「人は経験したことしか書けない」問題についての私見&でも経験は大事だよなあと思った話
「人は経験したことしか書けない」
少し前に話題になってましたね。
自分はその辺について語れるほど作品を書いたりはしていませんが、そういった話題に触れている人の書き込みなどを眺めてみると、
①そもそもこれを話題に上げる人や語る人が、
「経験(本など他者の体験含む)」
と、
「体験(自身の身で経験)」
を混同しているように見えることがある。
②「ファンタジー」のようなイメージに形を与えるジャンルと「社会問題」のような現実に即した物を取り上げるジャンルでは必要な「経験の質」が異なるけど、あんまりその辺を考慮せず「創作全体」のような大きな主語で一緒くたに語りがちな人がいる。
みたいな論調が結構目について、自分としてはあんまり触れる気になれなかったですね。
で、その経験がうんぬんを目にした時に思い出したのですが、自分、某巨匠が言ったという(実は言ってないらしい?)、創作を料理に例えた「思い出の冷蔵庫」のコピペが好きだったんですよ。
「経験が無いからこそ自由な発想が出来る」
「どれだけ自分の中に蓄積させておけるかではなく、書きたい物を表現するのに必要な知識(素材)を集める力こそが大事」
みたいなやつ。
自分がエッセイや日記ではない何らかの「物語」を書き始めたのが2022年頃だったんですが、その時に背中を押してくれた言葉でもありました。
「思いついたならまず書いていい」
「書いてみて不足していると感じたことを調べればいい」
そういう風に解釈したので。
でもよく考えるとこのコピペ、そもそも料理(創作)をしようとするのが料理人(少なくともある程度の前提知識がある)という前提で書かれている気がするんですよね。
表現する手段があるから経験(素材)を活かせるのであって、それ以前の状態の素人だと活かすどころかそもそも素材を集めること自体が大変なんじゃないかと。
その点は自分で実際に物語を書いてみて痛感しました。
書きたい題材やテーマに関連した情報を探すのがまず大変。
元々それらへの知識が無い場合、そもそもどれが正しい情報か? 適切な情報なのか? なんてのもよく分からないことも多いですし。
しかもその内容を作品にそのまま活かせることなんて稀で、リアルさ&創作物としての面白さ両面に配慮しつつ、物語に合うように知識をいい感じにアレンジする必要があったりしますし。
知識(素材)の集積という経験も大事だけどそれを活かす能力を高めるための経験(実践)も大事。
考えてみると当たり前ですが、実際にやってみるとそのバランスの難しさに悶絶してしまうのでありました。
でも異世界転生作品を書く作者さんへの「マジかよあの作者転生経験者かよ……!」とか、夢小説作者さんへの「推しと付き合ってたなんて……信じてたのに……!」みたいな「経験していた大喜利」は割と好きでしたね。
あと「自作品に活かせた経験」とか「作品を書いていて必要性を感じたから実際に経験したこと」みたいな話も読みごたえがあって面白かったですね。
何にせよこの言葉、経験の重要さを再認識するという意味では良い言葉だと思います。
少なくとも「経験の差マウント」みたいな使い方はせず、建設的or面白いネタ的な使い方をして欲しいなあと思いましたね。