涼しくて暖かい日
試験勉強に疲れたので、部屋に設置してある折り畳み式のソファに腰掛けてみる。
開けた窓から吹き込んでくる涼やかな風と、透明のカーテンをすり抜けて部屋を照らす暖かな陽射し。対照的でありながら、そのどちらもが僕をまどろみへと誘う。
疲れた頭を癒すためか、意図せずとも寝入るまではあっという間だった。
外界との関係が完全に絶たれたわけではない、浅い眠り。
我が家の近所を元気に駆け回る賑やかな子供たちの声を、うっすらと残った意識が拾い、夢の中で投影する。僕は空中に腰掛けるようにして、それを俯瞰していた。
無邪気にはしゃぐ子供たちの姿を、心底羨ましいと思った。彼らはきっと満足のいくまで遊び尽くし、何の憂いもなく帰宅するのだろう。
無意識にそこまで考えて、不意に視界が切り替わった。僕が見ているのは、教材の散らばった自室だった。
試験勉強から生じた疲れはもうとれていた。僕は満足のいくまで眠り尽くし、憂いから逃げるすべを失った。
けれど、涼やかな風と暖かな陽射しが心地よい今日という日を試験勉強のために使ってしまうのはいささかもったいない気がして。
しばらくそのまま、涼しさと暖かさを感じていた。