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特殊能力は役立つかわからない!  作者: 白詰 束音(南野 涼夏)
第1章『触れたものの力を奪う』能力
2/4

チートスキルで王様が……

主人公の名称未定です(←駄目すぎる)

Day0


「……という訳で、君には異世界へ行ってもらいたい」

「はぁ……」

「まぁその世界を君に変えてほしいのだよ」

目の前の人物……人物じゃないか。神様がそんなことをおっしゃる。どういう訳かは長ーくなりそうだから省略。

「それで、俺は何をすれば?」

神様にこのくらいは聞いておかねば。

「君は向こうの世界で普通に生活すれば良い。また、一年くらいなら豪遊さえしなければマトモに生活できるくらいのお金は準備しよう」

「向こうの世界と、元いた世界との違いとしては?」

「そうだな、魔物がいるとか、文明レベルがこちらより低いとか、魔法があるとかそんなものかな」

「お金は準備して頂けるそうですが、向こうに行ってすぐ魔物から殺されるとか嫌ですよ?」

「私たちから君にはひとつ、特殊な力を授けるとしよう。なにか希望はあるかね?」

俺は重度のライトノベル読者だ。そしてこういうチートでの俺TUEEEE系もかなり読んでいる。

だから、欲しい能力は沢山ある。だが、ひとつだけ。ならば、俺が最も憧れた「倒した敵の能力を得る」スキルを――いや、その主人公を越える能力を、俺はお願いすることにした。

「『触れたものの力を奪う能力』を、俺に下さい!」

こうして、俺の異世界無双物語は、幕を開けようとしていた。



Day1


「ここが異世界なのか……」

俺は小高い丘に生えた木の木陰にいた。目を凝らすと遠くに町が見えた。

「とりあえず町を目指すか」

そう独り言を呟いて俺は町に向けて歩き始めた。

風が心地……良くない。というか、風を感じない。街道沿いの草はこうも揺れているのだが……

まぁ物凄いそよ風で感じられないだけかもしれない。そう考え、俺は歩き続ける。

俺の異世界転移を世界が祝福するかの如く太陽が輝いて……ない。

まぁ異世界だからな。光が弱いのかもしれない。

暫く歩いて森に入ると、そこには謎生命体と高そうな馬車、そして剣で武装した人々と、震えている少女がいた。

……まさか、魔物に襲われている⁉

そう思った時には、俺は駆け出していた。武器なんかはない。それでも、僕にはチートスキルがある。

俺はその魔物に接近して、「力を奪ってやる!」と強く思って触れた。すると、その魔物は触れて少しすると、その場に倒れた。

「あんたら、大丈夫か⁉」

俺の言葉に

「まずい状況だった。助太刀感謝する!」

という言葉が帰ってきた。

俺はその言葉を聞き、次の魔物に触れる。

そして次、また次……と触れていった。


気がつくと周り全ての魔物が倒れていた。

あれ?なんか俺が思ってた能力と少し違わない?いや、こっちみたいに「触れただけで敵を倒せる」のはありがたいけど。

「この度は助けて頂き、ありがとうございました」

少女が俺にお礼を述べる。

「いえ、たまたま通りかかっただけですから」

「お礼に何かしたいのですが……」

「では、あの町まで馬車に乗せて頂けないでしょうか?」

「それは構いません。むしろそんなことで良かったのですか? 私が誰だかご存じなら、もっとお金とかを頼めるのに……」

すみません。知らないです。

「すみません……この辺りに来たのが初めてなもので」

「一体どこからいらっしゃったのですか?」

「異世界です」と答えるわけにもいかないので、

「物凄く遠いところからです」

と答えておいた。

「そうですか。あと、先程魔物をどのように倒していたのですか?」

「チートスキルです」と答えるわけにもいかないので、

「あれは僕が独自に生み出した魔法です。僕くらいしか使えませんが」

と適当に流す。こっちにも魔法はあるし、どうにかなるだろ。

「そうですか……」

そう言って、彼女は俺を見つめてきた。……あの、なんでしょう。

「あなた、宮廷魔導師になるつもりはありませんか?」

宮廷魔導師って王様に仕えるすごい魔法使いのこと?

「でも宮廷魔導師って言っても、王族とかが認めないと……」

……あれっ? まさか?

「もしかして……」

「私はこの国で姫をやらせて頂いています」

やっぱり。

異世界転移して最初に会ったのが姫様一向ってマジか。

こうして俺の異世界無双物語は、物凄い追い風でスタートした。

……さっきからそよ風すら肌に感じてないけどな!



Day2


その後馬車に乗せてもらい、町の中で最も豪華な建物、つまりは城に着いた。

そしてそこの客室で1日お世話になった。

翌日。つまり今日。異世界2日目にして国のトップである王様への謁見をすることとなった。もしかして俺、俺TUEEEE最強の主人公じゃね?

そして、謁見の間で。

「そなたか。話は娘から聞いておる。そこで、お主を宮廷魔導師として招き入れたいと考えているのだが、どうだね? 無論、無理にとは言わぬ」

「その役職、有り難く承らせて頂きます」

「そうか、それは良かった」

王様が玉座から立ち、こちらに歩いてくる。

「これからよろしく頼むぞ」

王様が手を差し出してくる。

「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

そう言って、差し出された手に『触れた』。

王様は糸が切れた操り人形のようにその場に倒れた。

「「「「「王様!」」」」」

「お父様!」

その場にいた人の声がユニゾン……姫君だけ違ったが、内容は同じだ。

王様の近衛兵のような人が近づいて王様に触れる。

「貴様! 貴様を国家反逆罪、国家転覆罪、国王殺害などの容疑で拘束する!」

マジで? それやばくね?

「覚悟しろ!」

ガントレットを嵌めた人が殴っかかってきた。僕元から引きこもり体質だったんだからそんな速いの避けれないし当たったら耐えられないよ⁉

僕は目を閉じた。あぁ、短かったな、僕の異世界物語。まさか2日目に終わるとは。異世界転移物のストーリー最短じゃね? これ。

僕はその痛みを待った。だが、その痛みより前に

「貴様、何をした!」

と聞こえた。

見ると、殴りかかってきた人が王様同様に倒れていた。……大切なことなのでもう一度言おう。倒れていた。

まさか、これチートスキル⁉ もしかして常時発動なの⁉

マジか。これ、触れた相手死んじゃうじゃん。

「喰らえ!」

今度は男が斬りかかってきた。あ、今度こそ死んだわ。

だが、その刃が俺に食い込む……どころか傷つけることというか、当たってる感覚すら無かった。あれ? これどゆこと?

現在考え中――――――――――――――。

まさか⁉ いや、絶対その可能性しかないけど!

俺のチートスキルは『触れた「もの」の<力>を奪う能力』だ。つまり、触れた者でも触れた物でもなくものなのだ。

「剣」の『ものを斬る』能<力>を奪って、他にも運動エネルギーとかの、物理的に<力>に分類されるものも奪っているのか……

今さらだけど俺TUEEEE……

「何故斬れない!」

「さぁな」

と返しておく。確証はないし。

てか、もうここから逃げよう。

俺は斬りかかってきたやつに触れる。するとそいつも倒れた。

もう王様とか殺しちゃってるし何人死んじゃっても変わんないよね!

そう開きなおって、俺はその場から逃げた。

それから15分経つかどうかで、俺は指名手配された。

異世界転移して2日目にして大犯罪者かぁ……

マジで俺の異世界生活はヒドイ。

あと2~3話ほどこの話が続きます。

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