要件定義書(抜粋)
1. 背景・目的
当プロジェクトは、既存の社内情報共有ポータルを刷新し、信頼性・利便性を向上することを目的とする。
現行システムは老朽化に伴い、検索遅延・認証不具合が発生している。一方、近月より深夜帯に不審なログ参照・画面の点滅、及び廃棄済データの復活が報告されている。これらは当初、単なるバグや不正アクセスと考えられたが、調査の結果、社内では過去に消息不明となった社員のアカウントが定期的にシステム内部へアクセスを試みていることが判明している。
プロジェクトの最終目的は、正常な情報共有基盤の確立と同時に、不可解な心霊的干渉の静穏化(“安息化”と呼称)を実現することである。
2. 対象範囲
•利用部門:企画部、総務部、人事部、技術部門、および不可視状態の「幽暗課(仮称)」
•データ範囲:社内共通ドキュメント、従業員リスト、内部報告書
•時間範囲:稼働時間は24時間だが、深夜0〜3時は儀式的調整時間帯として別管理
•「封印されたアーカイブ領域」及び「第十三階層フォルダ」は要件範囲外だが、不可解現象との関連が疑われている。
3. システム概要
•基本機能:ドキュメント管理、検索機能、認証管理
•深夜追加機能:「安息化プロトコル」発動機能、儀式的対話モジュール(ログに現れる霊的存在への応答チャネル)
•セキュリティ要件:通常のシングルサインオン(SSO)に加え、深夜帯には「霊的認証手順」(後述)適用
4. 非機能要件
•パフォーマンス:日中アクセス50セッション同時接続時に2秒以内応答
•深夜帯:応答性能規定なし(儀式中は時間概念が曖昧化、ログの時刻が逆行または停止現象報告あり)
•バックアップ:日次・週次・月次実施。ただし深夜バックアップ時、「古い写真が混入する」「異様な呻き声がスピーカーから漏れる」報告があるため、対策が必要。
5. シナリオ・ユースケース
UC-001:ドキュメント検索(通常)
1.ユーザがキーワードを入力
2.システムが該当文書一覧を表示
3.画面最下部に稀に出現する「不明な印」を無視すること(注:印を長時間凝視した結果、画面上に古い作業服姿の男性像が浮かび上がった報告あり)
UC-002:深夜の封印データ閲覧(要承認)
1.0:00以降、管理者IDでログインすると異形のダイアログが表示
2.ダイアログへ指定の呪句(人事秘伝書参照)を入力
3.瞬間的な画面暗転後、封印データへのアクセスが可能になるが、一定時間経過で不気味な囁きが聞こえる
6. 儀式的要件
•深夜帯、「安息化プロトコル」実行時、担当者はサーバルームの暗所に設置された「小型祈念台」に向き、指定の電磁蝋燭型デバイスを点灯
•ログイン画面背後で薄暗く揺れる「影の層」への注視は禁止
•データ改変が止まらない場合、担当者は旧社員名簿(退職者含む)のIDを順に唱えること。唱和中、モニタに映る虚ろな目が確認された際は、ただちに目をそらす。
7. セキュリティと心霊対応
•不正アクセス対策として、社内認証の他、深夜は「念波パスワード」を導入
•「念波パスワード」は担当者が特定の周波数でハミングすることで認証可能
•外部からの攻撃ではなく、過去に失踪した社員(特定ID”00000000”)や謎の部署名がログイン試行してくる場合、システムは短い呻き声ログを残して拒否
8. データ異常と霊的干渉
•過去アーカイブから勝手に復活するドキュメント:そこには既に故人と確認された社員のメモが追記される
•メモ内容は古い社宅の間取り図や、使われていない地下室への道順を示唆する
•バックアップファイルをリストア時、暗転した画面に一瞬、人影が映る不具合多数
9. リスク評価
•従業員の精神的負荷増大(睡眠障害、幻聴訴えあり)
•行方不明者再出現リスク(データ内に実体化?)
•儀式不履行による情報崩壊と、組織内部における霊的存在の顕在化
10. 終了条件
•システムが正常な共有基盤として機能し、心霊干渉が収束した場合、本要件定義は完遂とする
•要件定義書への不用意なアクセスは禁じる。違反者は翌朝出社せず行方不明となる恐れあり。