「団結」
パーシアが去った後、僕らは改めて話し合った。
「決闘……決闘か。武力を伴わないというならまあ、前向きに考えれば……」
「ある意味、元を断ち切る絶好の機会ではありますわね……」
レザードとロレッタ嬢。
最初暗かったふたりの表情は、話しているうちに徐々に明るくなり……。
「そうだな。星月祭に勝って星月姫になれば、この無益な争いも終わる。考えてみれば簡単なことだ」
「そうですわね。アリア様の素材を考えれば造作も無きこと……あら? これってもしや、これ以上なく上手い話なのでは?」
勢いづいてきたふたりは席を立つと……。
「よし、善は急げだ。俺はツテを通じてアリア嬢の応援委員会を組織する」
「ではわたしは、アリア様の売り出し方を煮詰めていきますわ。ベスさんにもご協力いただきましょう」
「ちょっと待てちょっと待て。応援委員会ってなんだ? 売り出し方ってなんだ? そしてロレッタ嬢はいつの間にベスと個人でやり取りするほど仲良くなってるんだ? というかそもそもの問題として、僕が星月姫とかおかしいだろうがっ?」
思わず声を荒げる僕に、ふたりはやたらといい笑顔を向けて来た。
「大丈夫だアリア嬢。君は強く美しい。星月姫の資格が十分にある」
「その通りですわ。パーシアなんてけちょんけちょんにしてやりましょう」
「ええー……?」
ふたりは完全にやる気で、今後の計画を嬉々として立て始めている。
「おおーっ、やるぞっ! けっとーだーっ!」
黙々とイチゴショートを食べ終えたレイミアは盛り上がるふたりに合流すると、もうノリノリで煽り始めた。
「きちんと聞いてたんだな……というかそういう問題ではなくだな……皆、僕の話を……」
売られたケンカを買わない理由はないものの、それが美貌だの気品だのということになったら話は別だ。
育ちの悪い『掃除人』、しかも転生先が悪役令嬢ときては、僕に勝ち目なんてあるわけがない。
僕は青い顔をして、皆の話の行く末を窺っていた……。




