「質問」
「しかしまあ、よくぞ考えたものだな……」
レザードが徴用した軍用の小型帆船は、帆に一杯の風を受けて航行している。
時間的にはちょうど凪の頃合いで、辺りには微風程度しか吹いていないのにも関わらず、素晴らしい快速だ。
それにはもちろん理由があって……。
「なーっ! 師匠、俺を連れて来て良かっただろー!?」
マストの下で満面の笑みを浮かべているのはアレクだ。
風の魔法の使い手であるアレクは、ここぞとばかりに力を発動。
大量の風を生み出して船の帆を膨らませ、快走にひと役買ってくれている。
「ありがとう、君がただの脳筋ではないとわかって驚いているよ」
「言い方っ! 言い方おかしいっ! もっと褒めろ! 感謝しろ!」
思った反応と違ったことが不満なのか、悲鳴じみた声を上げるアレク。
「冗談だ。本当にありがとう、感謝しているよ」
「アレクだけずるい! わたしだって活躍していますわよ!?」
一方、船尾の方で手を振っているのはロレッタ嬢とディアナ組。
共に水魔法の使い手であるふたりは、ジェット噴流のように水を噴出させて、これまた船の快走にひと役買ってくれている。
「ロレッタ嬢、ありがとう。ディアナもな、この礼は必ずさせてもらう」
「お礼……お礼……ハッ!? ダメよロレッタ! そんな邪なことを考えては! せっかく普通に接することが出来るようになったところなのに!」
「あなたってさあ……」
妄想を膨らませ悶えるロレッタ嬢にドン引きするディアナ。
「……ふう、なんとか追いつけそうだな」
僕はホッとしながら前を行く船を見つめた。
船体が闇のような黒色に塗られた『カリンガの夜鷲』の武装船は、漕ぎ手たちが必死に櫂で漕いでいるが、どうやらこちらの方が船足が早いようで、見る間に距離が縮まっていく。
「……なあ、アリア嬢。ひとつ聞いていいか?」
王国の兵士でもある船員から借りたサーベルを振り回して海賊ごっこをしているジェーンにチラと目をやってから、レザードが僕に訊ねて来た。
「レイミアの行方不明を知ってからの行動の速さ。敵、そしてその目的や居場所を突きとめるまでの迅速さ。かてて加えてパーシアのあの変わり様……」
「……」
「それだけじゃない。今までだって君は、まるで未来を予測しているかのような発言を多くして来た。なあ、アリア嬢。君はいったい何者だ?」
おーっほほほほほ! みなさまあけましておめでとうございます!
西園寺・ドンクリスティ・龍子よ! 今年もよろしくお願いしますね!
そして作中ではさっそく動きがあるわね。
レザードに核心を突かれたアリアはどう答えるのかしらね?
さて、そんな彼女の今後が気になる方は、下の☆☆☆☆☆で応援よろしくお願いしますね!
ブクマや感想もお待ちしておりますわ!




