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第一話 ここはどこ? 私はだれ⁈

「――ン様、リアン様……!」

(ん……)

 目を開けるとそこは見覚えのない洋室だった。

(おばあちゃんちに泊まりに行ったとき、翌朝目を開けていつもと違う風景に戸惑って、そのあと、そうだおばあちゃんちに泊まりに来たんだった! って思い出す瞬間……あれ好きなんだよね)

 でも旅行に来た覚えはない。

 確か昨日は金曜日で、くたくたになりながら帰宅して、さっさと寝ればいいものを、どうしてもミカルートの分岐のシナリオが気になってPCを起動して修正して…それでそのまま寝落ちしちゃったんだよね。

 はて、ここはどこなんだ……?

 キョロキョロ見回すとベッドの横にいた女性がおずおずと口を開いた。

「恐れながらリアン様、そろそろお支度を始めませんと……もうじき旦那様も戻られるとのことですので」

 リアン? 今リアンって言ったよな? 私?

 よく分からないけれど、誰か来るから早く着替えろってことよね……?

「すみません! 起きます!」

 がばっと起き上がったはいいものの、部屋の作りがよく分からない。

 えー、洗面所はどちらに……。

 歩いてみるとどこか既視感がある。この壁、この装飾品……。

「ロマプリじゃん!」

 やばい、思わず口に出してしまった。……うん、間違いない、これ、ロマプリの背景イラストのまんまだ。

 ――ロマプリことロマンスオブプリンセス(仮)は、私がプロデューサーを務めているゲームタイトルだ。(仮)なのは自分としてももうちょっといい名前があるんじゃ…?と思いつつ、とりあえずつけているタイトルだから。

 ゲーム会社の法務に転職して3年、エンタメの作り手になりたい! という思いから大手化学メーカーを辞めてベンチャーのゲーム会社への入社を決めたものの、前職での経験が買われて法務として採用されたまま、なかなか異動希望が通らずもどかしい日々を過ごしていた。

 そんな中、ゲーム事業本部の本部長に突然

「面接のとき女性向け据え置きゲームつくりたいって言ってたよね? つくってよ」

 と言われ、喜び勇んで企画書をつくり、制作まで漕ぎつけたのだ。

 とはいえ、弊社の他タイトルはプランナー・シナリオ・イラスト・エンジニア・デバッグなどいくつかのチームが集まってひとつのゲームをつくっているが、私のプロジェクトは予算が極端に少なく、事業計画の作成やマネタイズ手法の検討など、外側のことを決めるのに加え、イラストやシナリオなど中身の部分も自分で方向性を決めて監修までしなければならない。ゲーム制作自体はまるっと外注しているのだが……それでもやっぱりどう考えても一人でやる仕事量ではない。元法務だしね? 何も教えてもらわずここまで突き進めている私を褒めたい。

 ……話が逸れた。この目の前に広がっている内装はまさしくロマプリヒロインのライバルキャラ、リアン様の自室だ。ということは、今流行りの(というかもはや飽和気味の)異世界転生ってわけ⁉

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