第六話.実力
毎度どうも。山本かぼちゃ丸です。
今回で初めて人が死にます。
この話を読む前に、一度誰が死ぬのかを考えてみてください。
答えは最後まで読めば分かります。
「てめーを一発で仕留めりゃ良いんだろ?」
ユエは『大刀カルバトロス』を振り回した。
「おう。仕留めれればな。」
シルクも負けじと『大刀』を構える。
「お前の大刀、名前は?」
「『大刀カルバトロス』!お前は?」
「『大刀フロウズ』だ。」
両者が大刀を構え、先に動いたのはユエだった。
しかし、ユエがシルクに切り掛かる寸前にユエの動きが止まった。
「なっ……。う…動け…ない。」
「せっかちだなァ。おい。」
シルクは『大刀フロウズ』をユエの首筋に突きつけた。
「この『大刀フロウズ』の剣魔法『生命静止』の力さ。
指定した生命体の動きを止める事が出来る。ま、かなしばりみたいなモンさ。」
「なっ……る…ほど…な…。」
ユエは自力で魔法を解除した。
「…!やるなぁ。」
「もちろんだぜ?こんなもんで俺と戦えると思うなよ?」
ユエは『大刀カルバトロス』を振り回し、構えた。
「いくぜ?」
「こいよ。ユエ君。」
シルクはユエに向かって手招きをした。
『剣魔法!!蜃気楼の理!!』
ユエ周辺に桃色の霧がモワモワと立ちはだかった。
3秒もすると、ユエの姿は見えなくなってしまった。
「…。このレベルの剣魔法を使えるとはな…。」
『魔飛斬撃の舞!!!』
いつのまにか蜃気楼に包まれていたシルク。
その霧の中から、無数の『魔飛斬撃』が縦横無尽に飛び回る。
しかしさすが『巨大な力の塊』の幹部クラス。一発も食らわずにみごとに対処。
「……無理か!」
ユエは蜃気楼をジッと見つめた。
霧の中からヒュッ!っと飛び出してきたのはシルクだった。
「『飛ぶ魔法の斬撃』かぁ。初めて見たぜ。あんなモン伝説だと思ってた…。」
その瞬間、シルクの頬に『魔飛斬撃』が走った。
「!!」
「おしゃべりなヤローだな。スキがあったモンで攻撃しちまったぜ…?」
ユエは『大刀カルバトロス』を地面に突き刺した。
「……ククク…。…やってくれる。」
シルクは頬の切り口から流れた血をスッと手に取り、舌でなめた。
『剣魔法!!生命静止!!!!』
シルクの『大刀フロウズ』から流れてくる空気のような物質に、
ユエが触れたとたん、ユエは石のように固まってしまった。
「く……そ……!」
バチィ!!!
今度もユエのかなしばりが解けた。
しかし、今回のは、ユエが解いたのではない。
そもそも、シルクはユエに解けないように再びかなしばりをかけたのである。
では誰がかなしばりを解いたのか。
ユエに握られていた『大刀カルバトロス』であった。
「『大刀カルバトロス』……!お前………!!!」
ユエは自分の握っている剣をしっかりと見つめた。
そしてキッ!とシルクを睨みつけた。
(…!あの大刀。自らの意志を持っているのか!?)
シルクは額の汗を拭い、再びユエにかなしばりをかけた。
『剣魔法!生命静止!!!』
『打ち返せ!『大刀カルバトロス』!!!!』
爆弾が爆発したようなものすごい音が鳴り響いた。
ユエの『大刀カルバトロス』は、シルクのかなしばりをシュウに打ち返したのだ。
レオンはその瞬間を見逃さなかった。
ザクッッ!!!
レオンの双刃で、シュウの首は飛んだ。
形勢逆転である。
「ッ!ナイスだ!ユエ!!!」
レオンはガッツポーズをした。
「!!危ない!レオン!!」
ユエは叫んだ。
シルクは自らの剣をレオンめがけて投げた。
一直線状に飛んで行く『大刀フロウズ』。
スローモーションで成り立つ世界。
とっさにエルメスがレオンの前に立ちはだかった。
『ザクッッッッッッ!!!!』
シルクの投げた『大刀フロウズ』はエルメスの背中を貫いていた。
ーその瞬間、全てが止まった。
大気も大地も空も海も山も人も呼吸も。
エルメスはガクッと膝を落とし、その場に倒れた。
「エルメス!!!」
レオンとユエは叫んだ。
「が……はっ……。」
エルメスはすさまじい量の血液を吐いた。
「な……さけ……ねえな……。人…っ…て……もろ…い…よ…な。」
ユエとレオンはエルメスに駆け寄った。
「ち…くしょ……。あい…つを………と…めた…か…った………の…に……。」
「死ぬな!エルメス!死ぬな!!」
ユエはエルメスの手を固く包み込んだ。
「たの…む。あ…あいつを……。あ…に……きを……止め…て…くれ…。」
「兄貴…!?あいつらが言ってた『フォール』ってやつか?」
レオンはしきりにエルメスに聞いた。
「あ…あ………た…のん…だ……ぞ…。」
エルメスの手がユエの手から滑り落ちた。
「エルメスーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
エルメスはもう返事をしなかった。
…はい。正解は『レースシト・エル・メガロリアン』通称エルメスでした。
非常に重い話になってしまいましたね(汗)
次の話は、ユエが爆発します(まじで)。
これを友達に見せたら、
「『ド○ゴン○ール』の『クリ○ン』が『フ○ーザ』に殺されるシーンに似てる」
と言われてしまいました。
「……いやいやいや(汗)違うだろ!!」
と反論しながらも、あとあと読み返してみると、「……似てるかもなァ」と感じてきてしまい(汗)
べつにユエが『スー○ーサ○ヤ人』になるワケではないので悪しからず(笑)