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リアル&リアリティについて思うこと

 様々な人が持論を述べているテーマではありますが、まず個人的な大前提として「リアリティが無いから面白くない」とか言っちゃえる系の人の掲げるリアリティは考慮しなくていいと思うのですよ。

 そういうのって「それを言っている人自身が受け入れられるか」を重視し過ぎてて、リアルさやリアリティがその作品に必要かどうかを度外視していそうなので。

 もちろん「現実的な正しい描写」が必要になるジャンルや作品もありますが、何故かこの手の人って(異世界系だけでなく現実のサクセスストーリー等も含めた)ファンタジーにもリアル(の不都合な面)を持ち込もうとするからなあ……。



 と、いきなり毒の沼地から始まってしまいました。

 ここから本題。



 個人的に作品におけるリアル&リアリティは、

 リアル=(物理法則など無形の物も含めた)現実に即した描写

 リアリティ=リアルを詳細に描写しているor現実に無いものをあるように感じられる描写

 という認識をしています。

 リアルを辞書で引いた単語の解説だとすると、リアリティはその単語の活用例を映像化したような違いというか。


 なので作品におけるリアリティ自体は大事だと思いますが、それは必ずしも現実に即した描写が必要という意味ではないのですよね。

 特にファンタジー系作品は、そもそも現実じゃない以上どうしてもリアリティを「あるものを描写する」ではなく「生み出す」方向で表現しなきゃならない機会が増えるでしょうし。


 じゃあ架空の何かをテーマにした作品におけるリアリティ(を生み出すこと)ってどういうことなんだろう? と考えてみると、

「小さな説明を積み重ねて行くこと」

 じゃないかと思うんですよね。


 これは別に事前にガチガチに設定を固めておかないといけないとかそういうことではなくて、例えば、


「スキル=先天性のものか後天的なものか? 後天的なら自力で習得できるのか、専用の施設や女神像的な媒介が無いと習得出来ないのか?」

「ギルドがどの程度の権力を持っているか? それだけの権力を持つに至った経緯は? 国営か? 企業的な存在か? 」

「魔物と野生動物の違いは? 魔物は自然発生するのか創られるのか?」


 等々の事項について作品内でどのように定義しているかを、ちょっとでも良いので作品内で補足しておくようなことですね。


 上記の例で言えば、


「この国では〇歳になった時点で教会でスキルを目覚めさせてもらえる(それによって国が国民のスキル内容を把握する目的があるみたいなのも盛り込んだり)」

「過去に起きた大戦からの復興の際に各国でギルドが大きな貢献をして、それ以降各国に強い影響力を持つようになった(国に利用されないように独自の基準を設けているみたいなのも盛り込んだり)」

「魔物は瘴気が一定以上の濃度になると形を成して生物を襲い始める(このままだと自然発生する瘴気が増大して世界の危機を招く状況だったり、実は魔族が暗躍してたり。これは作品によって物語の根幹に関わってくるかも?)」


 みたいな情報を説明パートのように箇条書きにするだけでなく、地の文や会話の流れの中にもこっそり書いておくような感じでしょうか。酒飲みながらの昔話とか、依頼の道中の雑談で瘴気について語ったりとか。

 別にリアリティを生み出そうと意識しなくても、こういった小さな情報を積み重ねて行くことでいつの間にか作品にリアリティが生まれているものだと思うんですよね。

 なんか愛が生まれ徐々に育まれていく過程と似たものを感じるな……。


 別にスキルが目覚める理屈だとか、過去の大戦が何だったのかとか、瘴気が生物に有害な具体的な理由だとか、更に詳細な情報は(必要が無ければ)書かなくても良いと思うんですよ。

 それでも少しでもこういった所を補足しておけば後は読む人がそれを受け入れられるかどうかの勝負(?)に持ち込めるので。


 好きなことや表現したいことを書いている内に「その作品におけるリアリティ」は自然に生み出されていく。

 作品にリアリティってそういうものだと思うのですよね。

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