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第十七話 製鉄所とボトラー

1886年 (明治19年) 10月 ベスレヘム


市太郎はベスレヘム製鉄所に訪れていた。


「これがベッセマー転炉か…。」


市兵衛は何基もある転炉に呆気を取られていた。


「これは一基当たり毎時何トンの鉄鋼を作っているんだい?」


大まかに言うと、鉄鋼とは製鉄した後の物だ。我々が良く使う鉄製品も殆どが鉄鋼だ。


市太郎は案内役の従業員に聞いた。


「はい、一基当たり毎時50トン製造しておます。」 


「毎時50トン…」


因みにだが、八幡製鉄所の鋼材年産は三基で18万トンだ。

つまり、ベッセマー法の転炉では一基で、2か月かければ作れてしまう量となるのだ。

だが、ベッセマー法には弱点がある。リンを含む鉄を製鉄出来ないのだ。しかし、運の良いアメリカ様だ。アメリカで取れる鉄にはリンが含まれている事が少ない為、それが関係ないのだ。逆に欧州で取れる鉄の約9割はリンが含まれる鉄だ。

アメリカはこの転炉を使い、今年ついに鉄鋼生産量世界一となったのだ。

市太郎はアメリカが前世で覇権国家となった理由を肌で感じるのだった。


その後、市太郎はその製鉄所を一日中見て回って、武子に怒られるのだった。



三日後


市太郎と武子が港で話していた。


「市太郎さん、今日でアメリカ最終日ですね。」


「ああ、色んな物や人に出会えて良かったな。」


「そうですね。…工場見学の時なんて、子供みたいに目を輝かしながら見て回っていましたもんね。」


「あの時、君を置いてけぼりにしてしまってごめんよ。」


「ふふ、別に構いませんよ!」


今日まで市太郎と武子は観光だったり、これから伸びそう株を買ったり、工場見学をしたりした。その過程で多くの人と知り合う事が出来た。


そんな事を話していると、2人の男が近づいて来た。


「すいません!貴方がコーラを買収した、タナカさんですか?」


「ええ、そうですが…どなたでしょうか?」

   


2人のうち眼鏡をかけている奴が言った。


「はい、私は弁護士をしています、ベンジャミン・フランクリン・トーマスと申します。」


「私はジョセフ・ブラウン・ホワイトヘッドと申します。同じく、弁護士をしています。」


2人とも弁護士らしい。

だが、一体何の用だ?


「それで、俺に何の用なんだい?」


「はい、私達にコーラの瓶詰め権利を頂けませんか?」


つまり、市太郎がコーラの原液を彼らに売って彼らが瓶詰めをし、市太郎が命令した値段でコーラを売ると言う事だ。

因みにだが、市太郎が買った時は赤字だったが、コーラの全ての権利を購入した日から全米で大々的にコーラの広告をした結果、一気に黒字化した。

そして、そろそろ瓶詰めで売ろうと思っていた時に彼らが話かけて来たと言うわけだ。

市太郎からしたら、これほど良い話はない。

何故なら、瓶詰めするのに必要な経費を全て肩代わりしてくれるのだから。


「まあ、いいだろう。君達とボトラー契約を結ぼう。…コーラの売る値段はおいおい知らせよう。」


ボトラーとはつまり、瓶詰めをする会社と市太郎のフランチャイズ契約である。


「「ありがとうございます!」」


こうして、それまで以上にコーラの売り上げが上がっていくのであった。





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