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第7回『下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ』大賞 投稿作品置き場

木枯らしの中の精霊とキャンパー

掲載日:2025/12/12

「ほら、コーヒー沸いたぞ」

「ありがとー、いただきまーす」

 十一月半ば、肌寒くなる季節。

 近所の地主さんのご厚意で一般開放されてる森の中。

 高校一年生の冬川(ゆう)は、週末になると一人キャンプを満喫していた。

 そんなある夜、森の中で不思議な少女と出会った。

 名前は椿、自らを木枯らしの精霊だと言い張る。

 透き通った銀色の長髪と青い瞳に、白い和服という、何とも風変わりな装いだ。

 悠の下に現れては、コーヒーをごちそうになり、他愛もない話をするようになった。

「悠はキャンプを始めてどれくらい?」

「今年の九月からだよ。急に暇になっちまってな」

「急に? 何かあったの?」

悠は数秒の沈黙ののち、語り始めた。

「小二の頃からサッカーやってて、中学では大会でも活躍したんだ。推薦を受けて名門校の春風北高校に入学したんだ。けど夏大会で、足の靱帯をやってしまってな。生活には支障がない程度だけど選手としてはもう――」

 悠は無言でマグカップに入ったコーヒーをゆっくりと飲み干した。

「まあ成績はいい方だし、今も学校には通えてる。それで、図書室で見た専門書でキャンプに興味を持ち始めたんだ。いい趣味を見つけたよ」

「悠は……、学校が嫌になったりしないの?」

「現実から目を背けたって、いい事なんかないだろ?」


 そして木枯らしが過ぎ去り、冬本番を迎える頃、椿は姿を見せなくなった――。


 ――時は流れ、季節は春。

 二年生になった悠は、入学式の直後の校内で、新一年生の女子に皮肉交じりに話しかけた。

「何しているんですか? 木枯らしの精霊さん」

「フフフ、よく見つけたね。悠」

 椿との数カ月ぶりの再会だった。

 彼女の本当の名前は『椿・ホワイト』

 アメリカ人の父と日本人の母のハーフ。

 両親が亡くなり、日本の母の実家にやってきたが、学校ではいじめに遭い、親族ともうまくいかず家出したという。

 キャンプ中の悠と遭遇し、幼少期に呼んだ絵本の『木枯らしの精霊』を名乗った。

 悠がいた森のさらに向こうの土地にある、母名義の別荘に隠れ住んでいた。

 冬頃から猛勉強し、悠と同じ学校を受験したんだとか――。

「何で急に会いに来なくなったんだ?」

「フフフ、現実から目を背けるのをやめただけだよ」

 木枯らしの精霊は一人の少女に戻り、春には彼とともに新しい世界を歩き出したのだった。


第7回『下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞』に

向けた作品第三弾!!

第二弾投稿の直後に待ちきれずに

投稿しちゃいましたw


これで第7回に向けた全三作の投稿が完了しました

あとはひたすら宣伝だ!!!!

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― 新着の感想 ―
自称精霊さんとの学校での出会い… 何だか素敵な青春物語がここから始まりそうな予感ですね…!
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