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第三話 鉄道

1877年 (明治10年) 11月


西南戦争が終わり少し経ったある日、市兵衛と市太郎は家で話をしていた。


「親父、今回の戦争で得た資金で俺は鉄道会社を作りたいと思ってる。」


「海運会社に海上保険会社の次は鉄道か…。少し手広くやり過ぎではないか?」


「親父だって理解しているはずだ。…この先鉄道事業は確実に伸びてくる。参入するならライバル企業の少ない今なんだ。」


「お前の言いたいことは分かるが…国が許してくれるのか?鉄道は今国の専売みたいな物だぞ?」


「ああ、それに関して大丈夫だ。政府は西南戦争によって財政難だ。そのせいで鉄道の敷設は民間資本などを使おうと言う意見が出ている。恐らく、邪魔だてはされないはずだ。」


「…そうか。なら良いだろう。資金は出す。くれぐれも潰すなよ。」


「勿論だ、親父。」


そこからの市太郎の行動は早かった。

その後、すぐに汽車を買いに行った。

余りにも鉄道が高すぎた為、殴りあいによる値下げ交渉をして警官に捕まりかけたりしたが、なんとか2年後には開業する事が出来た。


記念すべき最初に路線が引かれた区間は難波〜大和川であった。



こうして、1879年に大和川鉄道は開業した。


大和川鉄道で運用される列車の線路規格は1435ミリの標準軌だ。国鉄では1067ミリの狭軌が使われているが、市太郎は標準規格の方が速度が出る上に、将来的に貨物の輸送などをするときに標準規格の方が輸送に都合が良いと判断した為、1435ミリが採用された。



大和川鉄道が開業してから一年が経ち、経営が安定した頃、食事中に親父がいきなり言い出した。


「市太郎、俺は来年北海道に行こうと思っとる。その間、銀行などの経営を任せたいのだが出来るか?」


この時代、北海道に行く事は渡米する以上の遠隔地への探検旅行と考えられていた。


「!…出来んことはないけど…えらい急な話やなぁ。どないしたんや?」


市太郎は驚きながら聞いた。


「実はな、五代さん達に誘われてな。…余り大きな声では言えんが、五代さん達と貿易会社を作ろうと言う話でな、北海道にある炭鉱や木材を見てこようと思ってる。」


「あー、五代さんか…大阪株式取引所や大阪商法会議所を作ったて言う。」


「ああ、儂もその件で絡んでてな、その繋がりで誘われたんや。」


「まあ、別に構わへんけど親父が留守の間、経営とか好き勝手させて貰うで。」


「…構わないが、常識ある範囲で頼むぞ。」 


市兵衛は一瞬迷ったが、息子はなんだかんだ言って世間一般の評価では新進気鋭の経営者だ。帰って来たらいろいろ変わっているかもしれないが、悪い方向に進む事は無いだろうと判断した。



大阪株式取引所は現在の大阪証券取引所の前身です。

大阪商法会議所は現在の大阪商工会議所の前身です。


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