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「レザードは、ニコリ壮絶に微笑んだ」

「あのねっ? あのねっ? レイミアはずっと探してたのっ。ロレッタがなんか泣いてるからっ、なんかこのままじゃ嫌だなーって思ってっ。そんでこれっ、見つけたのっ。ふせいのしょーこっ」


 そう言ってレイミアが僕らに示して見せたのは、テストの答案用紙だった。

 全教科分あって、答えはすでに記されている。

 ところどころに焼け焦げた跡があるのは、焚き火に手を突っ込んで分捕って来たからだろう。


「というか君、手はっ? 手は大丈夫なのかっ?」


 僕は慌ててレイミアの手を取った。

 白く柔らかく小さな手は、幸いなことにどこも火傷していない。


「だいじょーぶだよ。ぱっと捕ったもん、ぱっと」


 ジェスチャー付きで、「にひひひひ」と得意げに微笑むレイミア。


「ぱっと捕ったって、君なあ……」 


 もし万が一、逃げきれずに捕まったらどうするつもりだったのだろう。

 答案用紙を取り返されるだけならまだいいが、そのふたりが幼女に手をかけることも辞さない悪人だったとしたら、最悪の場合殺されたりとか人買いに売り飛ばされたりとか……。


「ホントにもう……心臓に悪い……」


 想像の重さに耐えかね、僕はへなへなとその場にしゃがみ込んだ。


「ちょっと見せてくれるか?」


「うん! ほらね? これってふせいのしょーこでしょ!?」

 

 ひとり盛り上がり続けるレイミアの手から答案用紙を受け取ったレザードは、サッと目を走らせると……。


「なるほど、間違いない。これは動かぬ不正の証拠だ」


 太鼓判を押すと、レイミアの表情がパアアアッと明るくなった。


「そしてもうひとつ……いや、ふたつ(・ ・ ・)の証拠( ・ ・ ・)が来たようだ」


 レザードの視線の先を追うと、そこにいたのはスーツ姿の中年男性がふたり。

 髪を振り乱し、焦った様子でレイミアを指差している。

 ようやく見つけたはいいが、僕らと一緒にいるのでどうしたらいいかわからないのだろう。

 

「あれは……ペンドラゴン家のクロード2級執事と、レモウ社会科担当教師だな」

 

「知っているのか、レザード?」


 教師はともかく、他人の家の執事の名前まで?


「人の顔や名前を覚えるのも仕事でね」


 レザードは肩を竦めると、レイミアの頭をひと撫でした。


「よくやったな、レイミア。アリア嬢に思う様褒めてもらうといい」


「うん! わかった!」


「……レザード、どうするつもりだ?」


「どうする? そんなの、決まっているだろう」


 レザードは腕まくりすると、ニコリ壮絶に微笑んだ。


「奴らが誰の友人を傷つけたかを、教えてやるのさ」

おーっほほほほほ! みなさまご機嫌よう!

西園寺・ドンクリスティ・龍子よ!


オンリーマイウェイな手段で事態を打開したレイミア。

そのあまりの無謀さに腰砕けになるアリアと、そして……な回ね。


まさかの展開が気になる方は、下の☆☆☆☆☆で応援よろしくお願いしますね!

ブクマや感想もお待ちしておりますわ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 確かに、よく考えたらレイミアさんの活躍にヒヤヒヤしますね。 王子が味方なら心配ないか。 ちなみに私個人の印象では、あのゴミ派閥の名誉挽回はもう不可能に近いですね。
[良い点] ここから逆襲が始まるんですね! 楽しみに待ってます
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