第二話.剣魔法
第二話、完成です。
第三話からが自分的には一番好きなので、
妥協しないでビシビシ書いてます。
ダメ出しはどんどんお願いします(笑)
「…気持ち悪い化け物め。」
ユエはそう呟くと、ベリモンを睨みつけた。
ベリモンはユエに突進してきた。
ユエはベリモンが自分に直撃する瞬間に『大刀カルバトロス』を振り下ろした。
ベリモンは縦にまっ二つに切れてしまった。
(…!!)
森林の木陰から覗いていたギンタは、その見事な切れ味に、思わず目を凝らした。
「さすがに、ジュラさんの弟なだけある。ならば大量のベリモン相手はどうだ?」
ギンタはさらに笛を吹いた。今度は少年団本部までに届く大きな音色だった。
「…!ギンタさん。趣味が悪いな。」
ユエはそう呟くと、その場に転がっているベリモンの残骸を蹴り跳ばした。
「こいよ。雑魚悪魔共。お前らがいくら束になってかかっても、
俺にかすり傷一つ与えられないってコトを教えてやるぜ?」
ユエは森林の奥から突進してくる何十というベリモン相手に手招きした。
「…おいおい。これはさすがに面倒だな。」
ギンタは助っ人に行くかと森林の影から身をあらわにした。
しかしユエはその数に動じる事なく、ただ剣を構えていた。
『カルバトロスよ、今こそその桜の力を解き放て…』
ユエはそう唱えると、剣をベリモンの大群に向かって一振りした。
『桜龍華斬=カルバトロス!!!!』
金色の斬撃が大量のベリモンを一掃した。
辺り一面に桜のような血が飛び散った。
その様子は、立春の桜が散る如く鮮やかであった。
「………。あれは……『剣魔法』…!?』
ギンタは遠目でユエをまじまじと見つめた。
(剣魔法……。剣に魔力を注ぎ、その魔力を主として使う剣の奥義…。
あれを使いこなすレベルとは…。さすがジュラさんが認めるだけはある。)
ギンタはすぐにユエの元へ駆け寄った。
「やるじゃねーか。合格だ。」
「…ギンタさん、趣味が悪いッスよ。ここで『大悪魔』なんか
出てきちまったら、さすがにしんどいじゃないですか。」
大悪魔とは、ベリモンの親玉で、
少年団のしたっぱでは太刀打ちできない相手だった。
「ほう。ベリサス相手に勝てると言ってるか?」
「あれ?俺の実力見てたんじゃなかったんですか?」
「まあな。お前ならベリサスでも倒せてただろ。」
「ほら。やっぱそうだ。」
ユエが得意そうに剣を異空間にしまった。
「しかし…。剣魔法なんてよく使えたな?お前、魔力も持ってんのか。」
ギンタが不思議そうに聞いた。
「俺も魔力は持ってますけど、剣魔法なんか使えるほどの量じゃありません。
あの魔力は『大刀カルバトロス』に元々含まれている魔力なんです。」
「ふーん。なるほどな。『桜龍』の魔力か。」
ギンタは、面白そうに納得した。
「さ、もう戻るか。お前は合格。残りの合格メンバーと、授業受けてこい。」
少年団は、入団テストで合格すると、『初級クラス』から始まる。
そこで、少年団の目的や、バラモの情報、基礎戦闘などを勉強するのだ。
ある程度レベルがついてきたら、『中級クラス』に入り、本格的な任務に入る。
そのクラスに入るにも、試験が必要なのである。
「分かりました。行ってきますよ。」
「慣れてきたら、チームを組んでみたりしてみろ。」
「チーム…ですか?」
「ああ、気がある仲間と、共に仕事をこなすんだ。」
「分かりました!チームのメンバー、探してみます!!!」
「頑張れよ。」
ー変わって、ここは初級クラスの教室。
少年団に受かった事で、テンションが高い連中がほとんどだった。
ただ、二人を覗いて。
そのうち一人は、入団テストの実技でベリモンを50体なぎ倒し、
見事実技で首位合格を果たした、『ホワード・レオガレン・ギヴァセス』、
通称レオンだった。
もう一人は、入団テストの筆記で満点合格し、
見事筆記で首位合格を果たした、『レースシト・エル・メガロリアン』、
通称エルメスだった。
「…ふーん。あいつらをチームに誘ってみっかな。」
ユエは、教室に入ると、真っ先にレオンとエルメスの元に直行した。
「よっ!お前が実技で首位合格したっていう、レオンか。」
ユエはレオンの前の席に座ると、後ろを向いて馴れ馴れしく話しかけた。
「…。」
「無視すんなよー。なあなあ、俺とチーム組もうぜ?」
ユエはレオンに積極的に話しかけた。
「…。お前とチームを組むだと…?」
レオンはユエを睨みつけた。しかしながらユエはそれ位では動じない。
「ああ。お前とならいいチームメートになりそうだ!」
「…このレオン様とお前みたいなカスがか?」
この言葉にはさすがのユエもカチンときた。
「カスとはなんだ、カスとは!カスっていうヤツがカスなんだぞ?」
ユエもユエなりに言い返す。
「…お前、入団テストなしで受かったんだってな?」
このレオンの言葉に、教室中の生徒が反応した。
教室中に静寂が走った。エルメスもこれにだけは反応した。
「それがどうした。」
「お前、少年七人隊の『ジュラ』の弟だろ?お情け合格ってなァ情けねーな?」
レオンはユエを挑発した。
「…そういうのは実力を見てから言ったらどうだ?」
ユエも負けじと言い返す。
「お情け合格でここにいるやつと首位合格したこのレオン様が
釣り合う訳ねーだろ?実力なんざ見るまでもねーよ。」
レオンはそういうと、教室から出て行った。ユエは黙って席に着いた。
ここらへんで、武器の種類について、説明しておきます。
この世界には武器が大きく分けて5つあります。これを「五大剣刃」といいます。
それぞれ、「大刀」「細刀」「双刃」
「鋭爪」「月刀」といい、
一部の地域では「大刀を「大刃」と呼んだりします。
大刀の例といえば、ユエがつかっている「大刀カルバトロス」がそうですね。
細刀は、まだ当分出てきません。
日本刀などのような物と考えていただければ結構です。
ただし、あくまで「切る」のではなく「突く」のが細刀です。
双刃は剣を二つ両手に持つ不思議な武器で、
総重量は大刀と並ぶと言われます。
当然ながらコレを振り回すには相当の筋肉が必要です。
鋭爪は、先に刀がついている手袋のようなものです。
持ち運びに便利で、隠密に行動する時に便利ですが、
逆に近距離戦型なので、俊敏性が必要になってきます。
攻撃が地味なので、先端の刀に毒をつけるのが主流です。
最後に、月刀です。
ギンタの武器で、「月刀=ブーメランのような物」と勘違いしてしまう方が
多いと思いますが、月刀はあくまで、うちわのような形の武器です。
うちわのまるい部分がすべて刃になっていて、
その気になれば人体をまっ二つに出来ます。恐ろしいですね。
他にも、あおいで、風圧攻撃をしたり、
回転切りで死角をなくせるのも特徴です。その分筋力はいりますが…。
ギンタの「三日月」は、月刀の中でも珍しい物です。
ご理解いただけたでしょうか?武器の種類を覚えていただけると、
きっと面白く読んでいただけると思います。
それでは、また次回、お会いしましょう。