表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/93

「戦闘装束」

 さて、星月祭せいげつさい3日目。

 泣いても笑ってもこれが最終日だ。


 アレクとディアナに加え、イレーヌ、ヌミシア、デアボラの3人まで引き抜かれた形となったパーシア派は、一転総崩れ。

 機を見るに敏な生徒たちの多くがこちら側に流れて来た。 


 結果として、星月姫せいげつき選びの段階で、予想得票数はこちらの600に対しパーシア派は300という状況。

 生徒の親御さんたちの票数が2000もあるので逆転の目はまだまだあるとも言えるが、昨日と一昨日の僕の働き(昨日のは不可抗力だが……)のことを考えるなら、勢いは完全にこちら側──




「……ふん、まだまだよ。これぐらいの逆境、なんてことないわっ」


 会場となった巨大なオペラハウスの舞台裏で、しかしパーシアは最後まで諦めていない様子だ。


「さあごらんなさいっ。これがメインヒロインの力よっ。悪役令嬢のあなたなんかに、間違ってもこの輝きは出せないでしょうっ」


 階段を駆け上がり壇上へと躍り出たパーシアが身に着けているのは、真っ白なウエディングドレスだ。

 コネを使い倒して仕立て上げたプリンセススタイルで、布地はもちろん縫製のすべてが豪華で豪奢。

 ビスチェに施されたデコレーションは精密で、フレアスカートはふわふわと雲のような質感。

 14歳の少女が着るには少々気が早いが、パーシアが本来持つお姫様的な雰囲気にはよく似合っている。

 つまりは凄まじい完成度ということであり……。

 

『おおおおおお──』


 会場に詰め掛けた観客の多くがどよめきを上げた。


『──おおおおお!』


 老若男女関係なく、色めき立った。 

 

「……見た目はいいんだよな。見た目は」


 いかにもあざとく「きゃっ?」とか言って驚いているパーシアを、僕は苦い気ちで眺めた。

 内面を知っている身としては実に寒気のする光景だが、観客のこの反応はけっこうまずいかもしれない。


「ううーん、はたして大丈夫だろうか……? ここで逆転されたら元も子もないのだが……」


「──大丈夫ですよ、お嬢様」


 僕の後方に控えるベスが(なぜか鼻血を出したので、ハンカチで覆っている)、自信に満ち満ちた目で断言した。

 

「毎日毎夜、お嬢様のことを見続けて来たこのベスを信じてください。これはお嬢様にピッタリの、まさに乙女の戦闘装束と呼べるもの。パーシア様どころか、世界中のどんな美女やお姫様にだって負けはしません」


「す、すごい自信だな……」


 さすがにそれは盛りすぎだろうと言いたいところだが、ベスが本気で仕立てたこの衣装は、たしかに素晴らしい出来だ。

 僕の本質に合った、まさに戦闘装束(・ ・ ・ ・)と呼べるもの。

 問題はそれが、星月姫選びという場にふさわしいかどうかだが……いや。


「うん、信じるよ。僕のために頑張ってくれた、ベスを信じる」


 この日のために、ベスがどれだけの苦労をしてきたかを知っている。

 日々メイドとしての仕事をこなし、僕のお付きとしてさらにいくつもの働きをした上で、夜遅くまで縫い物に励んで来た。

 その情熱と、僕を見続けて来た目を信じよう。


「じゃあ行って来る。見ていてくれ、ベス」


 顔を真っ赤にしたベスに向かって手を振ると、僕は階段を駆け上がった。

おーっほほほほほ! みなさまご機嫌よう!

西園寺・ドンクリスティ・龍子よ!


泣いても笑っても星月祭最終日、アリアとパーシアの戦いの行方は!?


さて、そんなアリアの今後が気になる方は、下の☆☆☆☆☆で応援よろしくお願いしますね!

ブクマや感想もお待ちしておりますわ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ