「まさかの結果」
さて、秋季テスト本番。
ここまで万全の準備を重ねて来たロレッタ嬢は、最高の結果を示した。
全10教科中6教科で満点。
残りの4教科も、ほぼ満点に近い数字を叩き出した。
順位はおそらく1位。
決闘の勝敗も当然ロレッタ嬢に……と思いきや。
「嘘だろ? なんだこの数字は?」
木製掲示板に張り出された成績上位者の名前と得点に、僕は思わず驚愕の声を上げた。
「ディアナが1位でロレッタ嬢が2位? そんな……」
驚くべきことに、結果は7教科で満点を出したディアナの方が上だった。
「わたしが負けた……?」
この結果に最も打ちのめされていたのは、当然ながらロレッタ嬢だ。
呆然とその場に立ち尽くし、僕が何度声をかけても気づかない有様。
「ロレッタ嬢」
「アリア様の名前を傷つけて……推薦人も外されて……わたし……わたしは……」
「ロレッタ嬢、大丈夫だ、落ち着け」
「わたしの……せいで……」
顔面蒼白になったロレッタ嬢を落ち着かせるため、僕は無理やり物陰に引きずっていった。
「ロレッタ嬢、いいから僕の目を見ろ」
「ああ、アリア様……」
肩を掴んで顔を覗き込むようにして声をかけるが、ロレッタ嬢はなかなか元に戻らない。
敗戦の傷は予想以上に大きいようだ。
そうこうしているうちに、険しい表情をしたレザードがやって来た。
「アリア嬢。ちょっと小耳に挟んだんだが……」
レザードの情報によると、今回のテストに関して不正の疑いが出ているようだ。
教師を買収して、事前にテスト内容を把握している者がいると。
もちろんそれはディアナ。
公爵家としての財力と政治力に物を言わせたという噂だ。
「証拠はない。あくまで噂の段階だ」
そう前置きした上で、レザードは言った。
「だが、可能性は高いと思う。ディアナの学力それ自体は認めるが、今回はあまりに結果が良すぎる。身内びいきではなく、本気でロレッタ嬢の方が上だと思う」
「レザード殿下……でも……」
涙の滲んだ目で、ロレッタ嬢はレザードを見つめる。
「ロレッタ嬢。君の頑張りは、俺たちが一番よくわかっている。仲間として、友人として、必ず名誉を取り戻すことを約束しよう」
第一王子としての権力をフル活用して戦う気なのだろう。
レザードの目には確かな決意がうかがえる。
「ありがとうございます殿下。でも……たぶんそれでは間に合わない……」
ロレッタ嬢の言葉に、レザードはうっと唸った。
星月祭の開始は、秋季テストが終わってすぐだ。
不正の証拠を見つけ、ディアナに叩きつけての逆転勝利を狙うには、あまりに日数が足りない。
「わたしはこのまま推薦人を外されて……アリア様に協力できずに……」
ボロボロと涙を流して悲しむロレッタ嬢。
「大丈夫だロレッタ嬢、そのことなら心配するな。僕が絶対勝つから、君の名誉はその後できっちり取り戻すから」
こうなったら教師に対して手荒なことをしても構わんと、僕が本気で思っていると……。
「……あ」
と、ロレッタ嬢が何かに気づいたように顔を上げた。
「方法ならあります。たったひとつだけ、わたしが勝つ方法」
おーっほほほほほ! みなさまご機嫌よう!
西園寺・ドンクリスティ・龍子よ!
万全の準備、万全の応援の下にテストに挑んだロレッタだけど……まさかの結果に……?
いかにも戦いに向かなそうなコの今後の運命と逆転劇が気になる方は、下の☆☆☆☆☆で応援よろしくお願いしますね!
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