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第十九話 新年

1887年 (明治20年) 1月2日


市太郎は新年の挨拶の為、武子と共に五代邸に訪れていた。


「五代さん、今年も宜しくお願いします。」


「いえいえ、こちらこそ宜しくお願いします。」


挨拶をした後、五代は市太郎が持って来た手土産について話し出した。


「そう言えば、この醤油のような物は何ですかな?」


「それは、コーラと呼ばれる飲み物です。」


「ほう、アメリカで買われたのですか?」


「少し違いますね。それは私がアメリカで立ち上げた会社の商品でしてね。実は日本でも売り出そうと思いましてね。…それは日本にある瓶詰めする機械で、最初に生産された物です。」


「それは…どうもありがとうございます。」


五代が嬉しそうに言った。


「本当の手土産は、それではなくてですね。…アメリカでこれを生産するのは、ボトラーと呼ばれる私とフランチャイズ契約を結んだ人が製造するのですよ。」


「ふらんちゃいず契約とは何でしょうか?」


「フランチャイズ契約とは、私がボトラーに原液を売り、彼らはその原液を使いコーラを製造、私が命令した値段で売るのですよ。」


「…ふむ。」


五代はコーラが美味ければ、金に成ると考えた。


「コーラを飲んでみても構いませんか?」


「ええ、勿論どうぞ。」


「では、失礼して。」


カシュっ


そう音を立てながら瓶の蓋を開けた。


五代は匂いを嗅いで恐る恐るコーラを飲み始めた。


そして、最初に思った感想はこれは金になる。と言うものだった。


「これは美味しいですよ!…フランチャイズ契約の話、乗らせて頂きます!」


「それは良かったです。」


市太郎は嬉しいそうにそう言った。


「そう言えば、市太郎さんは一切製造していないのですか?」


「いえ、私も瓶詰め会社を創り、製造していますよ。」


「では、瓶詰め工場で分からない事が有ればお聞きしても?」


「構いませんよ。」



こうして、日本初のボトラーが誕生した。





1887年 (明治20年) 東亜重工某所


「これが、今年からフランス軍で配備されるルベロM1886小銃か。」


市太郎は東亜重工の銃器研究班の穂波主任と銃をみていた。


「はい。…ところで、この銃を試射した結果、この銃は管状弾倉を採用した為、弾倉は数多くの弾薬(8発)を装塡できますが、銃弾の弾頭が銃用雷管を突いて弾倉内で誘発する事故が起きますね。」


「対策方法はないのか?」


「ありますが、それは弾頭の先端を丸くするか、平たくするかです。…まあ、それで起こる弊害は長距離の敵に当てるのが、先端が尖っている物より劣る事ですね。」


「殺傷能力は変わらんのか?」


「殆ど変わりません。何故なら、銃の威力は銃弾の中にある火薬の量などが関係しますから。」


「なるほど、この銃は脅威か?」


「そうですね、この銃は恐らくB火薬…無煙火薬の使用を前提として、作られています。…これは、現在世界中にある銃を旧式化してしまうほどの物です。…ですので、どうやってコイツを手に入れたのですか?」


穂波が銃を手に持ちながら言った。


「アメリカにいるユダヤ人の兄弟の伝を使ってな…。それより、お前達はこの銃を超える銃を設計可能か?」


「可能ですよ。」


「そうか、出来る限り早く設計してくれないか。」


「構いませんが、清との戦争が近そうだからですか?」


「いや、下手したら日清戦争よりも早く必要になるかも知れん。」


「分かりました。最善を尽くします。」


その言葉を聞いた市太郎は満足そうに帰っていった。




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