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アンキョールワット

作者: 羽生河四ノ
掲載日:2021/10/13

 ガイドの人に、

「この先です。この暗闇の中を進んでください」

と言われて、言われるがままに進んだ。暗闇ですけど?って思ったけど、真の暗闇ですけど?って思ったけど、すかさず、アンキョールワットですからね。これがありがたいんです。そう言われてしまった。そう言われたらなあ。そうなんだって思う。

 「はあ」

 そうなんですか。でも、これがありがたみなんですね。なるほど。わかりました。わかりませんがわかりました。そのニュアンス的なのはなんとなく。まあSNSとかにもそういうのあるもんね。うん。

 ガイドの人が差したトンネルのような場所に入ると、入れられると、すぐに外界からの光が絶たれて本当の暗闇となった。本当のやつ。田舎の夜みたいな。田舎の夜の山の中みたいな。何一つ全く見えない。冗談ではなく本当の暗闇。目をあけても閉じても同じ。暗闇。完全なる暗闇。ブレアウィッチプロジェクト。

 「はい進んでください」

 近くからガイドの人の声がした。その声にすら驚いた。おお!ってなった。近くにいるんだ。言ってよ!あと居てよ!出来たら手を繋いでよ。

しかし、それは言えずにとにかくガイドの人に言われるがままに進んでいくと、足が水に触れた。ぱしゃんってなった。水。薄く張った水。流れてない。溜まった水。

 それからはずっと暗闇にパシャパシャとその音だけがした。最初こそ、この水って清潔?って言うのが気になったが、本当の暗闇空間にすぐにそんなのどうでもよくなった。やがてそれが心の拠り所となった。

 「到着しました」

 ガイドの人の声がした。

 到着した?当然暗闇だ。何も見えない。一切。目を開けても、目を閉じても同じ。開けてるのか閉じてるのかもわからない。

 「ここがアンキョールワットです」

ガイドの人の声がした。

「ありがたいでしょう?」

 そう言れた。


ありがたい。ありがたいなあ。


「ガチでマジで超ありがたいでしょう?」

ガチでマジで超ありがたいです。だから帰ろ、帰ろもう。


「レベチでエモいでしょう!」

レベチでエモいです。だから帰ろ。帰ろもう。帰ろって。

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