第十一話.夜
今日で春休みが終わってしまいます。
今までのように毎日一話のペースで書けなくなってしまいます。
残念ですが……せめてクライマックスまではつなげたいと思ってます。
ぼちぼち更新するので、これからもどうぞよろしくお願いします。
夜中…。と言ってもまだ10時半である。
今の一般家庭では、塾だ仕事だとかで、
普通に起きている時間帯なのかもしれないが、
みんなは戦闘民族なので、早寝早起きは習慣なのである。
こちらはユエとオトハの部屋。
レオンに「オトハに変な事したらぶっ殺す」と脅しをかけられ、
何がなんだが分からない恋愛免疫のないユエ。
オトハは、何らかの期待をしているようで、目が冴えて眠れなかった。
ユエも、なんとなくレオンの言葉の意味を考えていると、眠れなかった。
「……ユエ……?」
「…!何だ……オトハか…。」
「……起きてる?」
「…うん。初めてだな。呼び捨てで呼んでくれたの。」
「あ…。ごめん。図々しかった?」
「いや。これからもそれでいいよ?気使うし。」
「……。」
オトハは布団の中でうれしそうに微笑んだ。
「あの…さ…。ユエ。」
「…?何?」
「寒…いんだけど……ユエの布団……行っていい?」
(ぐ……!?は…!!)
ユエは何らかの衝撃に心を撃たれたように固まってしまった。
(今、気のせいかレオンの視線に貫かれたような気が……。)
「……えっ…えっと……。レオンに見られたら、殺される気が……。」
恋愛感情、免疫のないユエでも、なんとなく殺気を感じてそう答えた。
「…大丈夫よ。カギ、掛けてあるし。」
オトハは布団から出てきた。
(だっ………大ピンチ!!!!)
ユエの高まる感情。どうにか切り抜けたいこのピンチ。
しかしかなしばりにあったように動け(か)ない。
心臓の音が次第に大きくなる。オトハがユエの布団に入ろうとしたその瞬間!!
ドッカーン!!!!
突然ドアが開いた。
…と思ったら、ドアが壊れていた。
「おい…ユエ…。てめえ…。オトハに変な事したら…ぶっ殺すって言ったよな?」
レオンが今までにない形相でユエを睨みつけた。
ユエは再び(別の意味での)かなしばりにあった。
「あの……これは……何の事…?っていうか……え?」
気が動転しているユエ。
「なっ!えっと…オトハが、寒いから!レオンの中に…初めて?図々しかった!」
ユエは自分でも何喋ってんのか分からなくなっていた。
とにかくレオンに弁解しようと必死だった。
「………弁解しなくても良いよ。」
オトハはそう呟くと、ユエの顔を両手で支えて自分の顔に近づけて……。
「!!!!!!!」
レオンが大噴火した。
「てめ…!ユエ!!!!オトハの唇を!!!しかも……生で!!」
レオンはグーでユエを殴った。
オトハはどこか嬉しそうにユエの布団に潜り込んだ。
「知らねーよ!ちょ……事故だって!!!」
必死に抵抗するユエ。当然ながら噴火したレオンを止める事はできない。
そんな格闘が30分は続いていた。
「ハァ…ハァ…おい!ユエ…!お前…ちょっとこい!」
レオンは治まりかけている噴火状態のままユエの手を掴んで部屋から連れ出した。
「…なんだよ!だから…ワザとじゃねーって。」
「あったりめーだ!ワザとだったらホントにぶっ殺すぞ!」
「悪かったって。お前が……オトハの事好きなのに
『俺がファーストキスを奪っちまって』な。」
「てめ……嫌がらせか!コノヤロ!」
「………お前、気付いてるよな?」
レオンが廊下の壁に腰掛けてユエに尋ねた。
「…?何がだ。」
「何がって………。その…。オトハがお前のこと好きだって事だよ……。」
「………( ゜Д゜)ハァ?」
「そのリアクション……まじムカツく。もしかして気付いてなかったのか?」
「………うん。」
「お前、人の感情見抜くの得意だけど、自分の感情については
本っ当鈍感だな…。特に恋愛感情については………。」
レオンはすっかり疲れ果てていた。
「……オトハが……俺のコト…を?」
「俺……手ェ…ひくよ。」
レオンは『お手上げ』のポーズをした。
「お前さっきから何ワケ分かんねーことをベラベラと……。」
ガツン!!!
レオンにぶん殴られたユエは気絶してしまった。
「ちったあ、そこを勉強しやがれ。」
レオンはスコスコと自分の部屋へ帰って行った。
進行する日前後に起きたこの事件、
この事件がのちのち大変な事に繋がってくるとは、
誰も予想していなかったことであった。
これ、完璧にR15ッスね……(笑)
でもこれがユエの運命を左右する重要な事件となってきます。(マジで)
これから更新が薄れますが、それでも、どうぞよろしくおねがいします。
(多分毎週月曜日に更新されると思います。)