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第5話 懺悔の時間

今回は特記事項無し

フワフワとしたまどろみの中に俺は漂っていた。赤ん坊が母親の羊水に包まれている、そんな安心感を覚える


何か自分はとてつもない状況に直前までいた気がした。だがまだこの安息の空間へ留まっていたい


だが遠くからその安眠を脅かす小うるさい声が聞こえた。可愛らし声だがそれ以上に眠気が勝っている。声の方から寝返りを打って顔をそむける


「まだ6時だ。寝かせろよ」


「いえ、ですからまだ6時とかそういうんじゃなくて、起きてください。このままじゃあなた・・・ああ、キャラメルちゃん」


「まったく、あんたはホントに甘々なんだから。いい?こんな奴はねこーすればいいのよ!」


突如として俺を包んでいるまどろみも優しさも1/3の純情な感情も何もかも剥ぎ取られた


体が思い切り地面に叩きつけられたことから自分が宙に浮かんでいただろうということは分かる。だがそれ以前に、


ある事実に驚愕する

 

俺は・・・・生きている

 

地球が回っていることに気が付いたガリレオだってこんな顔はしなかったはずだ。俺は暫く呆然としてあたりを見まわす。見まわせるるということは筋肉が動くということだ


「なにぼーっとしてるのよ!これだから男ってやつはダメなのよね」


「ちょ、ちょっとキャラメルちゃん。そんな言い方よくないよ」


目の前に見知った金髪少女ロリが腕を組んで仏頂面で俺を睨みつけている。あの釣り目には覚えがある。それにツインテールにも・・・・バーにいた子供だ

だが不可解な出来事が起こりすぎて鋭いと思っていた自分の頭脳をもってしても処理能力のキャパを超えていた

 

こんな時は取りあえず状況確認が一番だ。


そう思い俺は改めて周囲を見渡して現在いる空間の異質さに驚いた


俺がいるのは相当広いドームのような場所だった


碁盤目状に黒く光沢を放つタイルが延々と張り巡らされているが果ては見えない。球形の天井は見えても頂点は目視できない。


「何だよここ??」


俺は立ち上がってもっと遠くを見ようとした。だがあの金髪少女ロリが一瞬で姿を消して次の瞬間には目の前に現れる


「誰に許可とって起きてんのよ!この救済不能者オーバーズ

「へっ!?」


目の前の現れたロリは俺の額にデコピンをたった1発だけ入れた


本当にたった1発、だがその威力たるや凄まじいものがあった


成人男性である俺の体を軽々と吹き飛ばし俺は2メートルほど軽く宙を移動した。そして重力に従い体が下のタイルに叩きつけられそうになった瞬間、わずかに数十センチほど間隔を空けて辛うじて俺の体は宙に留まった


「はぁー、もうキャラメルちゃんなんてことするの!圭人さんはまだ審議中、推定無罪何だからあんまり乱暴なことしちゃダメ!」


金髪少女ロリ、もといキャラメルの脇に同じくらいの体格の黒髪の少女がいた。そっちの方が会うのは初めてじゃない


「若菜、若菜か?なんでお前がこんな所に?!」


若菜が額から汗を垂らしつつ俺に向かって一生懸命手をかざしている。原理ギミックは分からないが彼女が手をかざしてくれている間は俺は地面に叩きつけられることはないってことだろう


一方叱られたキャラメルは若干不服そうだ。もちもちのほっぺたを膨らませて、母親に叱られた子供のようにそっぽを向いている


「だってさぁ、この仕事着いてから若菜はずっとこんなガラクタのことばっかり話しているんだもん!」


が、ガラクタで悪かったな


若菜は苦笑しながら少しずつ手を下げていく。それに比例して俺の体もゆっくりと地面に落ちていった


何とか無事に地面までたどり着けたことに感謝して俺は立ち上がることが出来た。これでようやく落ち着いて周りを確認できる


やっぱり周囲には何もない。ひたすらに黒のタイルとその間を緑色の線が碁盤目状に延々と区切っているだけのドームだ


「わ、若菜。ここはいったいどこなんだ?」


キャラメルの方が何かを言い出すよりも先に若菜は丁寧な説明を始めた


「ごめんなさい圭人さん、突然こんな所に連れてきてしまって。でも安心してください。ここは安全な場所ですから何も心配はいりません」

「連れてきた・・・・ってことはあの路地での出来事は現実!?・・・・なのか?」


にわかには信じがたい話だ。俺は腹のあたりを触ってみる。手の平は綺麗なまま、当然血もついていない。それ以前に傷さえないのだ


まだまだ聞きたいことだらけだ、そう思って俺は次の質問をしようとするとキャラメルが俺の話を遮った


「ごちゃごちゃ聞きたいことはあるんでしょうけど、今はあたしの話を聞いてもらうわ。まず第1に、あんたはまだ死んでない。でも生きてもないわ。ここは死後の世界じゃないけどもう2度とあっちの世界には帰れない!そういうことだから」


この瞬間、俺はもう2度と戻れない運命の狭間に足を踏み入れた


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