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山縣小話

短めです。

1884年 (明治17年) 6月


ふう、やっと会議が終わった。全く、会議が長引いたせいでこの後の予定が乱れてしまうではないか。


「次の予定は何だ?」


山縣は秘書に問いかけた。


「次は、田中市太郎様との面会となっております。」


ああ、五代の娘の婚約者の…。確か、神戸港をもっと高値で買えとか言っていたな。…大阪の方では、次々と事業を成功させている新進気鋭の実業家らしいが、噂など当てにならん物だ。…この目で直接確認せねば…。百聞は一見にしかずだ。


部屋に入ると、そこには二十代の男が1人椅子に腰をかけていた。

彼が田中市太郎だろう。


「すいません、待たせてしまって。…一つ前の仕事が長引いてしまって。」


取り敢えず、遅れてしまった非礼を詫びる。

彼は気にした様子もなく、少しばかり雑談をした後に、こちらに時間が余りないと察したらしい。直ぐに本題に入ってくれた。…正直、大変ありがたい。


…先程の感謝の気持ちは撤回だ。彼は十万円も値段を上げろと言って来た。…ふざけるな!と言ってやりたいが、恐らくこれは駆け引きだろう。

そう思っていたら、彼が3つの権利をくれるなら55万円いや50万円に値下げすると言って来た。ほら、儂の言う通りだった。

彼が求めて来た権利は要約すると、兵器工廠への資源の販売と神戸港からの貨物を全て大和川鉄道で運搬させろと言う事だ。

まあ、別に構わんだろう。しかし、この男…。こちらがギリギリ認められる範囲の要求をして来るとは、実力は本物のようだ。


彼が念のためと言って、書面にサインを求めて来た。別に約束を反故にするつもりは無いのだがな…。…だが全く、抜け目のない奴だ。


彼はほくほく顔で部屋を出て行った。

五代め、良い男を捕まえたな…。

それにしても、中々面白い男だったな。彼が今後、我が国発展の鍵になるやも知れんな。


田中市太郎、その名と顔は覚えたぞ。




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