再終話 遊ぶ時間
「ピピピピピ――」
「ふぁああ」
銀次は大きな欠伸をした。午前九時四十分、いつもと変わらない目覚めの時刻。
だが、体調は優れない。呑み過ぎたせいか、二日酔いの状態だった。
「……ウコンドリンクでも飲むか」
銀次は、冷蔵庫の前に行くために起き上がった。ふらつく足取りで台所に入ると、ちょっとした異変に気付く。
冷蔵庫にメモがマグネットで貼ってあったのだ。
「誰のメモ?」
銀次自身に冷蔵庫にメモを貼る習慣もなければ、同棲相手もいない。友達のイタズラかと思っても、昨晩は家に誰も訪れてはいないし、鍵のかかった部屋に勝手に入れるはずもない。
銀次は首を傾げながら、メモに目をやった。
『最近は遊タイムという機能が備わった台があるそうだな。それらの台は1000ハマリまでいかずに、最大でも960弱のハマリで時短が発動する。遊技者を救済する意味において、素晴らしい機能だ。
そんな機能をつゆ知らずに、儂はお前を1000ハマリまで連れて行った。閻王庁の裁判官として、恥ずべき知見のなさである。
よって、お前への判決は恩赦として救済とする。
遊タイムの存在に感謝するのだな』
「何これ……この部屋って、危険度5つ星のホラーでも出るのかよ……」
銀次は不気味がって、辺りをキョロキョロ見回した。だが、他に変わった様子はない。
「……これ以上、気にしても仕方ないか」
と思った銀次は冷蔵庫の中からウコンドリンクを手に取り、一気に飲み干した。そして、外出準備に取り掛かる。
時刻は午前十時前。銀次にとっての遊タイム――パチンコで遊ぶ時間が始まろうとしていた。
最後まで読んでいただき、本当に有難うございました。
次回作を投稿の際には、またぜひともよろしくお願いします。
<お願い>
小説の感想を頂けると幸いです。
もし、面白かったなと思ってくださったなら、ブックマークしてくれると嬉しいです。