04-23 洗脳解除
エスティーカです。
母エレインは自分が人間の勇者ナイトメアに誑かされていたと知り、愕然として自害を図りました。
誇り高き魔族の国母が人間に篭絡され操られていたなど耐えられなかったのです。
ですが、その自害は私が止めました 産みの母への愛情ではなく、育ての母への愛情によるものです。
セラルドお母様の洗脳をそのままにしてエレインに死なれるわけにはいかないのです。
エレインはあっさりと洗脳解除の言葉を私に教えました。
万一に備え、リマド様がセラルドお母様の洗脳を解除することになりました。
セラルドお母様のお心が乱れた場合、最悪この世界が消滅しかねないのです。
「セラルド、あなたは人間に抱かれその子供を身籠っています、分かりますね?」
リマド様が状況認識を確認しました。
「はい、お母様 ユリアの子供です。私、運命のヒトの子供を宿せて幸せです。」
セラルドお母様は浮かれているようにさえ見えます。
花咲いて 幾度眺めた あの海山の 色に惑わぬ ヒトはない
リマド様がセラルドお母様の耳元で洗脳解除の言葉を囁きました。
セラルドお母様の眼から幸福の色が消え、恐怖の色が浮かびます。
「ああ……ああああ……あああああああああああああああああああ……」
言葉にならない叫びの後、セラルドお母様は震え始めました。
「いや……いやぁあああああああああああああああああああああ……」
リマド様がセラルドお母様を抱きしめます。
「現実を受け止めなさい。その子を無かったことにすることはもうできません。
その子が貴方と同じ異能で抗った場合、この世界が消滅します」
「でも!でも、でも、でも!お母様!スミカぁ!私!わたし、なんてことを……お腹に人間の子供が!!どうすれば!!」
「もう一度言います、現実を受け止めなさい。スミカはあなたを咎めたり見捨てたりはしないと言いました あなたの傷ついた心に寄り添いたいとも。
ですから、あなたはその子供を産んで慈しみ育むのです。
ローナ王国エルセイン王家に相応しい、立派な者に育てるのです。」
「あああああ……スミカぁ!!ごめん!ごめんなさい!!」
引き裂くようなセラルドお母様の嗚咽が続きます。
「今は、少し眠りなさい……」
リマド様が術を施し、崩れ落ちるようにセラルドお母様の瞼が閉じました。




