すれっからし令嬢は傷心中
「――よって、フィオナ・ボールドウィン! 私は貴様との婚約を破棄する!」
(はいはい、テンプレ乙~)
いっそ見ている方が恥ずかしくなるほどのドヤ顔、かつ声高々に私との婚約破棄を宣言したのは、昨日まで私の婚約者だった青年……基、この国の王太子だ。
彼の隣にはふんわりと可愛らしい、まるで砂糖菓子のように甘い色合いをした美少女が肩を抱かれて寄り添っており、更にそんな二人を取り囲むように法務大臣や財務大臣、騎士団長の息子などが立ち並んでいる。
今日も今日とて殿下と愉快な仲間たちが揃い踏みで、本当に嫌になっちゃうなぁ! と、私は既にライフポイントがゴリゴリ削られている。
(せっかくの晴れの日なのに、ホント、空気読めない人たちだわ……)
今日は四年間通った学園の卒業式。
貴族子女の通う学び舎、ということでそこそこ大きな卒業パーティなる催しがあり、華々しい思い出で卒業生たちが学園生活を終わらせる日になるはずだった。
それをぶち壊したのがあちら、殿下と愉快な仲間たち。
前世で読んだ悪役令嬢+婚約破棄が題材のネット小説の、悪役令嬢に婚約破棄を突き付ける側テンプレを詰め合わせたような面々であり、かの美少女に男どもは一人残らず首ったけ。
この国の次代を担う人材が揃った『黄金世代』なんて呼ばれている殿下や名だたる名家のご令息たちを、たった一人、それも一年の間にメロメロにしてしまった美少女ちゃんの手練手管はまさに脱帽モノである。
とてもじゃないが私にはできないことなので素直にすごいと思うし、拍手や賛辞のひとつでも送って純粋に褒めたたえたいくらい。
もっとも、そんなことをしたって彼女からすれば嫌味にしか取れないだろうし、あくまでも私の心の中に留めておくけれど。
(――にしてもまさか、自分がこのコンボを食らう日が来るとは思わなかったな)
いやまあ、確かに予兆というか、こうなるかもな~という予感はあった。
男爵家出身の美少女ちゃんが殿下と愉快な仲間たちにすり寄っていたところや、私が美少女ちゃんの度を越した言動に対して『婚約者のいる殿方との距離感がうんたらかんたら』とか『身分の違いをわきまえて節度ある行動をどうのこうの』といった苦言を呈していたこと、そして一婚約者としてごく当然の対応をしたはずの私に殿下が逆ギレして怒ったこと……等々。
うーん、当時はあんまり意識していなかったけれど、こうして振り返ってみれば間違いなくパーフェクトな悪役令嬢モノのネット小説のテンプレです本当にありがとうございました。
でも、それはそれとして次代の王に王侯貴族として当然の、節度ある振る舞いを主張しただけでキレられるとはこれいかに。
大丈夫? 殿下、王太子としての自覚ちゃんとあります?
前世では一般市民Aだった私よりも認識が薄いあたり、なんとも心配しかないんだけどなァ……。
現代日本でお気楽な独身貴族を満喫していた前世ではあったけど、貴族という言葉はあくまでも比喩表現であって、今世のように礼儀礼節その他もろもろにがんじがらめにされていたわけじゃなかったし。
前世と今世の違いを自分に叩きこむために必死になっていたぶん、もしかしたら殿下よりも私の方がその辺り厳格だったりするのかしら?
まあ、粗相をするたび教鞭で打たれたり、ねちっこく嫌味を言われるなんて国王夫妻から溺愛されている殿下には無縁そうだもんね。そりゃあそうだ。
(――ホント、お気楽で羨ましい限り)
心の中でひとりごちたそれは、たぶん、声に出していれば苛立ちと妬み嫉みに満ち満ちたものだったと思う。
こちとら物心ついて前世のことを思い出した頃には殿下との婚約が決まっていて、国母になるための王妃教育をみっちりぎっしり詰め込まれてきたのだ。
失敗すれば前述の通り教鞭で打たれるなんてしょっちゅうだし、息をつく暇もないくらい次から次へと予定が入っていたせいで、気絶するように眠る毎日が子どもの頃から続いている。
子どもってもっとこう、自由で遊ぶ時間があって、親や周囲の大人に甘えられるもんじゃなかったっけ? なんて、そんな前世の価値観と常識を塗り替える勢いのそれに、我ながらよくもまあ心が死ななかったものだと思う。
侯爵令嬢として生まれた以上、持てる者の責務は果たさなければいけない、というある種の割り切り――言い換えるなら染みついた社畜根性のおかげなんだろう。
嬉しいような、悲しいような、なんとも微妙な心地である。
……しかもその上、王妃教育に留まらず、ここ数年は殿下がさぼった公務まで回されてくるようになったのだから恨み言のひとつも言いたくなるというか。
いくら息子が可愛いからって、次代の王として果たすべき最低限の仕事もしないことを叱らないとか、いかんせん国王夫妻ちょっとまずくない?
もちろん私が手を出していいことじゃないとか、きちんと殿下がやるべきだって主張はするんだけど、私がやらなかったらやらなかったで『未来の王を支える気がうんぬんかんぬん』と叱られるから本気で萎える……。
だから渋々こなしていたけど、正直、私が殿下の公務を代行していたのは『仕事が進まなくて困る!』というお役人の方々のためという部分が大きい。
上の承認がないと進まない仕事ってあるよね、わかるよ、わかる。
ブラック企業戦士は働く貴方の味方です、なんて。テンションが狂っているのは忙しすぎるせいだと言っても過言じゃない、はず。……たぶんね。
ちなみに私が公務を代行している間、殿下が何をしているかと言えば、ご学友――もとい愉快な仲間たちの皆さんと遠乗りしたり、クリケットしたり、狩猟をしたり、大体そんな感じですかね。
さらにちなむとここ一年の間では、あの美少女ちゃんとの逢引も公務のサボタージュの理由に含まれている。
やってらんねぇ! と私がキレ散らかしたくなるのも当然というものだ。
お気楽能天気に毎日を過ごせるなんて本当に羨ましいことで!!
(そりゃあね? 殿下が恋愛結婚に憧れる理由は、わからないでもないけどね?)
国王夫妻が恋愛結婚をした、というのはこの国じゃ有名な話。
だから殿下も両親のように恋愛結婚したい、という願望が小さい頃から強くて、私という婚約者がいることをひどく嫌がっていた。
そんなわけで、美少女ちゃんが単純に殿下の好みのタイプにドストライクだったから……というのも彼女にぞっこんな理由の一つだけど、一番の理由としては『恋愛結婚への憧れ』が強いのだと思う。
真実の愛だのなんだのと、私に逆ギレする時におとぎ話の文言を好んで使っていた辺りからもそれは察せる。
女の子と恋愛結婚に夢を見ている殿下は、『お砂糖とスパイスと素敵な何か』でできている女の子との幸せな結婚を願っていて、そこに現実主義の口うるさい婚約者はお呼びでない。
要はそういうこと。
マ、そんな殿下に付き合わされて、巻き込まれている身としては『頭の中お花畑なの?』の一言に尽きるんだけど。
王侯貴族の結婚にそんな自由があると思う?
残念、『ない』のが原則です。
王侯貴族の結婚は当然メリットありきのものだし、政治と金が多かれ少なかれ絡むもの。
国王夫妻はたまたまそのあたりがクリアできて、なおかつ当時のお二人には決まった婚約者がいなかったからこそ、恋愛結婚ができたという超絶レアケースなのだ。
その辺の説明を国王夫妻が殿下にしていないからこういった事態が発生しているんだけど、お二人はいったい何を考えていらっしゃるんで?
殿下から奏上された『フィオナ・ボールドウィンとの婚約破棄』を承認しているあたり、何も考えていないような気もするけれどどうなんだろう?
(――なんて、ね)
そうなるように働きかけた私が、どの口で言うって話なんだけどさ。
+ + +
話はおよそ、一週間ほど前に遡る。
珍しく執務室から出て行く殿下を見かけ、あの公務嫌いの殿下が執務室にいたなんて天変地異の前触れか何かか? と本気で訝しんだあとのこと。
いつものようにばっさばっさと書類を捌いて片付けていると、ぱらりと一枚の紙が執務机から落ちた。
その紙にはお世辞でも綺麗とは言えない殿下の字で『フィオナ・ボールドウィンとの婚約破棄について』と題が書かれており、更にその題の下には婚約破棄を奏上するに至った理由が書き連ねてあった、の、だけど……。
公務嫌いの殿下が書類作成の体裁を知っているはずもなく、当然中身はしっちゃかめっちゃか。
無心で公務をこなすことに慣れていた私が思わずイラッと来てしまうくらいの出来栄えだったし、婚約破棄の根拠に至っては主観ばかりであまりも杜撰。
こんなもんが通るか! と日ごろ溜まっている鬱憤が弾けてよくわからないキレ方をした私は、そのおかしなテンションのまま、気付けば殿下が作成した書類と呼ぶのもおこがましい紙きれを校正していた。
――で、ほとんど校正が仕上がった段階で、ふと我に返ったわけだ。
『この紙切れ、もっと内容を詰めて革新派に有利になるように手はずを整えれば、私は殿下から解放されるんじゃない?』……と。
保守派筆頭として殿下と私の婚約を結んだ実家からすれば卒倒物の気付きだけれど、私からすれば天啓にも等しいナイスアイディア。
そんなわけで、血も涙もない実家にも王家にも恨み辛みを溜め込んでいた私は、無駄に培われた社畜スキルを全部つぎ込む勢いで婚約破棄に関する書類を完成させた。
主な理由としてはたかだか婚約者の分際で越権行為(という名の公務代行)をしていることを挙げ、あとはギリギリ嘘にならない程度に物の見方を変えてちょちょいっと。
イメージとしては、殿下の目の前で美少女ちゃんにごく当たり前の注意をしたことを、『こいつ殿下の婚約者という立ち場を利用してパワハラしてました!』風の言い回しに変える……といった感じだろうか?
これを手を変え品を変えて書面に並べ連ねることにより、婚約破棄の根拠としていかに私が国母に相応しくない性悪令嬢なのかを書類の中で提示しているかたちである。
なお、下手に王家側からごねられても面倒臭いので、殿下の浮気については全力で隠しておくことにした。
なのであとは、この書類を革新派筆頭の公爵閣下にお渡しすれば良いように取り計らってくれることだろう。
あの方はかなりの辣腕を振るう御仁なので、筆跡から殿下が作成した書類じゃないなと気付くだろうが、革新派の勢いを強めるために『使える』と判断すれば多少のことは目をつぶってくれるはず。
そうして私を殿下の婚約者という立場から引きずり下ろすために都合の悪い事実は隠蔽し、必要な証拠はそれっぽいものをでっちあげてくれるに違いない。
保守派筆頭の娘と革新派筆頭が手を組むなんて、あとにも先にもこれっきりだ。
+ + +
以上、回想終わり。
あとはトントン拍子でことが進み、国王夫妻からの承認も降りて、昨日の時点で私と殿下の婚約関係は解消されたというわけ。
しかしどうして私がそれを知っているのかと言えば、お察しの通り、公務代行をしていれば否が応でも情報が入ってくるからの一言に尽きる。
だって婚約は昨日解消されたばかりで、おまけに殿下が今日のために関係各所へ箝口令を敷いたばかりに、今の今まで私が殿下の婚約者のままだと思っていた人が大半だったしね。
殿下の婚約者、もとい公務代行の社畜相手だと思ってあれこれ政治に関する話とか、決済関係の話だとか振ってくる人はごまんといたわけだ。
そんなわけで、婚約破棄に関する書類の承認が下りました、という書面もばっちり昨日の時点で確認していたし、なんなら婚約破棄からの貴族籍剝奪という処分を受けることも私はちゃっかり知っていた。
つまりは実家からの勘当処分ということだけど、殿下の婚約者じゃないお前に価値なんてねーよ! という実家の明け透けな思惑に、思わず心の中で中指を立てた私は絶対に悪くないと主張する。
なんならついでに『私だってお前らに家族の情なんざねーよ!』と吐き捨てる勢いである。
私の家族は前世の家族だけ。いいね?
「――おいっ、聞いているのか!?」
「……何をです?」
知っている話を真面目に聞いているのもあほくさくて、話半分に聞き流していたのがどうやらバレてしまったらしい。
とぼけた返事を返した私に殿下は顔を真っ赤にして地団駄を踏み、……そういうところがお子さまなんだよなぁとしみじみ思う。
マ、正式に婚約破棄も発表されたことだし、お子様のお守りも終わらない公務とのデスマーチも終わりと思えばなんのその。
こんな茶番はさっさと終わらせて私を市井に解き放つか修道院に放り込むかして欲しいし、ほかの卒業生たちの思い出に華を添えるパーティを再開してもらいたいところ。なんて、そんなことをつらつらと考えていたら。
「……ッ、フン! そう悠長にしていられるのも今のうちだ!」
「はぁ、左様で?」
「何故なら貴様はボールドウィン侯爵家から除籍の上、国外追放が決まっているのだからな! ――次期国王たる私が愛する人を傷つけた悪女め、死罪にされぬだけありがたいと思うがいい!」
「あら、そうなんですの」
意地悪く、得意げに笑いながら朗々と語る殿下に、対する私はと言えば頬に手を当てて軽く首を傾げるだけ。
あまりにも私の反応が薄いからか、殿下は困惑して勘当だぞ? 国外追放だぞ? と小さな子どもに言い聞かせるように言葉を繰り返すが、一度言われればわかりますよと我ながら可愛げのない返事を返す。
するといよいよ殿下も、美少女ちゃんも、愉快な仲間たちも周りの生徒たちも派閥関係なくみんな丸く目を見開いていて、それがなんとも私の笑いを誘う。
はは、ウケる(棒)。
……そりゃあ、まあ、初耳の情報が出て来たのは確かに驚いた。
けれど、動揺するほどのことか、と言われるとなんとも微妙なところで。
昨日の婚約破棄の情報が流れてきた時点で情報操作をされていたのかもしれないし、急を要する内容の書類だけ捌いて私がお城を去った後に急遽決まったことなのかもしれないし、殿下が思い付きを言っているだけかもしれないし、可能性だけならいくらでも思いつく。
でもまあ、一番高い可能性としては、派閥を問わず用心深い人たちが私を抹殺するための隙を作ること……あたりだろうか。
殿下の代わりに公務をこなしていた以上、国の政治の中枢に関わる情報を多かれ少なかれ知っている私に生きていられたら都合が悪い、という思惑が働いている気がする。
(……せっかく穏便に退場しようと思ったのにこの仕打ち、ホント酷すぎない?)
あーあ、世の中やってらんね!
前世はブラック企業戦士で過労死でしょ、今世は今世で人間関係ガチャほぼドブでしょ、おまけに必死に政治を回すためにやってきた苦労も全部パァときた。
(マジで私、なんのために生きて来たんだろ……)
なんかもう『お前のやってきたこと全部無駄だから(笑)』って言われてる気がしてきた。
……『それは幻聴』? いやぁ、どうだろうね。
私が生きている方が都合が悪いって人が多いみたいだし、あながち間違いでもないと思うけど。
(あ、無理。なんかますますメンタル病んできた)
こんなことなら殿下の婚約者を続けていた方がマシだった?
……いや、どっちもどっちだな。
針の筵で飼い殺しされるか、誰にも知られずひっそり殺されるかのどちらかとか、どっち選んでもお先真っ暗も同然だし。
正直アレでしょ?
私、生きてることはおろか、人格が残っていることさえ許されないんでしょ?
うーん、控えめに言っても地獄。
(ああでも、どうせ地獄なら)
――死なばもろともってことで、この場にいる全員、巻き込んじゃおうかなァ。
「フィオナ様! わたしは、私は知っています! 貴方が本当は何も悪くないことも、殿下がおっしゃるようなことは何もしていないことも、だから、どうかっ――」
「あ、悪いけどそういうの今いいから」
「え」
「というか、……へぇ。ふーん。そうなんだ。やっぱり君、自分が悪いことをしているっていう自覚があるんだね」
「え」
「マ、そうじゃなきゃあんなセリフ出てこないもんね。さすが女優、言うことが違うなぁ」
いい子ちゃんムーブをかまそうとした美少女ちゃんの揚げ足を取り、パチパチと手を叩きながらへらへらと笑う。
それだけで場がピシリと凍り付いたのは、きっと今までの私が『言い返す』こともなければロクに人前で笑うという行為をしてこなかったからに違いない。
厳密には『はいはいそうね』って感じで軽く流していたか、『癇癪持ちのお子さまに何を言っても無駄だよなぁ』とため息をついて言い募るのを諦めていたかのどちらかだけど、結果的には言い返していないのだから同じこと。
しかも今回は悪意マシマシ、嫌味成分たっぷりで言い返しているので、陰で『堅物』だの『人形』だのと揶揄される私の世間一般のイメージとはあまりにもかけ離れている。
それがなおさら、この場にいる面々にとっては衝撃だったのだろうなと頭の隅っこで考えた。
――私からすれば、だからどうしたって話なんだけどさ。
「女優と言えば、私、感心したことがあるんだよねー」
「え? え?」
「殿下一人だけならまだしも、黄金世代の全員に愛を囁いて口付けをして、『あなただけよ♡』なんて言葉で簡単に手玉に取っちゃうんだから! いやぁ、殿下の代わりに公務をこなす機構としてしか求められなかった私にはとても真似できない、ハニートラップもかくやという芸当。よくもまあ同時に複数人の男性と関係を持てるものだと、実は感心しきりだったんだよ?」
『え゛』
まずはお前だ、とにこにこ笑顔を浮かべたまま狙いを定め、皮肉混じりに私が目にした美少女ちゃんの武勇伝を大っぴらに暴露する。
学園の中庭や寮、運動場、ガゼボなど、様々な場所でとっかえひっかえ黄金世代とそりゃあもう仲睦まじく過ごしていた美少女ちゃん。
現代日本的な感覚があるから手を繋ぐとか、軽いハグ、あとはまあ子どもみたいに触れるだけのキスくらいなら私もまあオッケーかなと思ったし、好きにすればいいんじゃないと平静を保っていられた(王侯貴族の未婚の男女、それも婚約者でもない男女の付き合い方的には完全にアウトだけど)。
でも、うん、ディープな方のキスとか、それ以上のことはさすがに私も心を無にして現場を離脱しなきゃやってられなかったよね?
オタクだから無駄に知識はあるけど、悲しいかな二次オタ喪女にその手の現実の耐性はなかったのだ……。
(……、冷静に考えれば喪女じゃなくても嫌だな?)
毎度毎度、行く先々でいちゃいちゃ(※成人向けの内容を含む)する彼女と男たちに遭遇しては、何も言わず、気まずい思いをして気付かれないようにそっと立ち去った私の優しさに感謝するがいい。
リア充爆発しろ。
まあ今しがた全部カミングアウトしちゃったんですけどねっていう。
「……! ……………!!」
「はは、何言ってるのか全然わかんねー」
普段の庇護欲を掻き立てる小動物系美少女の面影は一体どこへやら。
驚愕で限界まで目を見開き、ぱくぱくと口を動かす美少女ちゃんに私は半笑いだ。
……え、殿下たちはどうしたのかって?
こちらも同じく愕然としていて、美少女ちゃんを見たり、お互いの顔を見合わせたりしてどうにか事実確認を図っている様子。
そんなことしなくたって事実なのにね。
知りたければ何月何日の何時ごろ、どこで誰が何をしていたか詳らかに語ることもできるけど。
……『そんなことしなくても結構です』って? わはは、だろうね。
君たちみんな自分が彼女の一番で唯一だと思っていたんだろうし、そうじゃなかった事実を直視するのは怖いよね?
でも残念、この場に集まっている全員が私の道連れです。
というわけで指折り数えながら説明して行こうね!
かくして次々暴露される聞くに堪えない美少女ちゃんと王太子と愉快な仲間たちの爛れた関係に、繊細な子たちがふらふらと倒れたり座り込んだりしているのを、無事な人たちが介助するというちょっとした地獄絵図が完成した。
その中心にいる当事者たちは恥ずかしすぎて動くこともできないのか、ぷるぷる震えながら涙目になっている、んだけど……。
(いやいや、それじゃ駄目でしょ?)
ここはさっさと私を黙らせて箝口令のひとつも敷くのが被害を最小限に留める方法なのに、それすらできないとか殿下も愉快な仲間たちも甘っちょろいというか、お子様というか。
周りの人がなんでもやってくれて、思い通りにいかないこと、壁にぶつかったことがないんだろうなぁという経験のなさが露呈している。
その片棒を担いでいた私が何を言ってるんだって話だけど、私も不本意だったし、どうせこのあと殺されるんなら八つ当たりのひとつやふたつさせて欲しいよねってことで、ここはひとつ。
「フィ、フィオナ、きさま……! わたしをはずかしめてたのしいか!?」
「正直めちゃくちゃ楽しい」
「ヴァッ」
「遊びほうけるばかりでろくに仕事もなさらない殿下には不満しかないし、当然では?」
にっこりと底抜けに明るい笑顔を浮かべた私に殿下が潰れたカエルのような声を上げたけど、スルースルー。
どうせこのあと殺されるんだし、悪女らしく不敬罪も盛りに盛ったろ! と、良くない方向へ振り切れている私はもはやブレーキが壊れた車。
アクセルをひたすら踏み続けていいたいことをぶちまけるだけの存在と化している。
そんなわけで殿下が仕事をさぼってお友達と遊びほうけていたこととか、財務大臣の息子と共謀して国の予算から切り崩したお金を美少女ちゃんにつぎ込んでいたこととか、グレーゾーンどころか完全アウトのエピソードだって話しちゃうよ。
お前もお前もみんな道連れなんだよぉ!!
――正直なことを言えば、物的証拠がないから言い逃れされる可能性もあったし、私の頭がおかしくなって妄想話を話しているだけ、と思われる可能性も十分あった。
でも、私が徹頭徹尾、淡々と事実を並べ立てていることが効いたのか、はたまた露骨に『マズい!』という反応を見せる殿下たちの様子が決め手だったのか、会場はだんだん私の醜聞告発を信じる方向へと空気が動き始めている。
私から話の主導権を奪えず後手後手に回っていればそれも当然なんだけど、その辺が殿下たちの経験のなさであり未熟さでもあるといったところか。
(……マ、やさぐれバーサーカー相手に主導権を取り返せってのも難しい話か)
将来を約束されて、甘やかされて育ったお坊ちゃんたちじゃ到底レベルが足りないスキル。
でも、もうじき成人の儀を迎える未来の王とその側近がこれじゃ、お里が知れてるってもんよね。
「あ、そうそう」
そういえばコレ言ってなかったな、と思い出したことがひとつ。
最期にこれを言って、殿下たちの甘い夢をぶち壊して終わりにしてやろ~と考えながらまたひとつ、にこりと笑みを浮かべると、会場全体の空気がぶるりと震え上がった。
……やだなぁ、私はあくまでも善意のアドバイスをするだけであって、今までみたいな醜聞の暴露はもうしないよ? 本当だよ?
なのにどうしてこんなに怯えた顔をされるのか、フィオナわかんない。
だって――
「ずっと気になっていたんですけど、そこな彼女は一体、何が狙いで黄金世代を篭絡したんでしょうね?」
私は誰もが見過ごしている疑問を提起するだけなんだから、怯えることなんてないでしょ?
(さて、これからどうしたもんか)
混乱と混沌で阿鼻叫喚の地獄と化した卒業パーティの会場をさっさと抜け出して、これからについて考えた。
といっても、あともう数時間もすればどこぞの誰かが雇った暗殺者なり、ごろつきなりに襲われてこの世にさよならを告げる羽目になるんだろうけど。
だから考えるべきは死ぬまでに残された数時間の猶予をどう過ごすか、ということで、せっかくなら誰もいない場所にふらっと出かけてひっそり猫のように死んじゃおうかな、なんて。
そんな投げやり極まりない思考を私が巡らせた時――
「ふっ、くく」
「……」
「くふふ、はは、あっはははははははは!!」
背後から聞こえたのは、こらえきれない笑いを吹き出す声。
その声に心当たりがあるどころか、むしろ会場にいた頃から視界の端にチラチラと笑いをこらえる姿が映り込んでいたので、まあ十中八九で彼だろうなぁと思いながら私は振り向いた。
「いやー、最後の最後にオモロいもん見せてもろたわ……っ」
「……楽しそうだね、ルー」
「そういう自分はこの世の終わりみたいな顔してんで、フィー」
ぴこんとはねるとがった耳に、先に行くにつれて金から白へと毛が染まる尻尾。
その両方を機嫌よさげに揺らしながら、笑ったことを隠そうともせずゆったりと歩いてくるのは、私の友人であるルー……もとい、ルース・カークランドだった。
ルーは国民が皆獣人である隣国から留学に訪れた皇子様で、彼自身も狐の獣人。
オレンジがかったブロンドの髪と毛並みを持っていて、顔立ちは糸目の塩顔? とでも言えば良いのか。
アニメや漫画で狐っぽいキャラクターにいがちな顔立ちをしているからか、顔立ちがアジアンビューティ寄りだからか、親近感があって非常に落ちつく顔をしている。
ちなみにルーは第二皇子で、お兄さんが既に王位を継ぎ、世継ぎも生まれているからとそこそこ自由が許されているらしく、一年ほど前からこの学園に留学していた……という経緯がある。
留学中のルーと私はひょんなことから友人関係となり、話をするうちに思ったより気が合った結果、今ではこうして人目がない時に限りお互いを愛称で呼び合う程度には親しくなったのだ。
私も彼もお互いに嫌われ者であり疎まれ者、というところにシンパシーを感じたのが、私たちが仲良くなった一番の理由だと思っている。
……詳しい話はまあ、そのうち、時間があればその時にでも。と
とはいえ私は死が間近に迫っているわけで、実際に詳しい話をするのはルーに任せることになりそうかな。
いやぁ、ほんと世の中って世知辛くて困るわ……。
「はー、笑った笑った。しばらく思い出し笑いできそうやわ。おおきに」
「そっか。やさぐれて八つ当たりしてただけだけど、ルーが楽しかったならいいや」
「大根役者の茶番劇を見せられたのは退屈やったし、フィーが貶されたのははらわた煮えくりかえるほどむかついたけどな。……ところで会場でも思ったんやけど、自分、もしかしてそっちが素?」
「素……と言われれば、そうかもしれない。ご令嬢っぽく振る舞うのは正直、肩が凝って苦手」
「それで十年以上も取り繕うとかご苦労さんやね。これからどないするん?」
「今ちょうど考えてたとこ。どうせ今日中には始末されることになるだろうし、どうしようかなって」
「は?」
「……ああでも、下手に私の死体が残ってると呪いをかけるのに使われるのかもしれないのか。死体処理の方法まで考えなくちゃいけないとか本当に面倒臭いな、魔術の国。いっそ塵一つ残さず爆発四散するしかないのでは?」
「は?」
はああ、と面倒臭いお国事情に海より深いため息をつきながら思考を整理する私の隣では、ルーが糸目をかっぴらいて低い声を出している。
それから数秒のタイムラグののち、どういうことや、と尋ねてくるルーの口調はどこか拙く、脳の処理が追い付いていないような印象を受けた。
(……そうか、そういえばルーには黒魔術のたぐいについて話したことがなかったっけ)
なるほどね、と一人得心を得た私は、時間がないので手短に黒魔術の説明を済ませた。
かなりざっくりとした説明だけど、この国には様々な種類の魔術が存在するなか、呪いたい相手の血や肉や髪の毛などを使うことで、間接的に相手を殺したり、相手の一族を根絶やしにする黒魔術という区分があること。
後ろ盾どころかこの国での人権すら失った私は遅かれ早かれ実家の政敵か、もしくは生家に怨みのある勢力から殺されることが予想され、死体は黒魔術の道具として使われる可能性が高いこと。
一応、実家もその可能性は視野に入れているはずなので、実家からの刺客に始末されて死体を処理されるパターンも有り得ること。
……以上を掻い摘んで話せばルーの表情がどんどん抜け落ちて、最終的には無になった。
うーん、薄ら笑いを浮かべているのがデフォルトなルーにしてはなんとも珍しい。親友はびっくりだよ。
「この国の貴族はクソか? 知っとったけど」
「貴族なんて大抵クソだよ。知っての通りね」
そして、露骨に苛立ちを滲ませるルーの様子に更にびっくり。
(……へぇ、君も怒るんだなぁ)
学園の生徒からの陰口も飄々と受け流して、人のいないところで『友好国の王子によぉ陰口なんか叩けるわ~』と鼻で笑っているところはよく見かけたけど、こんな風に怒っているところは初めて見たな。
冥土の土産にいいもん見せてもらったと思うことにしよう、そうしよう。
「にしても王子、お口が悪くありませんこと? ……いやまあそれを言ったら、平民になった私が君にこんな馴れ馴れしい口を利く方がまずいか。申し訳ございません、カークランド様」
「やめやめ、今さらフィーに距離取られる方が嫌やわ。どうせ国でも嫌われ者の王子様や、仲良うしたって?」
きゅるんっと渾身のぶりっ子を披露したルーに、思わず失笑。
態度こそふざけているけれど、言葉も気持ちも本物だってわかるから、卒業パーティの場で冷え切った心がぽかぽかしてくる。
それじゃあお言葉に甘えて、と口元に笑みを浮かべれば、うんうんと満足げに頷くルーの尻尾がまたゆらり。
……親愛の情が私の一方通行ではなく相互の矢印になっている、と感じられたことに、私は無意識のうちにほっと息をついていた。
「なあ、フィー」
「どうしたの、ルー?」
いつもよりも硬い声音で名前を呼ばれ、どうしたのかと首を傾げる。
心なしかルーが緊張しているようにも見えるのは、これまた珍しく真面目な表情をしているからなんだろう。
実際、ルーは何か真面目な話をしようとしているのかもしれないし、ここはいったん足を止めて耳を傾けるのが本当の友人というもの。
黒魔術対策に自分がいた痕跡を可能な限り抹消すべく寮に向けていた足を止め、私は友人に言葉の続きを促した。
……もちろん、自分が死ぬまでの猶予はそう多く残されているわけではないことは、重々わかっている。
けれど、それでも、ルーが何か真面目な話をしたいと思っているのであれば、残りわずかな生きる時間を使っても良いと――むしろ使わなければならないと思うほどに、ルーは私にとって大切な友人だった。
なにしろルーはフィオナ・ボールドウィンにとって、初めての友人なのだ。
晩年の思い出を優しく彩ってくれた、気の置けない親友。
そんな彼のために最後にしてあげられることが『話を聞く』という行為だと言うのなら、いくらだって聞いてあげたいと、そう思って。
「自分、行く宛てがないならうちの国に来いひん?」
――緊張の滲む声でかけられた誘いの言葉に、私は息を詰まらせた。
「いくら嫌われ者でも、仮にも友好国の王子やからな。俺と一緒におる限り、こっちの国の連中はフィーを殺すなんてできひんやろ。……せやから、このままこっちの国にいたら殺されてまうんなら、殺される前に俺と一緒に来たらええ。いわゆる亡命や、亡命」
「……いや、でも、」
「フィーのことやし、俺の迷惑になる、とか思っとるやろ? 気にすることあらへんよ。むしろこっちでは俺が迷惑かけっぱなしやったし、恩返しのひとつでもさせたって?」
突然の提案に驚き、何より及び腰になる私を見透かして、ルーは早々に退路を断ちにかかってきた。
おかげで迷惑になる、と言いかけた声は先回りの否定で空気に霧散することになったし、恩返し、という言葉が私の罪悪感を根元から刈り取ろうと刃を伸ばしてくるのに必死に抵抗する羽目になった。
……『絶対に私に頷かせてやる』という謎の執念(?)がルーから感じられて、なんといか、ちょっと困惑。
(私の友人、あまりにも容赦がなさすぎでは……??)
饒舌で淀みのない発言はしかし、普段の彼よりもわずかに早口になっていて、付き合いの長い私にはどこか焦っている印象を与える。
けれどそれを気にする隙も与えまいと言うように、ルーはずいっと私との物理的な距離を詰めてきて「どう?」――なんて、顔の良さを使って存分にアピールしてくる有様。
(……あっあっ、いけませんお客様、貴方の顔の過剰摂取は身体に毒です!)
ただでさえ友人として好感度めちゃくちゃ高いのに、そこへさらに顔の良さを発揮されたら困ります。
私に君の顔は特攻が刺さります、友人特攻がめちゃくちゃぶっ刺さるので、あの、ウワーッ!
「やめてくださいしんでしまいます」
「……」
「……? ルー?」
視界からルーの顔を遮るようにサッと両手で壁を作ると、ぐいぐい押せ押せモード全開だった彼がぷつんと無言になった。
あまりにもいきなりのことで逆に心配になった私は、ゆっくりと両手の壁を胸元まで降ろしながら、恐る恐る友人の様子を窺う。
すると、両手の壁の向こうには唇をへの字に曲げて眉間にしわを寄せるルーがいて、……その表情が何かを堪えるようなものだったからだろう。
ますます心配になって名前を呼びかければ、ルーはぶすくれた表情をそのままに、ぼそりと呟いたのだ。
「……から」
「なに?」
「フィーに死んでほしくないから、生きててほしいから、一緒に来いって言っとるんやろ……」
「ヒュッ」
とうとつなでれはやめてくださいしんでしまいます。
……というのは、半分冗談で半分本気だ。
なにぶんフィオナ・ボールドウィンとして生まれてからの十八年、私は他者から良くて無関心、悪くて嫌悪や厭悪や憎悪といった感情しか向けられてこなかったので、明け透けな親愛の情を向けられるとどうしたらいいかわからなくなってしまう。
だから悲しげに、拗ねたように呟くルーのおかげで私は真面目に呼吸が一瞬止まったし、心臓がギュンッとして、なんなら握り潰されて破裂するんじゃないかと思うくらいの衝撃だった。危なかった。
(前世から筋金入りの長女だから耐えられたけど、次女だったらきっと耐えられなかった……)
「フィー?」
「今ほんと心臓止まったから待って。待って……」
「えっ」
突然胸を押さえ、息絶え絶えになる私にルーがおろおろしているのも珍しい。
珍しいが、今回のこれは君のせいなんだぞ! と声を大にして訴えたいところである。
私が一体何をしたって言うんだ、君と友達になっただけだろ!
……。
……、……。
……どう考えても普通に自業自得だった。
初めてできたともだちにクソデカ感情を育てているのはお互い様ってことか、なるほど?
「……ルー」
「……うん」
「生きてて、欲しいの?」
「うん」
「……ただでさえ疎まれ者で、侯爵家からは勘当されたし、見ての通りのすれっからしだけど、それでも?」
「俺も似たようなもんやって。あっちに帰れば、兄貴のお情けで第二王子の立場におるだけの嫌われ者やで?」
「っ……」
おどけて肩をすくめるルーに、目の奥がじわりと熱を持った。
唇は真一文字に引き結んで、眉間に力を入れて、今にもこぼれだしそうなものを必死に押しとどめる。
ゆっくりと、意識的に肺いっぱいに酸素を取り込んで、同じだけの時間をかけて二酸化炭素を吐き出すのを繰り返す都度、三回ほど? だったと思う。
こみあげる『それ』をどうにか落ち着かせることができた私は、これ以上の刺激を与えないように箱の中に丁寧にしまい込んで(次は抑え込めるかわからなかったからそりゃあもう厳重に)、……それから、それから。
「……そうだね」
「フィー?」
「ルーがいるなら、それもいいかもしれないなぁ」
断らなくちゃいけない、と思うのに、口から出たのは正反対の言葉だった。
……自分から仕向けた部分もあるとはいえど、後ろ盾をなくすだけに飽き足らず、修道院にも入れてもらうことすらできず処分を待つだけになった人生。
そんな意味もなければ価値もない人間なんだから、だったらせめて、こんな私にも価値を見出してくれる友人のためにもう少しだけ往生際悪く足掻いてみようか。
ふと魔が差してそう考えてしまったのは、きっと、私に『生きて欲しい』と言った彼が迷子の子どものような顔をしていたからなんだろう。
親とはぐれて不安になっているような、今にも泣きそうなのを必死にこらえているような、そんな顔。
いっとう大切な友人にそんな顔をされてしまったら、もう少しだけ傍にいたいと、傍にいてあげたいと思ってしまうから。
「ねぇ、ルー。……私を攫ってくれる?」
呆れるくらいにちょろすぎる自分に内心自嘲して、ぽかんと呆けるルーにそっと笑いかけた。
……たったそれだけのことで彼は表情を輝かせ、至上の幸福を噛みしめるように笑みをほころばせるものだから、私はひどく困ってしまって。
奥歯をぐ、と噛みしめながら、歪む視界から涙がこぼれないように堪えるのが精一杯だった。
ここから始まる自己肯定感が底辺を這ってるすれっからしなやさぐれ社畜令嬢と同じく訳ありで自己肯定感低めのおきつね王子が繰り広げるほのぼの&じれじれな恋愛日常話が書きたい(読みたい)けど続きが思いつかないのでいったん連載予備軍として投稿しておきます(ここまでノンブレス)(必ず連載できるレベルまでプロットを組むぞ、という固い意志)。
連載中の作品の息抜きに書いた作品でしたが、最後まで目を通していただき、ありがとうございました!
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のちほど活動報告の方にこちらの作品をアップしたことのお知らせを掲載しますが、併せて軽い人物紹介も載せておくので、もしご興味あれば覗いてみてくださいね。