「いったいどうしてこうなった」
星月祭は、王立学園における学園祭の名称だ。
秋口のテスト明けの3日間をフルに使って行われるため、解放感に満ち溢れた生徒たちの勢いたるや凄まじい。
寄付金により積み上げられた予算も超高額で、催し物の規模や出来も半端ではない。
パーシアが決闘の舞台に指定した星月姫選びは、祭りの最終日に行われるイベントだ。
12歳から16歳までの各学年からふたりずつ、計10人の中からトップを選ぶ(12歳以下の小等部は別個に行われる)。優勝者には銀杯と、駿馬が一頭与えられる。
将来の社交界の華として国内外からの注目も高く、上位に入った女生徒は高貴な御方からお声がかかる率が高いらしい。
ゲーム的には恋愛フラグを消化する際の最重要ポイントであり、つまりは僕に関係のないこと甚だしいイベントだった。
だったのだが……。
レザードとレイミア、ロレッタ嬢とベスの4人は、それぞれの得意分野を生かして働いた。
レザードが王族たる人脈を生かして雑誌記者を学園に招き入れ、僕という存在を美々しく書き立てさせれば──
ロレッタ嬢が公爵令嬢としての力を生かして僕を晴れの席へと連れ出し──
レイミアは小等部の子供たちに僕のことをやたら良いように吹き込んで学園内での人気を底上げし──
ベスは最新の流行を取り入れた衣装を僕に着せるべく、日々恐るべき執念で編み上げていく──
その甲斐あって、というべきだろう。
日を追うごとに僕のファンは増えていった。
彼ら/彼女らの中で、僕はどんどんと美化されていく。
女神のように優しいとか、天使のように可憐だとか、勇者のように力強いとか(まあ、そこは合ってるが)。
手紙や贈り物を貰う機会も増えた。
声をかけられる機会も激増した。
普通の女子ならばそれはもう夢のような話なのだろうが、どっこい僕だ。
「プレッシャーが……キツい……」
パーシアに勝つためとはいえ、さすがにこれは精神に来る。
体重は減っていないのに、心なしかげっそりしたような気がする。
「最初はただ友達が欲しかっただけなのに……いったいどうしてこうなった……」
おーっほほほほほ! みなさまご機嫌よう!
西園寺・ドンクリスティ・龍子よ!
パーシアとの決闘が決まり、急激な変化にさらされるアリア。
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