今度こそ、本当に見ているだけにしましょう」
三人へ干渉していた魔力を完全に断ち、魔導書を閉じる。
ほどなくして、三人の前へ数体の魔物が現れた。
岩甲熊ほどの強敵ではないが、一切の支援を受けずに戦うなら油断できる相手でもない。
「ガレス、右よ!」
「分かってる!」
ガレスは迫った爪をかわし、すぐに剣を返した。セレスタの支援を受けていた時ほど速くはないが、自分の力だけで十分に対応できている。
ノイルも爆炎砲を一度放った後、続けて撃とうとして自分の呼吸を確認した。
「……連発は控えた方がよさそうだね」
「なら、その間は私達で引きつけるわ!」
「頼むよ」
三人は声を掛け合いながら、一体ずつ確実に敵を減らしていった。
四人で戦っていた時ほど余裕はなく、何度か攻撃を受けながらも、最後まで誰一人倒れることなく魔物の群れを倒しきった。
「はぁ……やった!」
「今度はさすがに疲れたね」
「でも、ちゃんと勝てたでしょう?」
「ああ!」
離れた場所から見守っていたセレスタは、その戦闘で一度も魔導書を開かなかった。
三人は自分がいなければ何もできないわけではない。時間はかかっても、自分たちで考え、自分たちで戦う力を身につけている。
岩甲熊のような強敵を相手にするには、まだ危うさが残っている。それでも、危険な遺跡を抜けた後の街道なら、もう自分が付き添わなくても無事に帰れるだろう。
「三人だけでも勝てたのなら……よかった。これなら安心ですね」
その後も三人は慎重に遺跡を進み、やがて無事に出口へ辿り着いた。
離れた岩陰からその姿を見つめながら、セレスタは静かに笑った。
本当なら、自分もあの輪の中にいたかった。
それでも、最後の戦闘では何もしていない。
「……本当に強くなりましたね」
これなら大丈夫だろう。
そう思えたからこそ、セレスタは今度こそ三人へ背を向け、誰にも気づかれないまま街へ戻っていった。
◇
夕日に染まった街道を、三人は歩いていた。
「最後はちょっと危なかったな」
ガレスが肩を回しながら苦笑する。
「セレスタの補助がなくなったんだから、多少は仕方ないんじゃないかな」
「でも、最後はちゃんと三人だけで勝てたでしょう?」
「ああ。これから慣れていけばいいよな」
「そうだね」
「次はCランクを目指しましょう」
三人は自分たちだけで戦った時の感覚を確かめるように話していた。
その時、森の奥から低い唸り声が響いた。
三人が足を止める。
木々を押し退けて現れたのは、遺跡で二度戦ったものと同じ岩甲熊だった。
「……またか」
ガレスの表情から笑みが消える。
「どうする?」
「やるしかないだろ。さっきみたいに三人で合わせるぞ」
長剣を抜き、ガレスが踏み込む。
「ガレス、右!」
「分かってる!」
身体を捻って爪を避けようとしたが、わずかに間に合わない。鋭い爪先が肩を掠め、血が飛んだ。
「っ……!」
「私が引きつける!」
ネリスがすぐに矢を放つ。
胸元が弱点だと分かっている。しかし岩甲熊は止まってくれない。矢はわずかに急所を外れ、硬い外皮に弾かれた。
「ノイル!」
「爆炎砲!」
炎が胸元へ直撃し、外皮へ亀裂を走らせる。
「効いてる!」
「もう一発──」
ノイルは杖を構えたものの、途中で顔を歪めた。
「っ!? 魔力が……少し待ってくれ」
「分かった!」
ガレスとネリスが前へ出て時間を稼ぐ。
三人は以前より確実に強くなっていた。Fランクだった頃なら、この時点ですでに戦線は崩れていただろう。
しかし、遺跡の最後に倒した魔物と岩甲熊では強さが違う。
「グハッ!?」
ガレスが攻撃を避けきれず地面へ叩きつけられ、ネリスがそちらへ意識を向けた瞬間、岩甲熊が彼女へ突進する。
「ネリス!」
ノイルが咄嗟に炎を放って軌道を逸らしたが、その代わり魔力の巡りが大きく乱れ、その場へ膝をついた。
「……なんで」
ネリスの声が震えた。
「遺跡では、もっと上手く……」
その言葉を聞いた瞬間、ガレスの中で何かが引っかかった。
遺跡では、もっと速く動けていた。ネリスの矢も簡単に弱点へ届き、ノイルも今ほど苦しそうにはしていなかった。
それは今日だけではない。半年間、当たり前だと思っていた戦いの中には、いつも一人分の声があった。
『ガレスさん、右から来ます!』
危険になる前に、いつも声が飛んできた。
『魔導付与・疾風迅雷!』
必要な瞬間には、当然のように身体が軽くなった。
『ネリスさん、胸元です!』
矢を構えた時には敵の動きが止まり、狙うべき場所まで示されていた。
『ノイルさん、魔力循環を補助します!』
高威力の魔法を続けても、乱れはいつの間にか消えていた。
そして──。
『解除しましたから』
何も起こらなかった遺跡の罠。
あれも、最初から何もなかったわけではない。
何も起こらないようにしてくれていたのだ。
「……俺たちは」
遺跡の最後では、実際に三人だけで魔物を倒した。自分たちが以前より強くなったことだけは間違いない。
けれど、自分たちが強くなったことと、セレスタがいた時と同じ強さになったことは、まったく別の話だった。
「セレスタがいた時と同じくらい強くなったわけじゃ……なかったんだ」
ガレスの言葉に、ノイルとネリスが何も言えなくなる。
『ありがとう!』
最初の頃は何度も言っていた。
『セレスタ、今日も頼む!』
いつからか、それすら言わなくなった。
そしてDランクへ上がった日、自分で言った。
『四人で上がろうぜ』
あの時、セレスタは本当に嬉しそうに笑っていた。
『……私は、もう皆さんの仲間になれたと思っていました』
今日、あの言葉に誰一人答えなかった。
「……馬鹿じゃん、私達」
ネリスの声が震えた。
「ずっと一緒にいたのに……何見てたのよ……」
ノイルは杖を握ったまま俯いた。
「彼女が僕たちの力を引き出していることなんて、最初の日から知っていたはずなのにね」
「ああ……」
ガレスは歯を食いしばった。
「俺たちが強くなったこと、一番喜んでくれてたのも……あいつだった」
岩甲熊が再び迫ってくる。
ガレスは痛む身体を起こし、二人へ叫んだ。
「立てるか!」
「なんとかね」
「えぇ」
「……逃げるぞ」
二人がガレスを見る。
「俺たちじゃ、まだこいつを三人で倒せない」
それを認めることが、今の三人にできる最初のことだった。
三人は互いを庇いながら森を走った。ガレスが最後尾に残って追撃を防ぎ、ノイルは残った魔力で牽制し、ネリスが安全に走れる進路を探す。
何度も転び、傷を増やしながら、それでも三人はどうにか岩甲熊を振り切った。
街へ辿り着いた頃には、全員が満身創痍だった。
◇
治療を終えたガレスたちが真っ先に向かったのは、冒険者ギルドだった。
扉を開けるなり受付へ向かい、ガレスは息を整える間もなく尋ねた。
「……セレスタは?」
受付嬢が少し驚いた顔をする。
「セレスタさんですか?」
「ああ。ここに来ただろ?」
「ええ。パーティを抜けたことをご報告に来られましたよ」
「今、どこに?」
「もうお帰りになりました」
「……そうか」
ガレスの肩が落ちる。
その隣で、ネリスが小さな声で尋ねた。
「明日は……来るのかしら」
「はい。依頼を受ける予定だと聞いています」
三人が同時に顔を上げた。
「依頼?」
「以前、合同討伐でご一緒されたパーティから、臨時加入をお願いされたそうですよ」
「……もう?」
「はい」
受付嬢は何の悪意もなく笑った。
「セレスタさんをご指名で」
三人は、何も言えなかった。
◇
翌朝、セレスタはギルドの一角で新しい三人と依頼の確認をしていた。
「セレスタさん、おはよう!」
「おはようございます。今日はよろしくお願いしますね」
「こっちこそ! 来てもらえて助かったよ」
以前、合同討伐で一緒になった魔法使いが地図を広げる。
「前衛の二人には身体強化をお願いしたいんだけど、無理そうならすぐ言ってくれ」
「はい。ただ、お二人の動きを見ながら必要な時だけ調整した方が、魔力効率はいいと思います」
「調整? そんなことまでできるの?」
「はい。できる限り皆さんが動きやすいようにしますね」
「ありがとう、セレスタさん」
その言葉に、セレスタは一瞬だけ目を丸くした。
それから、嬉しそうに笑う。
「はい!」
少し離れた場所から、ガレスたちはその様子を見ていた。
「……ありがとう、か」
ガレスが小さく呟いた。
たったそれだけの言葉だった。
以前の自分たちも当たり前のように口にしていたはずなのに、いつから言わなくなったのかすら思い出せない。
「ねぇ……声、かけないの?」
ネリスが尋ねた。
ガレスはすぐには答えられなかった。
謝りたい気持ちはある。戻ってきてほしいとも思う。
けれど、今さら自分たちの都合だけで彼女を引き止めていいはずがない。
その時、セレスタがこちらに気づいた。
「あ……!」
三人の身体が固まる。
セレスタは驚いた顔をした後、すぐにこちらへ駆け寄ってきた。
「皆さん!」
「セレスタ……」
三人が何か言うより先に、セレスタは安堵したように胸へ手を当てた。
「良かったです。昨日、ちゃんと帰れたんですね」
「……え?」
「遺跡を出るところまでは見えたんですけど、その後は分からなかったので……少し心配していたんです」
ノイルが何かに気づいたように目を細めた。
「……昨日の遺跡。途中まで、いたのかい?」
セレスタは一瞬迷った後、小さく頷いた。
「……すみません。どうしても心配で」
突然軽くなったガレスの身体。不自然に止まった岩甲熊。踏んでも起動しなかった罠。そして、乱れたはずなのに戻っていたノイルの魔力。
昨日は偶然だと思っていた出来事が、今になって一つの理由へ繋がっていく。
「なんで……」
ネリスの声が震えた。
「なんでそこまでしたのよ。私達、あなたを追い出したのよ?」
「え?」
セレスタは本当に不思議そうな顔をした。
「だって……半年も一緒にいましたから」
三人は何も言えなかった。
「それに、最後は本当に皆さんだけで倒していましたよね」
セレスタは嬉しそうに続ける。
「三人とも、本当に強くなりました。だから……これからもきっと大丈夫です」
「セレスタ……俺──」
「セレスタさん! そろそろ行こう!」
後ろから声が飛んできた。
「あ、はい!」
セレスタは振り返って返事をした後、もう一度三人へ向き直った。
「すみません。私、行かないと」
「あ……ああ」
「それでは、また。皆さんも、お元気で」
以前と何も変わらない笑顔だった。
セレスタは新しい仲間たちのもとへ戻っていく。
「セレスタさん、荷物持とうか?」
「大丈夫ですよ。これくらいなら──」
「遠慮しなくていいって。今日は俺たちがお願いして来てもらってるんだから」
「では……お願いします」
「任せて!」
楽しそうな声が遠ざかっていく。
ガレスたちは追いかけなかった。
今の自分たちが「戻ってきてくれ」と言うことは、セレスタのためではなく、自分たちが失ったものを取り戻したいだけなのかもしれない。
「……四人で上がろう、か」
ガレスが小さく呟いた。
自分で交わした約束だった。
そして、自分たちで手放した約束だった。
◇
夕暮れ。
初めて新しい三人と受けた依頼を終え、セレスタは一人で街を歩いていた。
新しい三人とは、まだ出会ったばかりだ。
半年間一緒だったガレスたちのように、互いの癖まで理解しているわけではない。戦闘中も何度か支援のタイミングを迷ったし、もっと上手くできたと思うところもあった。
それでも、今日の依頼は楽しかった。
支援をするたびに誰かが振り返ってくれた。戦闘が終われば、自分の働きを当然のものとして流さず、きちんと言葉にして伝えてくれた。
『誰でもいいから補助役が欲しいんじゃない。セレスタさんだから頼んでるんだよ』
昨日言われたその言葉も、まだ胸の奥に残っている。
「……私だから、ですか」
口にすると、自然と笑みが浮かんだ。
やがてセレスタは足を止める。
振り返った先には、昨日まで三人と何度も歩いてきた街道が続いていた。
ガレスも、ノイルも、ネリスも、本当に強くなった。
仲間ではなくなってしまったことは、やっぱり寂しい。
けれど、嫌いになったわけではない。
今日ギルドで三人の姿を見ることができた。怪我はしていたものの、ちゃんと三人揃って帰ってきていた。
これから経験を積めば、きっと今よりもっと強くなっていくだろう。
セレスタは街道の先を見つめ、柔らかく微笑んだ。
「次にお会いした時は……Cランク昇格のお祝いを言わないといけませんね」
帽子のつばを軽く押さえ、セレスタは前を向いた。
昨日まで四人で歩いていた道には、もう戻れない。
それでも明日には、自分の支援を必要としてくれる人たちが待っている。
『ありがとう、セレスタさん』
今日、何度も聞いたその言葉を思い出すと、自然と頬が緩んだ。
「……明日も、頑張らないとですね」
そう呟いて、セレスタは夕暮れの街を歩いていった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
楽しんでいただけましたら、評価や感想をいただけると嬉しいです。
セレスタは連載中の長編
『境界観測―その線の先で、私は死んでいる―』
にも登場します。
本作だけでも完結していますが、本編ではレナという少女を主人公に、彼女にだけ見える謎の『線』を巡る物語を描いています。
興味を持っていただけましたら、そちらも読んでいただけると嬉しいです!
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