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癒し嫁 ~人生絶望してたら女子高生のお嫁さんができました~

作者: 守月 淼

僕は人生に疲れていた。

毎日夜遅くまで働いて家に帰るのは終電近く。家に帰ると待っているのは誰もいない暗い部屋で、冷めたコンビニ弁当を食べて風呂に入って寝るだけ。

休みの日は何かしようにも疲れていて1日中寝るのがほとんどで、とても外に出たり何か趣味に没頭するような気になれなかった。

彼女はいないし、親しい友人も大学を卒業してからは疎遠になっていった。

会社では同僚や上司とは業務的な会話はするけどそれまで。

忙しさに追われて、とても深い人間関係を築くことはできなかった。

そんな毎日を送るうちに限界が来てしまった。


 僕は何の為に仕事しているんだろう……。

生活のため? 両親のため? 会社のため?

こんなに自分をすり減らしてまでお金を稼いで僕は何がしたかったんだろう……?

なにもかも捨てて自由になろう………。


 そう思いながら会社帰りに街中を当てもなくうろつく。

街中の明かりや喧噪がやけに遠くに感じる。


 やがて歩き疲れた僕は駅前のちょっとした広場にあるベンチにうな垂れるように腰かけた。


 寒いし、もう動きたくない…。

このままじっとしてれば死ねるのかな?

飛び降り……は嫌だな、痛そうだし……。

というか死ぬのに労力を使う気力さえ湧いてこないな…。


 「――せんか?」


 なんだろう? 

誰か僕の肩を叩いている気がする。


 重たい頭をゆっくりと上げると、目の前には黒いコートに身を包む女子高生がいた。

黒いセミロングの髪にパッチリとした目、薄い唇。

とてもこんな夜中にはいない女の子が目の前にいた。


「あ、あの……泊めてくれませんか?」

「は……?」


 な、なんだこれ?

もしかして援交とかそういうのか?

パッと見マジメそうな彼女でもこんなことをするのか……。


「きゅ、急で驚かれますよね…。で、でも私泊まる所がなくて……その……」

「……いいよ」

「え?」

「泊まる所ないんでしょ? うん、ウチでいいなら…」

「は、はい!」


 後で考えたら、普段の精神状態の自分なら絶対こんな怪しい女子高生なんて家に招かなかっただろう。

でもこの時の僕は少しも冷静じゃなかったし、それにもう全部どうにでもなれと諦めるような気持ちになっていた。





 あの後、特に彼女と会話する事なく家まで辿りついた。

相変わらず真っ暗な部屋だったけど、今日はいつもと違って後ろからシャンプーだろうか? いい香りがする帰宅だった。


「お、お邪魔します……」


 彼女は遠慮がちに靴を脱いで部屋に入ると、僕の後ろについてきながら部屋を見回していた。


「1人暮らしなんですか?」

「そうだよ、なんもないでしょ?」

「いえいえ、そんな……へぇ……」


 彼女は僕の家が目新しいのか、しばらく腰を下ろさず落ち着きなく家具やキッチンなどを見ていた。

そうして暫く見入っていた彼女は我に返ったのか、慌ててリビングのカーペットの上にあるクッションに正座した。


「す、すみません! そ、その初めて男性の部屋に入ったので……」

「あ、うん大丈夫だよ」


 初めてって…まさかこういう事初めてなのか?

てっきり慣れているのかと思った……。


「その……もしかしてこういう事は?」

「え? えっと、あの……その……はい」


 彼女は僕と視線を合わせ辛いのか顔を俯かせて答えた。


 どうしたものか…勢いでうちに連れてきたはいいものの、僕はそもそも女性と付き合ったことがない。

だから経験はないし、そもそもこんな学生を連れ込んでまで不純な行為をしようなんてありえないと思う。

僕の人生はもうどうでもいいけど、だからって未来ある彼女をここで穢していいはずがない。

それに真面目そうな彼女の事だ、事情があってこんな行為に踏み切ったに違いない。


 僕はうつむく彼女を横目で見ながら、財布に入っていた全額の3万円を机の上においた。


「なにがあったか分らないけど、君みたいな娘がこんな事しちゃ駄目だよ……だからこれ持って明日の朝には帰るんだ」

「え……?」

「今日はもう遅いからここにいていいよ。それに僕は何もしないから」

「ちょっと、あの!」


 我に帰る彼女の静止の言葉を無視して僕はコートとジャケットを脱いだシャツとスラックの格好のまま寝室に向かった。

そして疲れが限界にきていたのか、自分の家に見ず知らずの少女がいる状況にも関わらず僕はすぐに眠りについた。

 




 翌朝。

目が覚めると、なんだかいい匂いが僕の鼻を刺激した。

寝惚けながらも、そういえば昨日は会社に帰ってから何も食べてなかったなと思い出したとたん腹が鳴った。


 匂いに釣られるように僕はリビングに向かうとそこにはテーブルの上にご飯と鮭、それに卵焼きが2人分あった。


 どうしてこんなものが……?


ぼーっとした頭で考えていると、きんぴらごぼうをお盆の上に乗せて運ぶ少女が目の前にきた。


「あ、おはようございます!」

「え? あ、ああ……おはよう」

「はい! あの勝手にですけど朝ごはんを作ったのでよければ召し上がって下さい」

「うん……じゃなくて!」

「はい?」


 不思議そうな顔をしながらきんぴらごぼうを配膳する彼女。


「いや、あのさ…昨日うちに来た君だよね?」

「え? はい、そうですけど」

「なんで……」

「なんでって…あ、台所のことですか? すみません勝手に使ってしまって…」

「いや、そうじゃなくてね……」

「えっと、じゃあ鍵を勝手に借りたことですか?」

「鍵?」

「はい。朝食を作ろうと思って冷蔵庫を確認させて頂いた時に、食材が足りなかったので買い出しに行ったんです。開けっ放しだといけないと思って玄関においてあった鍵を借りちゃいました」

「そうなの? いや、それは別にいいんだけど、そうじゃなくて! なんでまだうちにいるの?」


 やっと頭がはっきりしてきたけど、彼女は昨日僕が血迷ってウチに連れてきちゃった娘じゃないか。

昨日お金も渡したし、てっきり朝にはもう出て行ってるとばかり思ってた…。


「えっと、それはですね……」

「それは?」


 彼女は言いずらいのか指先を合わせたり離したりしながら唸っていた。


「その…しばらくお世話になっても良いですか?」

「え?」


 お世話にって…しばらくウチにいるって事!?


「あ、あのさ、今さらだけど僕達見ず知らずの他人だよ? 何するかも分かんないし、それに親御さんも心配するよ?」

「親は……いません」

「あ、ごめん……」

「い、いえ……」


 しまった、故意じゃないとはいえ彼女を傷つけてしまった……。

親御さんがいないって事は何か複雑な事情あって僕の家に来たのかもしれない。

しかも援交に踏み切るほど切羽詰まっている状況。

もしかして彼女は1日を過ごすのが難しかったり、雨風凌ぐ家や宿さえないのかも……。

だったら、こんな僕の家でよかったら彼女をいくらでも泊めてあげよう。

もし仮にだけど彼女の話が嘘で金目の物とか全部取られても良いかな。

その時はその時でこの世に救いなんてないってことで、本当の意味で人生に諦めがつくだろうし……。

うん、そうしよう。


「いいよ、ウチでよかったら暫くいても」

「え? 本当ですか!? 良かったぁ…本当に助かります」


 彼女は目に涙を浮かべながら深くお辞儀をした。


「いや、そんな礼とか良いんだよ。君はまだ守られる立場なんだから」

「そんな申し訳ないです。お世話になるのに何のお返しもできないから……」

「そんな事求めてないから大丈夫だよ。ささ、朝ごはん作ってくれたんでしょ? 冷めないうちに食べようよ」


 うつむく彼女を元気付けるように言葉をかけた。

すると彼女は目もとの涙を拭うと『はい!』と笑顔で返事してくれた。


 こうして僕、尾道啓太おのみち けいたと彼女――藤沢志乃ふじさわ しのとの奇妙な共同生活が始まったのだった。





 次の日僕は会社に行かなければならなかった。

念のため彼女にはスペアキーを渡し、色々と暮らす上で必要になるだろうと思ってお金を渡したんだけど、『この前頂いたお金がまだ残っています』と言われ断られてしまった。

それに彼女は大きめのバックに泊まりセットや衣服など必需品を詰めていたのか、昨日は僕と買い物に行った際に彼女だけ必要な物はあまりなかった。

むしろ食材を買い込んだ量の方が多かったほどだ。


 ともかく僕はその日彼女を家に残して憂鬱になりながらも会社に向かった。

会社では相変わらず必要最小限な会話だけで、ただただ作業に没頭していた。

そうしているうちに気が付くと終電の時間が近づいていたから、重い腰を上げて会社を出た。


 帰宅途中、明日やる作業のことを考えながらコンビニで弁当を買って、溜息を吐きながら家に向かった。

家に着き、鍵を開けているとこちらに向かってくる籠った足音が聞こえてきた。

ドアを開けると彼女――志乃が立っていた。


「おかえりなさい、啓太さん」

「ああ、うん、ただいま」


 なんだろう……久し振りに『ただいま』って言った気がする。


「ご飯作ったので温めますね、バックと荷物と、それから上着は私が置いてくるので啓太さんは手洗いうがいをお願いします」

「え? ああ、お願い」

「はい! ああっ! コンビニ弁当! 駄目ですよ体に悪いものが一杯入ってるんですから……って私が朝言わなかったのが悪いですね、ごめんなさい……」

「ごめん、つい習慣で……」

「今度から私がなるべく晩御飯は作るので、コンビニとかスーパーとかで弁当買わないでくださいね」

「わ、わかったよ」


 彼女の勢いに思わず頷いてしまったけど、毎晩なんて彼女の負担にならないだろうか?

取りあえず今日は作って貰ったし、ありがたく頂こう。


 僕は彼女に上着とカバンなどを預けると洗面台に向かった。


「なんだろ……なんかむずがゆいな」


 昨日会ったばかりなのに出迎えてもらえるなんて思わなかった。

しかも、『おかえりなさい』だなんて……まるで家族みたいだな。


 少し胸が温かくなるような気がしながら、藤沢さんが待つリビングに向かった。


「あ、お待ちしていましたよ。ささ、食べましょう!」

「ごめん、待たせたね」

「いえいえ、じゃあいただきます」

「いただきます」


 お互い手を合わせて食事へと手を伸ばした。


「今日は生姜焼きを作ったんです。啓太さん昨日なんだか疲れてる顔をしてたから、元気になって欲しくてスタミナがつく料理がいいかなと思って」

「そ、そう?」

「ええ、それとアサリのお吸い物に、ポテトサラダも作ってみました。お口に合うと良いんですけど……」


 不安そうな顔を浮かべる藤沢さんの視線に若干の食べづらさを感じながら生姜焼きに手をつけた。


「うん、美味しい」

「本当ですか? よかったぁ……私の勝手な味付けが啓太さんに合うか心配で」

「大丈夫、ちゃんと美味しいよ。アサリのお吸い物もしっかり出汁が出てるし、ポテトサラダも僕の好きなハムときゅうり入りだし」


 本当に美味しくて、珍しくもりもり食べてしまう。


「ふふっ、啓太さんが気に入ってくれてよかったです。あ、私啓太さんのこと知らないのいろいろ教えてください!」

「ぼ、僕のことかい?」

「はい! 好きな食べ物とか、誕生日とか、どんなお仕事してるのかとか」

「ええっとね――」


 僕は美味しい食事を食べながら彼女の質問に1つ1つ丁寧に答えていった。

彼女は僕のつたない話に一喜一憂してくれ、だんだん話しているうちに楽しくなって時間を忘れていた。


 いつもテレビを見ながらコンビニ弁当とかで済ませていた晩飯がこんなにも違うものになるとは思いもしなかった。

大して美味しくもない飯を食べてだるい体を引きづりながら風呂に入って寝る。

一昨日までは毎日のようにそうやって過ごしていた。

でも、今日は仕事終わりで疲れていたのに不思議と疲れは吹き飛んでいた。


「ごちそうさまでした」

「はい、おそまつさまでした」


 そうしてあっという間に晩飯を食べ終えると、彼女は自分の分の食器と僕の分の食器を運ぶと流し場で洗いものを始めようとした。


「あ、洗い物くらい僕が」

「いえ、大丈夫ですよ。啓太さんはお仕事でお疲れでしょうから、お風呂にでものんびり浸かってきて下さい」


 彼女は僕にタオルとバスタオルを渡すと、キッチンに戻って行った。


 風呂に入りながら一息つく。


 数日一緒にいて分かったけど、本当に彼女はよく出来た子だ。

礼儀正しいし、お金を派手に使うことなく節約上手。おまけに炊事・洗濯・掃除もどこに出しても恥ずかしくないないぐらいに完璧。

僕なんかには勿体ない程によくやってくれてる。


 いつかちゃんと彼女の事情を聞いて、僕に出来ることがあれば協力してあげたいな。

少なくとも今のまま僕のような人間のそばに置いていい訳がないしね…。


 溜息を吐きながら、僕は風呂場の天井を見上げながらこれからの事についてぼんやりと考えていた。

 




 ある日のこと。

会社で定義書通りに作ったプログラムが、依頼先の要望にそぐわなかったのか一からプログラムを作り直すこととなった。

上司は『君のミスではないから大丈夫だよ』と言ってくれたが、毎日夜遅くまで残って作ったプログラムが殆ど無意味になってしまったのと、もう少し定義書などを作成した人と綿密に打ち合わせすれば防げたのではないかと会社に申し訳ない気持で一杯だった。


 そんな事があってか、ここ最近は温かい料理と志乃ちゃん(そう呼ぶように言われた)が待っててくれるお陰で少し楽しみだった帰り道も暗い気持ちで今日のことを何度も反芻していた。


「ただいま……」

「おかえりなさいって、どうしたんですか!? どこか具合でも……」

「いや、具合は悪くないんだけど……ちょっとね……」

「ちょっとじゃないですよ! ほら、鞄と上着を貸して下さい。お着換えが無理そうなら私が手伝いますから」

「い、いやそこまでは! 大丈夫、1人でもできるから」

「本当ですか? 無理してませんか?」

「うん、ほんと。ただ今日ちょっと嫌な事があって落ち込んでいるだけだから」

「ならいいんですけど…」


 志乃ちゃんに上着を預けると、準備して志乃ちゃんが沸かしてくれた風呂に入った。

 やはりというか、いつもならさっぱりするはずの風呂上がりも何度も湯船で今日のことを考えていたせいか気持ちが晴れることはなかった。


「――それで帰りに八百屋さんに寄ったんですけど、おじさんがオマケしてくれて」

「そうなんだ、良かったね」

「ええ……」


 毎晩楽しいはずの志乃ちゃんとの夕食での会話もどこか上の空でつい生返事を繰り返してしまった。

それを志乃ちゃんも分かっているのか、会話がどんどん盛り下がってしまっているのを感じる。


「ごめんね、志乃ちゃん……今日はどうも気分が乗らなくて……」

「い、いえ大丈夫ですよ。誰にだってそういう時はありますし……何か今日あったんですか?」

「う、うん……それが――」


 今日あったことを手短に話す。


 志乃ちゃんは詰らないであろう僕の話を親身に聞いて、時々相槌も打ってくれた。


「まあ僕が重く考え過ぎなんだけどね……」

「そんなことないですよ、啓太さんがやさしいから自分のせいだって考えてしまうんです。でも……このままだと落ち込んだままですよね?」

「まあ寝れば少しはよくなるし、そのうち多分忘れるよ」


 志乃ちゃんは僕の返答が良くなかったのか『うーん……』と唸るようにしばらく考えると、何か思いついたのか僕の方に視線を向けてきた。


「そうです! 啓太さん」

「な、なにかな?」


 志乃ちゃんはリビングに置いてあるチェストからあるものを取り出して、そしてソファに腰かけた。


「こちらに。ささ、どうぞどうぞ」

「へ?」


 志乃ちゃんは自分の膝の上を軽く叩きながら僕を誘った。


「耳かきです」

「み、耳かき?」

「耳かきです♪ 遠慮しないで私のお膝にどうぞ」

「いや、なんで急に?」

「耳かきって癒されるそうですよ。クラスの子に聞きました」

「癒されるっていったって……」


 いやいや……こんなおじさんがうら若き女子高生のお膝に乗るってなんか、不味くないか? 如何わしいお店じゃあるまいし。


「私啓太さんが喜ぶことならなんでもしてあげたいんです。啓太さんには凄く凄くお世話になってますから」

「いや、でもそれは僕が勝手にしたことだから…」

「それでも……私は凄く助かってるんです。私の我儘で恩返ししたいんです、駄目……ですか?」


 上目づかいで志乃ちゃんは僕を見る。


 そんな目をされたら断りたくても無理がある。少なくとも女性経験がない僕には。


「はぁ……じゃあ失礼します」


 なんてダメな大人なんだろうと思いながら、志乃ちゃんのお膝に頭を乗せた。


 なんだろう……なんか安心するいい匂いがする。

世の女子高生ってみんなこうなんだろうか?

変な話なんだけど、なんか色々考えていたのが馬鹿に思えるぐらい頭が空っぽになって凄くリラックスする。


 それに頭に当たる膝が柔らかくて温かい。

こんないい枕がこの世にあったのかってぐらいの衝撃だった。


「ど、どうですか? 私の膝枕の具合は?」

「うん……凄く、凄くいいよ」

「ふふっ、良かったです」


 普段ならそんな気の抜けた言葉は言わないはずなのに疲れていたのか僕は思ったことを素直に言ってしまった。


「じゃあ、左耳からお掃除しますね……んーしょっと、カリカリ……耳垢さーん出てきて下さいね」


 志乃ちゃんは優しい声で語りかけるようにつぶやく。


「痛くないように……っと取れました。よーし、まだまだしますね」


 なんだか心地よくて寝そうだ。

志乃ちゃんの声に、膝枕に、体温に、匂いに。


「よし、大体取れましたね。最後にって……この耳かき梵天が付いてないんですね、それじゃあ……ふぅー、ふぅー」


 少しくすぐったいけど、心地いい。


「これで右耳は終わりましたね、次は左耳もやりますからお腹の方に顔を向けてください」

「はーい」

「うん、素直で眠そうな啓太さん、可愛いですね。じゃあこちらも同じようにしますね」


 そうして僕は左耳を同じようにしてもらい、その途中でつい彼女の膝枕で寝てしまった。


「はっ!?」


 ふと目を覚ますと、真上には僕の頭に手を置いて微笑む志乃ちゃんがいた。


「あっ、起きたんですね」

「う、うん……」


 どのくらい眠っていたのか、志乃ちゃんが痺れてるだろうと思って急いで膝から起き上がった。


「まだ眠たかったら寝ていいんですよ?」

「いや、志乃ちゃんに悪いから」

「そうですか? 私なら大丈夫ですよ。少しは元気になりましたか?」

「えっと……その、うん」

「ふふっ、良かったです」


 恥ずかしながら、あの落ち込んだ気持ちはどこへやら。

今はとても充実した気持ちで一杯だった。

それに少し寝たおかげか疲れも少し吹き飛んでいた。


「これからも疲れてたり、落ち込んだりしてたら教えて下さいね。私何でもしますから」

「それはでも志乃ちゃんに迷惑が……」

「耳かき、嫌でしたか?」

「それは……まぁ、嫌というか気持ち……良かったよ」

「ふふっ、じゃあまた今度させてくださいね?」


 こんなことまたして良いんだろうかと葛藤ながらも、僕は自然と頷いていた。


 



 仕事が大詰めの時期、僕は毎日ほとんど終電帰り、朝早くに会社へという生活を送っていた。


 そんな日が続いたせいか、日に日に精神的にも肉体的にも弱っていた。

仕事が一段落着く頃には、取りあえず寝たいという欲求しか湧いてこなかった。


「ただいま……」

「おかえりなさい、啓太さん」

「うん……」


 志乃ちゃんの出迎えも早々に風呂に入る事を告げて、僕はそさくさと風呂に入った。


 風呂に入りながら何度かそのまま落ちそうになるのを踏みとどまって、脱衣所に行きパジャマに着替えると歯を磨いていた。


「あれ? 啓太さんお風呂上られたんですね。その……晩御飯は?」


エプロン姿の志乃ちゃんが不思議そうな顔でこちらを覗きこんできた。


「あ、ごめんね……明日頂くよ。今日は本当に眠くて眠くて……」

「そうですか……じゃあ冷蔵庫にいれておきますね」

「うん、ありがとう」


 志乃ちゃんは残念そうな顔を少し見せて、僕の体調を気遣ってか申し訳なさそうにキッチンに向かっていった。


「悪いことしたな……」


 ごめんよ、志乃ちゃん。

明日から会社休みだから埋め合わせに君の行きたいところとか、欲しいものを買ってあげるから。


 心のなかで手を合わせると、僕は寝室に向かった。


 さて、寝るかと思って1分、10分、20分……1時間。


「ね、寝れない……」


 ものすごい眠かったはずなのに、なぜか目が冴えていまっている。


 これはあれかな?

眠すぎて逆に眠たくなくなったっていう事かな?


「はぁ……これなら志乃ちゃんの作ったご飯を食べるんだったな……」


 そういえば最近帰りが遅すぎて志乃ちゃんと一緒に晩御飯食べれてなかったな。

1度僕が遅く帰ってきたときに、わざわざ食べないで待っててくれたことがあったけど僕が心配するし、志乃ちゃんの学校生活や体調に悪いから止めるようお願いしたんだけど、あれは少し揉めたっけ。

最終的に志乃ちゃんの方が折れて止めてくれたけど、毎晩のお出迎えは結局寝る前にしてくれてるし、それが無理な時も晩御飯にメッセージ書いてくれるしで結局志乃ちゃんには本当に頭が上がらない。


 そうして最近の志乃ちゃんがしてくれた事を考えていると、僕の部屋のドアが開く音がした。


「お、お邪魔します……」


 ゆっくりと音を立てないように入ってきたのは志乃ちゃんだった。


「ん、どうかしたの?」

「わっ!? お、起きてたんですか?」


 閉じていた目を開いてみると、枕を抱えたパジャマ姿の志乃ちゃんがいた。


「うん、なんだか眠れなくてね……」

「そうだったんですか」

「ところで志乃ちゃんはどうかしたの? その枕を持ってこっちの部屋に来て」

「へ? ええっと……それは……こ、怖くて! 怖くて1人じゃ眠れなくなったんです!」

「ああ、そういう事ね」


 やけに焦ってたように見えたけど、怖い映画でも見て慌ててこっちに来たんだろう。

それなら枕を持ってるのも頷ける。


「それで……啓太さん、一緒に寝てもいいですか……?」

「一緒にって……僕も一応男だよ? 女子高生がこんな男と一緒に寝ちゃ駄目だよ」

「そんなことないです、少なくとも私は一緒に寝ても心配しないですから。それに啓太さんは怖がって眠れない女の子をそのまま返しちゃう人なんですか?」

「それは……」


 それを言うのは卑怯だよ……絶対勝てない。


「はぁ…負けたよ」

「はい♪」


 僕は奥側にずれて志乃ちゃんが寝るためのスペースを作った。


「じゃあ、その……お邪魔します」


 志乃ちゃんが恐る恐るといった様子で入ってくる。


 彼女の髪からいい匂いがする。

使ってるシャンプーが違うとこんなに良い匂いがするのか。


「ベットの中温かいですね、それに啓太さんの匂いもします」

「そ、そりゃ、いつも寝てるし隣に居るからね……」


 なんだかいつも1人で寝てるから緊張する。

鼻息とかうるさくないかな? 


「啓太さん、その……腕に抱きついてもいいですか?」

「へ?」

「あの……私まだ怖くて……」

「ええっと……うん、どうぞ」


 駄目だ、彼女の不安そうな顔を見たら断る選択肢なんてどっかに吹っ飛んでしまう。


「失礼します……」


 柔らかい腕の感触と共に、年相応に育っていらっしゃる2つの果実も腕に当たる。

もはや寝るどころの話じゃない、脳内の悪魔と息子を落ち着けることに精一杯だ。


「啓太さん」

「は、はい?」


 突然志乃ちゃんから話しかけられて声が裏返る。


「久し振りですね、こうして一緒にいて会話するのも」

「そ、そうだね……うん、最近忙しかったから」

「私……寂しかったです」

「え……?」


 自分と戦いながら天井に向けていた視線を志乃ちゃんへと向ける。

志乃ちゃんは涙を浮かべて、僕の方を見ていた。


「忙しいことは分かってるんです、それに凄く疲れていることも……。それでも一緒に暮らしているのに毎日ちょっとしか会えないですし、会話もほとんどありませんでした……」

「志乃ちゃん……」


 僕の腕を組む力が少し強くなる。


 そういえば志乃ちゃんは家族が……。

僕はなんて馬鹿なんだろう……志乃ちゃんの優しさに甘えて志乃ちゃんの気持ちを全然考えていなかった。

志乃ちゃんは多分だけど独りだ。まだ10代の女の子なのに……。

そんな女の子が鞄一つ抱えて、自分を投げ打ってでも頼っているのが僕だ。

こんな僕しか頼る人がいないぐらい、志乃ちゃんは弱い立場だし、僕には想像もできないぐらいの不安や寂しい思いを押し殺しながらも毎日笑顔で僕に接してくれている。

その笑顔に僕は何度も助けられてきた。

仕事で疲れている日も、何か落ち込むようなことがあった日も、そしてあの自殺を考えた日も。

あの笑顔があったからこそ、今日もこうして僕は毎日生活できているんだ。

そんな笑顔をくれる志乃ちゃんを泣かせるなんて……僕は……僕は!!


「志乃ちゃん!!」

「ぐすっ……えっ……はふっ」


 涙を流す志乃ちゃんの体を抱きしめる。

愛しさと、申し訳ない気持ちとごっちゃ混ぜになりながら、頭で考えるよりも先に体が動いていた。


「ごめん……ごめんよ、志乃ちゃん……本当にごめん……」

「啓太……さん?」

「僕は馬鹿だ、大馬鹿ものなんだ。こんなにも志乃ちゃんが悲しんでいたのに、気づくことができなかったなんて……」

「そんな……啓太さんは馬鹿なんかじゃないです、これは……ただの私の我儘なんです……」

「いや、違うよ志乃ちゃん。我儘なんかじゃないよ、志乃ちゃんは僕にもっと頼っていいし、甘えていいんだ」

「え…?」

「志乃ちゃんには毎日本当に感謝してるんだよ。炊事に洗濯、それに掃除。毎日朝は見送ってくれるし、仕事から帰ってくる時も何時だろうと君はご飯を用意して出迎えてくれる。それがどんなに僕を救ってくれたことか……」

「そんな……感謝なんて。私はただ啓太さんに恩返しがしたくて……」

「志乃ちゃん、ありがとう。本当にありがとう。君がいてくれて良かった……」

「啓太さん……」


 志乃ちゃんは顔を隠すように僕の胸に顔をうずめた。


「少しだけ……少しだけこうして泣いててもいいですか?」

「うん、いいよ」

「それと、ぎゅって私を抱きしめて欲しいです」

「うん」

「それと……頭を撫でてくれると嬉しいです……」

「了解」


 そうして志乃ちゃんの泣いている声を聞きながら、僕はいつもありがとうという気持ちを込めて、志乃ちゃんが泣き止むまで優しく撫で続けた。


「すみません……パジャマ汚してしまって……」

「まあ大丈夫だよ、明日洗濯すればいいし」


 しばらくして、志乃ちゃんは目元を赤く腫らしながら恥ずかしそうに顔を上げた。


「ふぁ~あ、なんだか、安心したら眠くなってきたよ」

「あ、啓太さん、そう言えばお疲れでしたね、すみません……」

「いやいや、気にしないで。さっきまで全然眠くなかったし。それに志乃ちゃんとこうして一緒に寝れてるしね」

「あっ」


 今さらながらこうして抱き合って寝ているのが恥ずかしいのか、顔を赤らめる志乃ちゃん。


「あの……すみません、今日はこうして眠ってもいいですか?」

「うん、志乃ちゃんがそうしたいなら。ふぁ……ただもう眠いから話……相手には……」

「はい、ありがとうございます啓太さん。じゃあ気持ち良く眠れるように……えいっ」


 志乃ちゃんは抱き合った体勢から少し上にずれると僕の頭を胸の方で抱えながら、後頭部を優しく撫で始めた。


「ねぇ~むれ~、ね~むれ~、母の胸に~」


 優しい鼓動に、きれいな歌が聞こえてくる。

それに包まれているみたいに温かい……。


 そうして僕は志乃ちゃんに包まれるように眠りについたのだった。





 僕らが一緒に暮らしてしばらく経ったある日。


 志乃ちゃんが進路相談の紙を僕の元に持ってきた。

ついにこの日が来たかと思って、僕は重い腰を上げてリビングへと向かった。


「あの、私大学に行きたいと思います」

「そっか……うん、そうだよね」


 志乃ちゃんも高校3年生。

いつかこういう日が来るだろうと覚悟していたけど、もう少しでこの奇妙な共同生活も終わりなのか……。


 始まりはとても変というかあり得ない出会いだった。

でも生活していく中で、志乃ちゃんはとてもいい子なんだって分かったし、志乃ちゃんには感謝してもしきれないほど助けてもらった。


 本音を言えばこの生活がいつまでも続いてほしいと思っている。

けど、それじゃ駄目なんだ。

志乃ちゃんみたいな良い子が、こんな男といつまでも一緒にいていい訳がないんだ。

彼女には幸せになる権利がある。

結局どうして家族がいないのかとか、親戚や先生には相談したのかとか、彼女の事情は聴いていない。

だけど、僕は志乃ちゃんが幸せになれるならどんな手伝いでもするつもりだ。

たとえそれが志乃ちゃんと別れるようなことになっても……。

 

「えっと…志望してる大学は○○大学と××大学か」


どちらも県内の大学でこの家から電車やバスで通える距離にある。


「志乃ちゃんは本当にこの大学でいいの? 行きたいなら県外とかの大学でも良いんだよ。この前君の成績表を見せてもらったけど、あの成績ならもっといい大学も行けると思うけど……」

「良いんです、この大学ならここからでも通えますし」

「お金の心配をしてるのかな? それなら心配いらないよ、こう見えても僕そこそこ稼いでるし、貯金だって多い方だと思うし」


 忙しいのと、お金を使う用事があまりないから貯まる一方ってだけなんだけどね……。


「それもありますけど、私……啓太さんと離れるなんて嫌です」

「え?」


 なにかを決意したようにまっすぐ僕を見つめてくる。


「あの……啓太さん、私ずっと啓太さんと一緒にいたいです。毎日おはようって言い合って、一緒に朝食食べて、お見送りして、家事しながら啓太さんの為に今日の晩御飯何がいいかなーって考えて、疲れて帰ってきた啓太さんを出迎えて、一緒に晩御飯を食べて、一緒に眠って。わたし……そんな毎日をあなたと送りたいです……」

「志乃ちゃん……」


 これは鈍い僕でも分かる、告白だ。それも恐らく結婚を前提とした。


 志乃ちゃんが僕を好いてくれたことは素直に嬉しい。

でも、それは本当に僕のことを好きで言ってくれている言葉なんだろうか。


 もしかしたら経済的に支えてもらうために言ってるだけなんじゃないのか? 

一緒に生活をしたから多少の情が移ってしまっただけなんじゃないか?

縋る人が今僕しかいないから依存しているだけなんじゃないか?

僕に嫌われたらお金の援助が止まってしまうから言ってるんじゃないか?



 なんて僕の中のどこか捻くれた自分が顔を出した。


 もちろんそんな娘じゃないことは分かってる。

でも、もし志乃ちゃんが何らかの理由で本心を言えていないなら、それが僕であるなら……。


「志乃ちゃん」

「は、はい!」


 どこか頬を染めて緊張した面持ちで僕を見つめ返す。


「告白……嬉しかった、ありがとう。でも……」

「で、でも……?」

「もし……僕から嫌われたらお金の支援が無くなるって考えているなら、気に……しなくていいんだよ」

「え?」

「志乃ちゃんには幸せになって欲しいんだ。こんなどうしようない僕を、自殺しようと考えた僕を君は何度も救ってくれたんだ」

「啓太……さん?」

「君の作る温かい食事が、君との会話が、君との生活が、そして君の笑顔が……僕を救ってくれたんだ」

「それは…」


 溢れそうになる涙を堪えながら、志乃ちゃんを見つめながら話す。

正直胸がいっぱいでどうにかなりそうだ。


「それだけでね……僕は十分なんだよ、志乃ちゃん。だから君がもう責任を感じることなんて何もないんだよ? 君は……君自身の幸せのために生きていいんだよ。こんな僕のために人生を無駄にしちゃ駄目だよ……」


 とうとう涙をこらえきれなくった僕は彼女から目をそらし俯いた。


 でも、これで伝えたいことは言えた。


 言わないという選択も出来たのかもしれない。言わずに志乃ちゃんの立場や優しさに甘えることだって。

でも、志乃ちゃんの事を考えるとどうしても出来なかった……。


 僕が泣きながらうつむいていると柔らかな感触が僕の頭を包みこんだ。


「啓太さん、啓太さんも幸せになっていいんですよ」

「え……?」


 見上げるとそこには目に涙を溜めながら微笑む志乃ちゃんの顔がすぐ近くにあった。


「私も……私も啓太さんに救われたんですよ? お父さんもお母さんも、親戚も知り合いもいなくて……まるで世界中でひとりぼっちになった私なんて、どうにでもなれって思っていたんです。だからあの日、夜の街で自分を売ろうと考えていたんです」

「そんな……」

「でも……あなたがいたから、啓太さんに会えたから、私は今の私でいれるんです。ボロボロだった私の心を救ってくれたのは啓太さんなんですよ? どこの誰とも知れない私を事情を聞かないで受け入れてくれて、私が高校生として十分に生活できるように親の代わりになってもらいましたし、啓太さんはどれだけ忙しくても疲れていても私に気を使ってくれますし、たまにしてしまう私の我儘も受け入れてくれますし、私が熱を出した時も仕事を休んでまで看病してくれたり、私の誕生日には忘れずケーキを買ってきてくれたり、そんな啓太さんの優しさに私は何度も救われたんですよ?」

「志乃ちゃん……」


 涙を流しながら話す志乃ちゃんの僕の頭を包む力が少し強まる。


「だから……自分を捨てないでください。私が、藤沢志乃が心から大好きな啓太さんをこれ以上責めないで下さい。啓太さんはとっても素敵な人なんですから」

「志乃……ちゃん」


 志乃ちゃんの言葉にまた止まっていた涙があふれてきた。


 僕は……僕はちゃんと誰かに必要とされていたんだ。

誰かを……志乃ちゃんを幸せにできていたんだ。


「ありがとう……志乃ちゃん。本当に、ありがとう……」


 志乃ちゃんの腰に腕を回して抱きしめる。


「志乃ちゃん……こんな僕でいいのなら、必要としてくれるなら、その……僕と恋人になってくれませんか?」


 志乃ちゃんは一瞬驚いた顔をすると、涙を浮かべながらいつもの笑顔で、


「はい、喜んで!」


 そう、返事をしてくれたのだった。



どうも守月かみづきです。

『癒し嫁 ~人生絶望してたら女子高生のお嫁さんができました~』いかがだったでしょうか?


最後に世間様に私の小説を投稿してから実に4年振りに執筆した小説になります。

様々な要因で書くことが出来なっていた、または辞めていましたが、なんとか再び筆を手に取ることができました。


そんな久し振りに書いた小説ですが、書く原動力となったのは、近年の癒すことを目的とした同人サークル様が作る、癒し音声です。

たまに疲れた日や、眠れない日に聞いていて、「こんな彼女、お嫁さんがいてくれたらいいなぁ……」と思うことが多々あります ←気持ち悪いですね、すみません(笑


ですが、こと小説で読者を癒す、気持ちを落ち着ける目的の作品が溢れ返っているかといわれれば意外とないのが私の印象です。


また、登場人物として基本的に優しくて、いい女の子はあまり書かれないことが多く感じています。

これは、作品を面白くさせるために一癖、二癖もある女の子を出すのは分かるのですが、どこか奇抜さ、他にない所、意外性を出すことばかりが重視されしまって、『普通にいいよね』という要素が欠けてきているように思います。


そこで私はこの作品を通して、普通にいい女の子、なにか特別な出来事は少ないけど日常生活で実現できればいい事、そして読んで癒されればという思いを作品に盛り込んで執筆しました。


私の腕では以上の事を伝えきれたか怪しいところですが、皆様の心の隅にでもとどまれれば幸いです。


さて、長々と自分の考えを伝えましたが、この作品を読んで頂きありがとうございました。

また機会があればよろしくお願いします。


ご意見、ご感想などお待ちしております。(作者の執筆活動の励みになります


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