第一話 転生
1861年(文久一年) 7月18日 大坂
「おぎゃぁぁ〜〜」
この日、大坂のとある家で一つの産声が上がった。
ただ、その産声を挙げた赤子は普通の赤子ではなく、令和の日本から転生した転生者だった。
その名も田中市太郎と言う。
その男は家で寝タバコした為、家が火事になり死亡した。
その後美人な女神に会い、縄文時代と平安時代、明治時代の中で転生するならどの時代がいいか、好きな時代を選べと言われ、一番まともそうな明治時代を選んで転生した訳だが…
「はっはっは、しっかり俺は明治時代に転生したようだな。この時代なら、なんでも出来る気がする!
…よし、このまま陸軍士官学校に入学して悪名高いインパール作戦を阻止したり、マレーの虎と呼ばれた山下奉文と共に日中戦争を早期終戦に持ち込んで太平洋戦争でアメリカに勝てる国にしてやるぜ!」
この様に少し勉強が出来るだけで神童扱いされるお陰で、調子に乗りまくっている。
その為、この男は陸軍士官学校に入るのがどれほど困難な事なのか理解していないのだ。
何故入学が困難なのか説明すると、この時代の陸軍士官学校は帝大並みの頭脳だけではなく、運動神経も良くないと行けない超が何個もつく程の難関校である。勿論、この男は前世でそこそこの大学を出ている。その為、この時代の中ではギリ賢い方に入るが相手は運動神経も良く、頭も良い全国の天才や秀才達だ。この男では手も足も出せるわけもなく、この男の天よりも高いプライドは砕け散ってしまったのである。
あっ、因みにだがこの男の運動神経は体育教師に苦笑いされるレベルだ。
さて、この男は陸軍士官学校に落ちた為、近所の中学校(中等科)に入学するわけだが、小学校(初等科)の時に「俺は神に選ばれし人間だ!」や「俺はこの世界の主人公だ!」などと痛々しい事を常は日頃言っていお陰で友人どころか、近づく人すら居ないというエリートぼっちになってしまった。
その悲しきぼっちモンスターは父親の会社に就職しようとしている。この男の父親は先祖代々の大阪商人の豪商で、干鰯問屋すなわち肥料商である。そして、その父親こと田中市兵衛は近畿一円という広大な地域で肥料を販売するほどに会社を大きくした人物である。
(はぁ〜、嫌だなぁ。せっかく転生したのに、このまま何もせずに死ぬのは…。何かを成したいなぁ。)
何かを成したい、そう思った瞬間ある事を思いついた。
(…うん?そう言えば前世でお世話になった阪急電車はいつ出来るんだろう?…そうだ!ないなら、鉄道会社を作ってしまおう!多くの人は移動が楽になるし、何より大金持ちになれるかもしれない!)
何を隠そう、この男は金の亡者である。金は命の次に大事と言うぐらい金が大好きだ。
(…だが、資金がない。うーん、そう言えば父親が銀行を作るとか言っていたな。そこで頭取として働かせて貰おう!その金を資金にして鉄道会社を作ろう!っと言いたいとこだが、そんな事を親父に言えば殴られるに決まっている。何かいい案はないか…。そうだ、思いついたぞ!)
よし、時は金なり急がないと…。っと言って市太郎は父親の所まで走って行った。
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