表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/93

「ボス」

 ああ? 心の健康(メンタルヘルス)チェック?

 あー……そういやそんな時期か、半期に一回だもんな。

 しっかしいつも思うんだが、俺らみたいな非合法組織が何を呑気に職員の心のケアなんかしてんだろうな。


 あー、はいはい。騒ぐな騒ぐな。

 文句じゃねえよ、こいつはただの感想だ。

 

 んーで? 聞きてえのは亜理愛アリアのことか?

 ま、そうだわな。

 直近で俺絡みの大きな事故案件といったら、それしかねえからな。


 まあよ、気にしてねえと言ったら嘘になるな。

 あいつを拾ったのは俺で、殺しのイロハを叩き込んだのも俺だからな。

 親代わりと言うには問題ばかりだが……言葉を覚えるより先に敵を無力化出来るよう仕込んだのは、間違いなくこの俺だ。


 ともかく、惜しいよ。

 あいつがいればもっとスムーズに出来ただろうなって依頼はいくつもある。

 だけどもう、今さらだろ。

 あいつは死んだ、もう帰って来ねえ。それが現実だ。


 んなことより仕事仕事……んあ? 

 最後は何の任務をさせてたのかだって?

 別に、何もさせちゃいねえよ。ただ休暇を与えただけだ。

 意外かもしれねえが、こちとら職種のわりにはホワイトなのが売りなんでな。

 

 なあ、知ってるか?

 あいつって、全然趣味がねえんだよ。

 行きたいとこも、やりたいこともありゃしねえ。

 放っておけば休暇の間中トレーニングをしてるだけ。

 だからだよ、特別長い休暇を与えてやりたかったのさ。

 

 あいつはほら、危なっかしいところがあったろ。

 本気で殺しのことしかわからねえから、ごく普通の人間の感情の機微きびが理解出来ない。 

 それは時に、傷にもなるんだ。

 キリングマシーンのままじゃあ感じとれねえ危険ってのが世の中にはあるんだよ。


 だからな、俺はいつもこう思ってた。

 こいつはちょっとした拍子で命を落としかねねえぞって。

 あいつの関わる『任務』に必ず『管理官』を付けてたのはそのためだ。

 絶対に命令に従うよう言い聞かせてたのもな。

 あいつ以外の誰かによる視点を、常に担保しておきたかったんだ。 

 はっ、その結果がこれじゃあ笑い話にもなりゃしねえがな。


 あ? まだ聞きたいことがあんのかよ?

 こちとらそんなに暇じゃねえんだが……。

 はああー? もしあいつがどこかで生きていたらどう思うか、だと?

 バカか。なんだその意味のねえ質問は。

 ああ? それがメンタルヘルスというものだって?

 判断に迷う質問だからこそ、その人の心の健康がわかるんだって?

 はいはいはい、わかったよっ、答えてやるよっ。

 そうすりゃおまえは俺の目の前からいなくなって、この面倒な質問も終わるんだな?

 ったく、面倒くせえ……。


 いいか? 一度しか言わねえからよく聞けよ?

 もしあいつがどこかで生き延びているのだとしたら、俺はこう願うぜ。

 ちょうどいい機会だ、そのまま行方をくらまして、二度とここへは戻って来るんじゃねえぞって。

 人並みに友達を作って、人並みに恋をして、新しい人生を送りやがれって。

『掃除人』として生きて、『掃除人』として死んでいく。

 そう決めちまうには、おまえの人生は早すぎるんだってな。 


 以上だ、これで満足か?

 じゃあ俺は、仕事に戻るからな。

 次の『任務』の手配で忙しいのによ、ったく……。

おーっほほほほほ! みなさまご機嫌よう!

西園寺・ドンクリスティ・龍子よ!


謎多き「ボス」の思惑だけど、ここで明らかになったわね。

なるほどたしかに、アリアって物理的には強い反面、精神的には危ないコだものね……。

今は上手くやっているけど、レイミアの助けが無ければどうなっていたことか……。


さて、そんな不器用なアリアの今後が気になる方は、下の☆☆☆☆☆で応援よろしくお願いしますね!

ブクマや感想もお待ちしておりますわ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ