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第十四話 修羅場

今回は市太郎が悪いのですが、嫌いにならないでやって下さい…。m(_ _)m

1885年 (明治18年) 7月


その日、梅雨が明け夏の暑さが日に日に増して行っている中、田中家のある一室は冬の南極をも超える寒さが襲っていた。


「市太郎さん、なぜ結婚する前日に出港する亜墨利加(アメリカ)行きの船の切符があるのですか?」


南極をも超える寒さを出している武子が言った。


「えっとだな…」


「私、嘘と言い訳は嫌いですよ。」


いつの間にか、武子から笑顔が消えており、顔が般若の形相に変わっていた。


「すいませんでした!」


市太郎は土下座をしながら謝った。


市太郎は内心、死ぬほど焦っていた。

何故だ⁉︎何故バレた⁉隠していた筈の結婚式逃亡用のチケットが…


「私は怒っていないのですよ?…ただ、なぜこの切符があるのか聞いているだけで。」


やばい…武子が謝罪も受け入れてくれない。どうしよう…。怒ってないとか言ってるが、これまで見て来た中でダントツでキレてる。


「黙っていないで答えて下さい。市太郎さん。」


…切符がある理由なら分かってるだろ!


どうする…どうすれば許される…

はっ!そうだ!新婚旅行の切符って事にしよう!


「武子、それは新婚旅行の切符なんだよ。」


「では何故、結婚式の前日の船なんですか?」


「間違えただけさ。」


「切符が1人分しかない理由は?」


「後日にもう一枚届くはずだよ…。」


届く訳ないけど…


「…市太郎さん。私、嘘は嫌いって言いましたよね?」


そう言いながら俺が作成した、"マル秘 結婚式逃亡計画書"を懐から取り出した。


「…武子、お願いだ…許してくれないか…」


市太郎はそんな事を言っているが、コイツのしようとしたことは到底許される事ではない。


だが、大天使武子は小さく笑うとこう言った。


「この誓約書にサインしてくれたら、許して差し上げます。」


そう言って一枚の紙を取り出した。


内容はこうだ。


1.五代武子に一生の愛の誓いを立てる。

2.今後一切、浮気や不誠実な行為を行わない。

3.タバコを止める。

etc…


「あの、何でタバコも禁止になるのでしょうか。」


「以前、お酒で酔っ払っていらっしゃった時に、タバコを吸いづけると早死にし易くなるとおっしゃていたじゃないですか。…私は市太郎さんに長生きして貰いたのですよ?…他に何かありますか?」


「いえ…喜んでサインさせて頂きます!」


「それと、新婚旅行は亜米利加なんですよね?」


武子が確認するように聞いた。


「えっ…いや新婚旅行なんてしな…。…いえ、新婚旅行先はアメリカです!」


市太郎は武子に睨まれて、する予定に無かった新婚旅行をする事となった。


それ以降、市太郎は本気で武子の事を愛するようになり、武子と市太郎は仲睦まじく生涯を共にするのであった。

…余談ではあるが、大喧嘩をする度にこの話を持ち出され、市太郎が武子の尻に引かれる要因となるのであった。


…何故、武子が市太郎を許したのか…その理由を近い未来、知る事となる。




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― 新着の感想 ―
[良い点] マジか〜 結婚式から逃げたりしたら日本に帰って来れないやん。 凄い計画立てるな〜
[良い点] 武子さん、もったいない女性。 [一言] 市太郎が完全に悪い。結婚を嫌がるのか、結婚をしない名家は変人扱いされるでしょう。五代友厚さんの娘さんと縁戚関係を結べるなら、安泰でしょう。 武子さ…
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