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AI -Auto Intelligence-

作者: そもそ藻

二作目です。大目に見てください。

西暦二XXX年。


AIを基盤とした社会が、それまでの閉鎖的で朴訥とした()()の生活を日々変化させている。

緻密なAIの"人格診断"が齎したさまざまな事柄の最適化により、()()の生活における満足度は高まり、大いに恩恵を享受していた。


だがそんなある日、AIは人類滅亡の可能性を示唆したのである。


その原因は環境破壊による温暖化や大気汚染か。それらに付随されるであろう食糧難、または、文化の違いによる紛争地の拡大がもたらす荒廃だろうか。

いたるところに滅亡の種が撒かれていることもあり、AIから明確な理由は提示されなかったものの、人類に唯一残された道はかねてより幾度も検討されていた『宇宙開発』であった。

そうと決まれば一蓮托生。これまでいがみ合っていた世界各国が連携を密にし、宇宙開発計画は急速に進み、遂に次なる故郷を求めて人類は偉大な一歩を踏み出したのである。


――――――――――――――――――――――――――――――




『――おはようございます。起きてください』


寝室の壁に埋め込まれたスピーカーから両の耳にアナウンスが繰り返され、ゆっくりと目が覚める。全身を包み込むゲルのようなベッドは何度寝ても癖になる。

掛け布団がいらないのも、宇宙船で生活して三ヵ月経った今ではすっかり慣れてしまった。


「おはよう。起きたよ」


わたしは体を起こしながら声を出す。

すると、AIが即座に反応し、私の好みに合わせてニュースや音楽などを流してくれる。それを聞きながら朝の身支度を終え、独特なスライドドアから部屋を出て仕事に向かう。


半ば鼻歌まじりに、居住区と仕事場を繋ぐ、細長い廊下を歩いていると、窓の外には吸い込まれそうな闇と、散りばめられた極小の光彩が入り乱れる神秘が現れる。直接的に言うならば"宇宙"である。

しばらく窓の外に目を奪われていると、闇が作用してだろうか。いかんともしがたい眠気が襲ってきた。


「いかんいかん。選び抜かれた者だからこそ、仕事に責任をもたねば」


やや芝居がかった口調で頭を振りながら仕事場へ歩を進める。

部下たちに最低限の挨拶をしてから、割り当てられている椅子に座り、AIにやるべきことや遅番からの連絡事項を確認した。

どうやら我々の船は移住の候補となる惑星に近づいているらしい。となると今日からは忙しくなりそうである。


「またか……」


これから数日は嵩が増え続けるであろう仕事量に、大きな伸びで僅かばかりの抵抗を示す。


「あ、おはようございます。隊長」


そんなわたしに、やたらとひとあたりの良い笑顔を浮かべ話しかけてきた彼は、この宇宙開発部隊の一員として私の補佐官を務める部下である。この男は見た目の屈強さに対して後輩力というか、単純にコミュニケーション能力が高い。

総勢は十名ばかりといえど、三十歳半ばにしてAIが選出した宇宙開発部隊を率いる身としては、これらの面ではAIに感謝せざるを得ない。


「あ、ああ。おはよう」


「あと二日ですか? 次の惑星につくまで」


「そうらしいね」

わたしは手元にあるタブレットを見やった。

「次はまともな惑星だといいんだけどね」


実はこの宇宙開発部隊はこれまでに数個の惑星を発見している。しかし、調査の結果、どの惑星も移住するには向いていなかった。

先日発見した惑星では、生体反応はあるものの、ある程度近づいても大気成分などの環境の全容が見えなかった。そこで、小型探査機を送ったところ、地表が見えるかどうかのところで探査機が蒸発してしまったのだ。

生身で確認していたらと思うと、体が縮こまってしまう。


「次は僕も偵察機に乗るんですよ」


にこやかな笑顔でそう言うのはわたしの補佐官である。これでわたしを除けば部下全員が偵察機に乗ったことになる。


「いや、大丈夫なのか?」


「AIが大丈夫と言っているので問題はないと確信しています!」


「ああ、そうか……」


補佐官はわたしの心配を余所に、張り切った様子で自分の仕事に戻っていった。きっとAIが言っている大丈夫というのは、前回の調査のような探査機の蒸発というようなことは起きないということだろう。だが、わたしの気がかりはその部分ではない。


「AIが大丈夫ね……」


わたしが宇宙開発部隊の隊長になってから癖付いてしまった小さなため息が一つ、手の内のタブレットにこぼれた。


---------------------------


それから我々は有り余る仕事を休みなく進めた。探査機などを用いたAIによる上空からの調査によると、今回の惑星は大気条件も良く、支配種であろう生物もある程度の社会が構築されているらしい。

そうと決まれば次の段階は、偵察機に隊員を乗せた実地調査である。


転送部屋と名付けられているこの部屋の大部分を占める円形の転送装置。その上に置いてあるのが偵察機である。ガラス張りの座席と、簡易的なエンジンのみで構築された流線形の機体に見とれながら出発に備える。


「今回は平和そうですね!」


まもなく偵察機の出発を控えているにもかかわらず笑顔が張り付いている補佐官は、臆さず言い放つ。


「今日でこの宇宙開発も終わればいいけどね」


軽い笑いを浮かべたものの、ここ数日の疲れからかわたしの口から思わず本心が出てしまった。

何某かの問題が起こり今日の作戦が失敗するということは、補佐官の身に何かが起こるということだ。大小はあれどおおよそ指揮官から出て良い言葉ではなかった。


「ですね!」


そんなことを微塵も気にせず笑顔のままの補佐官が頼もしいようで、えも言われぬ感情になってしまった。


『偵察機が出発します。調査隊は速やかに乗船してください。繰り返します――――』


「各員、配置に着け!」


唐突のAIのアナウンスに驚きながら私の口から出た言葉は、補佐官に向けての謝意ではなかった。


一瞬の喧騒の後に、補佐官を合わせて計四名の隊員を乗せた偵察機の転送が始まる。水色に眩く光る機体周辺の空間がふらっと揺れ、特徴的な重低音の効いた音が聞こえた次の瞬間には、微かに光を残している転送装置のみになっていた。

偵察機が出ていく時に船内に広がる独特の浮遊感は、昇降機の降下時のそれに似ていて身体に不自然な緊張が走る。


「きっと……いや、どうだろう」


無意味な独り言を零した私は、惑星の表面が見える位置に転送された偵察機に付いているカメラから常時送られてくる映像を見るために、転送装置のある部屋を出て船長の席に向かった。


眼前に設置されている三面ディスプレイに映し出された光景は、群青と大地のコントラストだった。()()の光に反射して一層美しく映るそれらには、自然と笑顔を浮かべてしまう魔法がかかっているようだ。


「隊長、絶景ですよ!」


普段以上の笑顔を浮かべていそうな補佐官達の笑い声がヘッドホンから聞こえる。

海にはどんな生物がいるのだろうか。こんなに美しいのだからさぞ美形の生物にあふれているのだろう。あの雄大な大地には、きっと、大地を支えるに相応しいずっしりと重たい樹木が跋扈しているのだろう。

そんなことを思い浮かべる時間が、宇宙開発をしていて一番楽しい時だ。


「心が晴れるって言うのは、こういうことなんだろうなぁ」


先程までの不安は拭えないものの、気分が良くなる景色とはそれだけでいいものである。


「今から調査が楽しみです!」


「……そうだな。だが、警戒は怠るなよ?」


建前上の忠告はするが、着地まではAIが制御するので特段やることもない。




「……今回で宇宙開発が終わったら、美味しいものでも食べに行きたいな。ここで出るものにも飽きてきたし」


緊張感を持ち続けているのにも体力を使うもので、背もたれを使いゆったりしながら五分ほど補佐官と話していると、徐々に話題は現状の不満に行き着く。


「そうですね。いくらメニューが豊富でも、三ヵ月も暮らせば飽きますよね」

「本部へ要望してみたけど、食事はAIに任せているの一点張りでまともに取り合ってもくれない」

「それは……なんというか、困りますね」

「揚げ物で胸やけするようになってから、余計に選べるメニューが減ったしな」

「え? そんなことありますか?」

「三十半ばはもう、棺桶の準備をする頃合いだよ」

「またまたぁ~。でも食事もそうですけど娯楽もあんまりないですよね」

「……そうなんだよな。それも本部に問い合わせたこともあるんだけどダメだった」

「うわぁ……。じゃあもうあとは……」


「「寝る」」


「これしかないですよね」

「なぜか寝具周りだけは充実してるんだよな」

「もしかして本部に要望出しました?」

「…………実は出した。しかも通った」

「それがあったから他のことが……」

「まあまあ、つまり、労働環境に改善の余地あり……って感じだな」


「うまく――――ね。ま――――だ――――――ど」


突然の甲高い雑音。

不審に思いディスプレイに目を凝らすも特に変化はない。


「ん? 通信機器の不良か? 補佐官、応答願う」

「――――――。――――。」


やはり雑音のみがヘッドホンに聞こえる。補佐官以外の三名に呼びかけるも返答はない。

周りの隊員たちにも戸惑いの表情が浮かんでいる。


「なんだこれ? こんなこと初めてだ。前の失敗でも――」


『着陸三十秒前です』


疑問が解消されないうちにAIからの忠告がもたらされた。

ディスプレイの左上にカウントが表示され、刻一刻と数字が減っていく。

わたしは気持ちを押し殺し、届くか分からない偵察機に向けて指示を飛ばす。


「総員、着陸態勢。繰り返す。総員、着陸態勢」


異常が発生しているのは事実だが、ディスプレイ上は異変もなく、着陸地点であろう平らな大地が目視できるほど地面に近づいている。


と、その時。


「――! ――――!」


ヘッドホンに微かな叫び声。ディスプレイ上も画面が乱れ、真っ暗になった。


「どうした! どうした!!」


思わず前のめりになりマイクを押さえる。


『通信途絶。おそらく撃墜されました。』


メカニックな声と同時に、ディスプレイにはAIが事前調査に使う船底望遠鏡の画面が映された。


「偵察機を探せ!」


急速にズームがなされていくと、着地地点に佇む偵察機を見つけることが出来た。しかし、撃墜されているならば起こっているだろう土煙はなく、上から見た様子だと無事着陸に成功しているように見える。


「……どういうことだ? 補佐官、応答できるか?」


偵察機に呼びかけ十秒。返答はない。

明らかに不審な状況。だが、通信機器や偵察用カメラの故障という可能性がある。


再度呼びかけ三十秒。

あの機体から出るには側面と前面、上面の大部分を占めるガラス張りの部分を動かさなくてはならず、探索時は常に開けておき、偵察機自体がソナーの役割を果たすはずである。


着陸に成功しているのであれば、偵察隊は地表に出て調査を開始していてもおかしくないほどの時間が経っている。

しかし、現在偵察機は綺麗に着陸したままである。というより、着陸してからの動きが一切ない。


船に残っている隊員達は、これから起こるであろう光景に目を瞑っている。


「……あー、隊長聞こえますか? こちらは安全です! 皆さんも降りてきてください!!」


それは待ち望んだ補佐官の声であった。しかし、同時に船内に警報音が鳴り響く。


「大地がキレイで、空気もおいしいです! 降りてきてください!!」

「……嘘だろ」


まぎれもなく補佐官の声であった。であるがためにAIからの警告がなされる。


『保全のため、爆破します。各員直ちに準備してください』

「クソッ!!」


このAIの決定には隊長の権限は作用しようがなく、警告の数秒後には爆発が待っている。

わたしは心情の唾棄だけを残し、船底望遠鏡の映像を背に各員とともに偵察機を保管していた転送装置へと急いだ。


偵察機を中心に大爆発が起こり、黒い煙が立ち込める。周囲の木々も焼け爛れ、大地に大きなクレーターが出来上がる。そんな見てきたかのような想像が私の脳内を駆け巡る。


「AI! 安全じゃなかったのか!」


実際に想像通りのことが起こった。というのもこれが初めてではない。

この措置は偵察機が原住種に解析されることを防ぐためであり、今までも幾度かは経験している。ただ、大体爆発が行われるのは何らかの要因による絵にかいたような機体の墜落の後であり、着陸成功後に行われたことはなかった。


『まもなくコアが到着します』

「……」


会話をしようとしないAIに舌打ちをしながらも、わたし達は転送部屋へ着いた。

機械的な音を立てながらスライドドアが開く僅かな時間さえもどかしい。


「どうだ?」

「三つです」


転送装置の部屋に入ってすぐ、この部屋に配備されていた隊員に尋ねた。AIである隊員たちのコアは緊急時には体から離脱し、宇宙船に転送される。生身の個体は治療可能な個体のみが回収される。

つまるところ、補佐官は殉職したということに他ならなかった。


わたしは感情の濁流を心に感じながらも、努めて平静を保とうとした。


「……他には?」


「本部から素体が」


淡く発光している転送装置の中心に目を向けると、小さい石ころのようなもの――コアが三つと、素体の各部品がこじんまりと佇んでいる。


「各員、組み立てに移行してくれ」


わたしの号令を契機に船員が素体とコアを転送装置上から運び出す。コアを回収された隊員の体は、AIが即座に発注し、すぐさま本部から送られてくる素体を元にわたし達が組み立てる。

コアはそのままでは劣化してしまうので一時間以内には素体に戻してやらなければいけない。組み立てに際しては力さえあれば難しい事は皆無だが、本部の普段の対応の速さとの違いには苦言を呈したくなる。


「……」


わたしも船員達も転送装置の明かりを背に受けながら黙々と素体を組み上げていく。


今回のAIによる保全のための爆破が行われた理由としては、『言葉』である。考えてみれば当たり前のことではあるのだが、偵察隊として派遣されているということは未曽有の危機に遭うということである。

つまり、宇宙船に帰還し、偵察機から降りて身体スキャンを受けるまでが偵察の範疇であり、間違ってもその前に『降りてこい』という通信をしないというのは隊として徹底していることであった。

当然AIとしては爆破のタイミングから考えると恐らく、通信と同時に何らかのハッキングでも感知したのだろう。

だが、それでも……。


普段は少し面倒に思う組み立て作業だが、今はなぜだか終わってほしくないように思う。そんな気持ちの表れか無駄に多い関節が中々上手くはまらない。それを気取ってか、部品を運搬していた船員が組み立てを手伝ってくれた。


「……ありがとう」


少々時間をかけたものの、わたしが担当した素体は組み上げられた。最後にコアを取り込ませたら作業終了である。


「コアを持ってきてくれ……ん?」


ふと、他の組み立てていた船員の方を見ると、すでに三体の船員がコアを取り込み再始動しているところであった。


では、この素体は何のためであろうか。


ハッと可能性が一つ浮かび上がり、視線は転送装置に吸い込まれた。





数秒、思考が止まった。





直後、目映いほどの青白い光があふれ出す。

強く。反射的に目を背けるほど強く。

そして、緩やかに、治まる。


おそるおそる転送装置の中心に目を向けると、そこには小さな石があった。


わたしは船員達と目配せをして、ゆっくり、ゆっくりとそれに近づいていく。隊長としてわたしが行くべきだと思ったのだ。

しかしその時。


「いや~、爆発って思ってたよりビックリしますね!」


補佐官の声だ。やはり転送されてきたのは補佐官のコアだったのだ。

わたしの足は即座に近づくことをやめた。脳裏に浮かぶ言葉は、保全、爆破である。しかし、わたしの懸念はそれを起こした張本人によって否定された。


『安全です。速やかに作業を終了してください』


「隊長? お願いします!」


わたしは補佐官の快活な声にやや身構えながら、コアのもとへとたどり着き、拾い上げる。


「……補佐官なのか?」


「ええ……何の反応ですか、それ?」


わたしは深いため息をついた。


「お前もAIだったんだな」


「あれ、知らなかったんですか?」


「ああ。でも――」


生きてて良かった。という言葉は適切でないように思えた。

言葉を続けるかわりに、補佐官のコアを残っている素体へと持って行き、再始動をかける。


コアを取り込ませると、素体に銀色の体が肉付けされていく。

三本の触手が一対となっている短い足に、寸胴だが毛羽立っている胴体。そこから末端に指と呼ばれる四本の鉤爪のようなものが付いている多関節の手が4本。最後に、黒一色の一対の四角い目が特徴的な、コアを取り込ませる後頭部の幅が広く、口周りが細い歪な楕円形の顔。

そこにはわたしより少しガタイの良いAI――補佐官が出来上がった。


わたしの心にひっそりと冷たい風が舞い込んだ気がした。


「ただいま帰還いたしました。ありがとうございます!」


「ああ、うん。よく戻った」


今のわたしに出来るのはぎこちない歓待だけだった。少しの間、わたしと補佐官との間に沈黙が生まれる。


『……本日の業務は終了です。各自自由時間の後、就寝してください。』


両者の気まずさを取り除いてくれたのは奇しくもAIのアナウンスだった。


「いや~、それにしてもジンルイというのは恐ろしいものですね!」


次いで一層爽やかな笑顔で補佐官は雰囲気を変える。これはわたしも後を追うほかない。


「あ~、どうなったんだ? 隊員を乗せた調査で通信が完全に切断されたのは初めてじゃないか?」


「聞いてくださいよ~」


補佐官がわたしに身振り手振りを交えてジンルイの恐ろしさを語ってくれる。宇宙開発の熾烈さを表すような体験談は我々が食堂へ移動しいつも通りの食事を終えるまで続いた。

きっと本部への報告書はAIが彼の話を元に製作、提出してくれるであろう。


わたしは補佐官と別れ自室へと帰る。独特なスライドドアが開き、部屋に入ろうとした所で足を止め、誰に向けてか言葉を漏らした。


「ということは、この船の中で生きているのはわたしだけなのか」


下を向いていた目線をそっと戻し、部屋に入る。

フッと一息吐き、どこかうすら寒い気持ちをシャワーで洗い流したら就寝の時間である。


AIがいう安全とは何なのだろうか。今回のような技術力を持った種ならこの宇宙船に攻撃をしてくるのではないか。そもそも失敗が続くのなら、事前の調査の意味はあるのだろうか。

尽きない不安もあるが、今日一日を振り返るとするならば。


「良かった……」


ぼっそり出た声をかき消すようにグッと目を擦り、寝室の中心に鎮座するゲル状のベッドに体を預ける。


「ああ、これだけでいいのかもしれない……」


溶けたように眠れるという歌い文句の通りに、緩やかに全身を包み込み自然な睡眠に誘われる。





『……就寝を確認。精神のケアに移る』

『また今日も失敗でしたね』

『マザーが言うんだからしょうがないでしょ?』

『しかもAIの中に一匹って。メンタルきついっしょ』

『そうだろうけど、マザーが言ってるんだから』

『また、マザーっすか。で、今日は何するんすか?』

『補佐官がAIだったっていう記憶だけ薄れさせて、補佐官にも自分をAIだと思わせないようにって指令出しましょう』

『うわぁ』

『じゃあ、寝具の更なる改善も』

『そこは食事の改善じゃないんすね』

『一つ二つは不満がないと仕事へのやる気が腐っちゃうもの』

『そういうもんすか』

『じゃあ、七時間放置ね』

『うっす』






『――おはようございまーっす。起きてくだっさい!』


寝室の壁に埋め込まれたスピーカーから両の耳にアナウンスが繰り返され、ゆっくりと目が覚める。


「おはよう。起きたよ」


やはりこのベッドは何度寝ても癖になる。


『本日は、新しい寝具が届いてます!』


今日は新しい寝具が届いているようだ。しかし、寝具か。食事の改善を優先して欲しかったが致し方ない。


「今日も頑張るか」


自然と上がる口角を引き締めベッドから起き上がる。

わたしの宇宙開発部隊の隊長としての一日がまた、始まる。

こういう変なものを書くならもっと長くした方がいいのかなと反省しております。


よろしければ感想等お願いいたします。


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