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第二話 ルシアスパパとご対面

 本当はもう少し状況を整理したいところだけれど、身支度を済ませてエントランスへと向かう。

(確か……旦那様が戻ってくるって言ってたよな。リアン様のパパ、サマエル公爵ルシアスのこと……かな)

 元々は侯爵家に生まれたルシアスだが、頭がいいだけでなく剣術の才能もあり、国王からの信頼も厚く公爵の中でも特別な存在。加えて、自身にとって関わるメリットのない者に対しては容赦なく、貶めようものなら躊躇いなくこの世から消す……そんな男だ。でも……。

「ただいま! リアン、迎えに来てくれたんだ、パパ嬉しいな~! ほら、お土産のスイーツ買ってきたからパパと一緒に食べよう! あ、でもおなか空いてないかな?」

 バーンと勢いよく開け放ったドアから颯爽と現れたこの男こそが、サマエル公爵ルシアスだ。先ほどの説明と人物像が一致しないかもしれないが、実はこの男、男女で態度がまるっきり違うのだ。彼は、全ての花が美しいように、女性は女性であるというだけで素晴らしく、誰しも必ずそれぞれの魅力があると本気で思っている。前述の才に加え、端正なルックスと家柄も相まって女性からはもう大層モテる。それも、侍女や隣国の王母など身分や年齢も一切問わず。

 そんなルシアスが結婚したのは、200年間ロマネス王国と対立を続けたゼルニア国の第三王女ミリ。ミリが社会勉強としてお忍びでロマネス王国に訪れた際、金目の物に目ざとい賊に狙われ、連れていかれそうになったところをルシアスが助け、ミリが一目惚れ。自国に戻ったミリはすぐにお父様のもとへ行き、ルシアス様と結婚したいという願いを伝える。最初は反対していたゼルニア王も、幼い頃からおとなしかったミリの初めての強い意志と熱意に根負けし、ロマネス王に対して国交の回復と、愛娘とルシアスの婚姻を持ちかけ、無事受諾。期せずして200年の対立に終止符を打ったルシアスは、異例の侯爵から公爵への爵位の引き上げがなされ、国内での地位をさらに盤石にしたのであった。

 ルシアスは結婚後、ミリを愛し、自分から女性に声をかけることは全くなくなった。それでもルシアスへの女性からの手紙は減ることはなく、むしろ愛妻家なところが加点され、お誘いは増えるばかり。ミリはルシアスのあまりのモテっぷりにヤキモチを焼くこともしばしばだったが、困った顔で女性に対してやんわり誘いを断るルシアスの表情を見ながら、(八の字眉のルシアス様も素敵……)なんてうっとりしちゃっていたのだ。その後ミリは一人娘を出産。リアンと名付けて家族仲睦まじく幸せな時を過ごしていた。

 ところが事件は起きた。ちょうどその日はリアンの5歳の誕生日会の前日で、ルシアスや屋敷の者はパーティーの準備のために町に買い物に出かけたり料理の下ごしらえをしたりと浮き足立っていた。そんな中、ルシアスに恨みを持った男がリアンを誘拐しようとしたのだ。その男は屋敷の内部の者で、屋敷の警備の手薄な場所も把握しており、庭で遊んでいるリアンを抱え走り去ろうとした。驚いた侍女が追いかけしがみつくも払われ頭を打ち、必死に抵抗したミリを切りつけたところにルシアスが帰宅。すぐに医者を呼んだがミリは帰らぬ人となってしまった。

 ミリの亡き後、ルシアスの男嫌いはより一層強まり、屋敷の者でも男に対しては厳しい目を光らせ怪しい動きがあればすぐに始末をするようになった。そして愛娘であるリアンのことは今まで以上に溺愛し、何でも願いを聞き入れてあげるようになった。

 甘やかされたリアンはどんどんワガママ女となり、ヒロインと出会う16歳の春には、すっかり誰も手を付けられない悪役令嬢になってしまったのだ。

 ……そんなキャラ設定を瞬時に思い浮かべた私は目の前にいるルシアス様をまじまじと見た。

(ほんっとにビジュいいよな……。キャラデザ完璧、髪型も迷ったけどこれで大正解だったな……。サブキャラとはいえこだわってつくってよかった)

 そう、ルシアスはあくまでヒロインライバルキャラの父親なので、メインシナリオにはほとんど出てこない。でも、今後DLCとか出せるかもしれないし……という野望もあり結構しっかり作り込んだのだ。

「どうしたリアン? 具合でも悪いのかい……?」

 心配そうに顔を覗き込むルシアス。くぅーっ! たまらん。

「いえ! 大丈夫ですわ! 無事に戻られて何よりです。お土産もとっても嬉しい! 是非パパと一緒にいただきたいわ」

 そういやあリアン様、今何歳なんだろう……? ルシアスパパとの会話で色々情報を聞き出さないと……!

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