第十五話 コカ・○ーラ
1886年 (明治19年) 9月
「ここが自由の国アメリカか…」
「市太郎さん、摩天楼があちこちにございますね。…建物に圧倒されてしまいそうです。」
「ああ、まさに圧巻の一言に尽きるな。」
気付いているかも知れないが、2か月前に武子と市太郎は結婚した。
そして今日、仕事兼新婚旅行としてニューヨークに訪れていた。
「さて、少し観光した後に仕事を済ませてしまおう。」
「はい!」
そのあと、武子と市太郎はニューヨークをある程度観光した後、ジョージア州アトランタに向かった。
「アトランタに着いたぞー!」
「あ、あの恥ずかしいのでやめて下さい!」
市太郎が大声で叫んでいると、武子が恥ずかしそうに言って来た。
「何でだよ…、まあ良いや。」
「あの…それで、どうしてここに?」
「ある商品の権利を買いたくてね。」
市太郎が意味深な顔をしながら言った。
「ある商品とは?」
「薬局で売っている物だよ。」
どうやら、武子には分からなかったようだ。
市太郎が何の権利を買いに来たのか…それはコカ・○ーラの権利だ。
「あの、そろそろ教えてくれません?」
頬を膨らませながら聞いて来た。
「コカ・○ーラだよ。」
「こか・○ーら?どういった物なんですか?」
「そうだね、飲み物だね。」
「へー、飲んでみたいです!」
「うーん、残念だけどそれは出来ないね。」
市太郎が申し訳なさそうに言った。
「どうしてですか?」
残念そうに武子が聞いてくる。
「コカ・○ーラには、麻薬が含まれているんだよ。」
「麻薬ですか。つまり、阿片みたいな物という事ですか…。」
そんな物の権利を買うのか…という顔をしながら言った。
「そうだ。大丈夫だ、日本に持ってくる時にはそういう危険な成分は抜いておくさ。…それまで、待っていてくれ。」
「はい!」
さて、上記の通り初期のコカ・○ーラにはコカインが含まれていた。まあ、コカ・○ーラは万能薬として開発された物だ。当時、奇跡の植物と呼ばれたコカインが入っていないはずがないのだ。
そうこうしていると目的地に着いた。
「ここがコカ・○ーラの開発者、ジョン・ペンバートンの家だ。…すいませーん。」
少ししてから、中から声が聞こえた。
「…はーい。」
ガチャ
ドアが開き1人の男性が出て来た。
「…えっと、どちら様で?」
「日本で大阪飲料の副社長をやっております田中市太郎と申します。」
そう言いながら、英語で書かれた名刺を渡した。
「これはどうも。私はジョン・ペンバートンと申します。…それで、そんなお偉いさんが私に何のようで?」
ジョン・ペンバートン。彼は1861年に南北戦争が始まると南部軍に入隊、北軍との戦闘に参加した。その時に彼は瀕死の重傷を負い、その時に鎮痛剤としてモルヒネを使用した事によってモルヒネ中毒になってしまう。
その後、アトランタに薬局を開設したが、その薬局は結局破産してしまう。その後、薬局をなんとか立て直そうとするも、2回の火事で失敗に終わってしまう。
そして、借金などを返し終わってから開発されたのがコカ・○ーラだ。勿論、炭酸飲料としてではなく、万能薬としてだ。だが、コカ・○ーラは最初のうちは赤字で、これにペンバートンは落ち込んでしまう。そんな時に、市太郎が尋ねて来たのだ。
「私は貴方に貴方が持っているコカ・○ラの全ての権利を売って貰いたいのです。」
「構いませんが、良いんですか?コカ・○ーラは発売してからずっと赤字ですよ?」
「ええ、構いません。」
「では、何ドルで権利を買うつもりで?」
「…そうですね、五千ドル(現在価格で1900万円)で如何でしょうか?」
「五千ドル!…喜んでお売りいたします!」
「では、こちらの契約書にサインを。」
「はい。」
ペンバートンは契約書の内容をしっかり読んでからサインした。
「では、明日五千ドルお渡しに行きます。その時に権利書などをお渡し下さい。」
「分かりました。」
かうして、コカ・○ーラの買収は呆気なく終わった。呆気なく終わった理由として、ペンバートンがモルヒネ中毒で、モルヒネを買う金が少しでも欲しかったというのもあると思われる。
「ふぅ、あっさり終わって良かった。」
「ふふ…良かったですね、市太郎さん!」
武子が笑顔でそう言った。
市太郎はその武子の笑顔に癒されるのだった。
後日、しっかり代金を支払い権利を無事に手に入れた。そのまま、オオサカ・コーラ社を大阪飲料の子会社として設立した。
朝の7時に投稿しようとしていたのを間違えて今、投稿してしまいました。
明日の朝に投稿はありません。
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