閑話ある公爵家元嫡男の独り言
学園時代から確かな愛を育み、大切な妻を支える伴侶として辺境伯領を治めていた。
実家であるナイフロード公爵家一族も、辺境伯家と共に力を合わせていたんだ。
無論、ナイフロード一族は王族に反論して戦争には一切参加せず、激怒した国王によって領地は不当に没収され宮殿貴族となっていたが……
愛する妻と息子を守るためならば、私は何でもしたい。
幸せをぶち壊したのは、あの凡愚で屑第二王子だった。
息子の誕生会パーティーに無理矢理参加し、あろうことか息子に女になる呪いを掛けたのだ。
辺境伯家一族、ナイフロード一族は直ぐに抗議し、戦争を辞さない意向を示したが……息子が止めた。
どうやら、息子には何か考えがあるらしい。
それからも、国王から無理難題の我が儘な命令が来た。
息子を仕方無く第二王子の婚約者に据えたのに関わらず無茶苦茶な命令の乱立だ。
学園時代から辺境伯である妻に執着していた国王は、私と妻を無理矢理離縁させ引き離した。
今直ぐにでも討って出ようとした私を、妻と息子が物理で止める。
血の涙を流し、私はナイフロード公爵家に戻った。
それと同じ頃、妻は身分を偽り、何故か認識阻害薬を大量に持参して女装し、王宮の侍女になった。
小柄で可愛らしい妻は、執着していた国王に捕まり、直ぐに手篭めにされ監禁されるが……国王は認識阻害薬を飲まされていて妻だと判別出来ないらしい。
妻は避妊薬飲んでるから大丈夫らしいが、私が許せない。
妻は国王に地獄を見せてやると意気込んでいるが、私の気持ちが収まらない。
あぁ、嫉妬で気が狂いそうだ。
妻の身も、心も全部私の物なのに。
十数年後、馬鹿が息子に婚約破棄して息子の呪いが解けた。
トパーズ一族の伝令に寄れば、息子達は籠城の構えも見せていたが、のこのこと来た王太子とカフス、下級貴族の雑兵を捕縛したらしい。
妻からまだ連絡が無いが、もう我慢できない。
制止しようとする弟と、父を物理で訓練場に沈めて私は妻を助けに向かう。