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第二十六話 海外進出

1889年 (明治22年) 6月 イスタンブール


市太郎一行はユルドゥズ宮殿にいた。


何故、市太郎達が宮殿にいるかと言うと、現在オスマン帝国では第一次立憲制が終焉し専制体制敷かれており、鉄道事業を起こすにはスルタン(皇帝)の許可が必要であった。

その為、市太郎は役所図手に鉄道事業の許可の申請をした。

そして今日、その返事をしたいから宮殿に来いと言われ来たが、長いこと待たされていた。


「会長、鉄道の敷設の許可貰えますかね。」


羽間が市太郎に尋ねた。


「貰えると思うぞ。…なにせ、俺達が鉄道を引きたいベイルート〜メッカ間は、ムスリムたちの聖地であるマッカやマディーナへ向かうハッジ(大巡礼)の巡礼者達の移動に役立つからな。」


市太郎は声には出さなかったが、オスマン帝国はヒジャーズ地方に対する軍事支配を強める為に、鉄道を使いたいという思惑があると思っていた。


「そうですよね。」


そんな事を話していると役人がやって来た。


「田中さん、スルタンから鉄道の敷設の許可が出ました。…しかし、それには1つ条件がございます。」


そう役人が言った。


「何でしょうか。」


「もしも有事になった際、鉄道を兵員の輸送に使わせて貰いたい。」


「分かりました。…ですが、その際は使用料を支払って頂きますよ?」


「構いません。」


その後、鉄道の敷設権に関する諸々の書類にサインし、宮殿を後にした。


「会長、鉄道敷設の人員はどうしますか?」


「主にオスマン人が日本人の指導や支援を受けながら敷設作業を進める用にするつもりだ。」


「分かりました。…それにして、いきなり海外進出ですか…。」


「驚いたか?…本当はもう少し後にしたかったが、ドイツ帝国の3B政策によって中東の鉄道利権を独占されそうだったからな。」


「なるほど。…会長、一つ鉄道関連でお伝えしときたい事が…」


羽間が少し深刻そうな顔で言った。


「何だ?嫁に浮気でもされたか?」


「いえ、東亜鉄道の社員が鉄道局(後の国鉄)に行くと、以前よりも扱いが酷くなっているそうなんですよ。」


「…例えばどんな風にだ。」


眉を顰めながら市太郎は聞いた。


「そうですね、最初は応接室に案内されてもお茶が出てこなかった程度なんですが、最近では鉄道局(後の国鉄)の廊下で職員とすれ違う時に舌打ちをされるそうなんですよ。」


「…分かった。日本に帰り次第鉄道局に赴き抗議してくる。」


市太郎は鉄道局(後の国鉄)で一体何が起きていると思いながら言った。


「ありがとうございます。」


この日の風はやけに気味が悪かった。

市太郎は何か不吉な前兆か?と思ったが、気の所為だと思うことにした。




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