最近観た映画 「ゴジラ-１.０」
「ゴジラ-１.０」
観てよかった！ 本当に面白かった！
今作は人間ドラマ（というか主人公の描写）に力が入っていて、最序盤にゴジラは出てくるもののその後の序盤から中盤にかけては「これゴジラ映画だったよな……？」と一瞬ゴジラ映画だということを忘れるくらいでした。
でもそれが後々効いて来るんですよね。
構成上当然かも知れませんが、今までのゴジラ映画って「ゴジラの活躍（？）に人間が巻き込まれる」形が多くて、ぶっちゃけ人間パートって物語としての体裁を整えるためのゴジラのおまけみたいな扱いの印象があったんですよね（もちろんそれはそれでゴジラを引き立てるために重要な役回りでもありましたが）。
ですが今作だと長い尺を主人公周りの描写に割くことで「人生にゴジラという大災厄が割り込んできた」感が凄いんですよ。この視点の差のおかげで物語への没入度が高くなったんですよねえ。
ちなみにこの人間ドラマ自体もかなり面白かったです。
戦後すぐの日本という世間的にも巻き込まれた個人的にも絶望感溢れる時代、戦争+ゴジラによって心の傷倍率ドン！ になった主人公がどん底から少しずつ癒されていく……かと思いきや、ね。
いやもう本当に加減しろ莫迦！ ってくらい散々な目に遭うんですよこれが。だからこそ主人公や登場人物たちに対して幸せになってくれ！ と心から思えるんですけども。
その他の登場人物もそれぞれに事情を抱えており、登場人物への感情移入度も歴代トップクラスな気がします。
そして肝心のゴジラですが、素晴らしい！！！！！！
CGの完成度がどうとか専門的なことは分かりませんが、今回のゴジラに感じたカッコよさと「怖さ」は歴代屈指でした。
そう、今回のゴジラ怖いんですよ。怪獣として造形や動作が怖いとかじゃなく、ゴジラという存在が怖い。
今までは人類に甚大な被害をもたらす自然災害的存在だったり、VSシリーズの場合は結果的にとはいえ人類と共闘する味方的なポジに立つこともあったけど、今回はもう明確に人類を殺りに来てる人類の敵なんですよね。これがたまらなく怖い。
破壊の限りを尽くすゴジラのカッコよさと、「もうやめてくれ！」という気持ち。この両者がせめぎ合うのは新体験でした。
そして敗戦直後、しかも政府も米軍も動けないというどうしようもない状態で迎えるラストバトルが色んな意味で痺れるほど熱かったですね。
歴史に詳しい人ならこの時代日本に残された日本独自の兵器がどの程度あるか分かると思うんですけど、今作では多分シリーズ歴代でも屈指のゴジラに対抗するリソースの無さが絶望感を煽りました。現代兵器が通じる通じないとかそういう問題ですらない。
そんな中で知恵を絞って何とか打開策を打ち出すけれども、多分見た人の九割が「（それしか無いのは十分すぎるほど分かるけど）いや無理でしょ……」ってなる内容だったと思います。
なんと言うか、無課金勢だけの万年ランキング下位ギルドが、無料石で手に入れたなけなしの課金アイテムと知恵を駆使して廃課金トップギルドですら難しい最高ランクレイドバトルに挑むみたいな感じでした（よくない例え）。
でもね。このラストバトルが、そこで戦う人々の描写も含めてね。もう本当にね、熱くて……アアァァァー！（突如興奮する患者）
とまあ自分はとても楽しめましたが、日本だと割と賛否っぽい？
まあゴジラの登場時間が短いとか人間ドラマに尺を割き過ぎているといった指摘自体は事実ですから、高い頻度で画面にゴジラが映って動いているモンスター映画を期待していたら期待外れだった、みたいな気持ちになる人はいたのかもしれませんね。
自分の場合は、
・ゴジラ登場時間が短い→登場シーンの完成度が高いので逆にメリハリがついていて良かった。
・人間ドラマに尺を割き過ぎてる→上記のように観続ける内にジワジワと効いてくる重要な要素だったのでそうは思わなかった。
ので全く不満は無かったですね。
いくら良い要素が多くても、どうしても受け入れられない要素が一つあれば不満のある作品になる。
作品にそういった評価をする方は結構いるので、明確な特徴として上記のような要素のある今作が賛否になるのは仕方ないとは思います。
ですが少なくとも自分はそういった点を踏まえた上でとても楽しめた映画でした。
