第8章 再生の章 ― 数字の意味 ― 第1話 共鳴する視界
朝の光が教室に差し込む。
窓際に座る直哉の視線は、いつもより少し澄んでいた。
昨日の奇跡――美咲の数字が増えたことが、まだ胸の奥で震えている。
「……蓮も見えるのか」
前日、蓮の視界にも数字が浮かんだ。
その事実が、直哉の心に小さな希望を灯す。
昼休み、三人で河川敷に集まった。
蓮はタブレットを開き、数字の記録を見せる。
「昨日から変化がある。だが、まだ安定はしていない」
美咲は少し不安そうに数字を眺めた。
「でも……増えたよね」
直哉が笑顔で言う。
「うん。少しだけど」
美咲の笑顔には、確かに生きる意志の光が戻っていた。
「これから、どうする?」
蓮の問いに、直哉は即答した。
「協力して、もっと数字を増やす。誰かを救うために」
「……わかった」
蓮は少し戸惑いながらも頷いた。
その時、風が吹き、数字の光が揺れる。
直哉は気付いた。
――数字はただの数じゃない。
人の想いと連動している。
「よし、やろう」
小さな決意が、三人の心を結ぶ。
数字の意味を理解し、命を救うための旅が、再び動き始めた――。




