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デモンズ・スミス-魔王の刀鍛治-  作者: ウッチーG
第2章─究極魔刀編 ─
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第四十五話 クラスアップ!?


「そうだ! デルフよ!!死ぬ覚悟はあるか?」


 光明をみたと言わんばかりのしたり顔で、とんでもないことを言うガルディオン。


「はぁ、しぬとは……どういうことでしょう?」


 魔王の言葉に不意を突かれたデルフはキョトンとした顔で、思わず聞き返す。


「聞いてどうする? まっ、覚悟が無かろうが関係無い!わかるなデルフよ!!」


 一瞬、えっ何で聞いたの?わかるなって何を、っと言いかけたが魔王が、すぐに始めた行動に目を奪われる。

 

 直ぐ横にある小さな円テーブルの上に置いてある果実酒が入ったグラスを持ち、その中身を全て床へとぶちまける。 すると、デルフに近づき転がした左腕を拾い上げ、円テーブルに戻り置かれたグラスに丁寧に血を注ぎ込んだ。


「飲め!」


 っと言い、何の説明をする事無くガルディオンは紫色の血が入ったグラスをデルフに突き出し無理やり持たせる。


「ううっ……」


 少量の血だが魔王の魔素はとても濃く、デルフはグラスを持っただけでも体調が悪くなり嗚咽る。


「早く飲め!殺されたいのか!!!」


 グラスを持ったまま硬直し、嗚咽りフラフラしているデルフに魔王は痺れを切らして怒鳴る。


「はっ! はい!」


 その怒鳴り声に一瞬ふっと、正気に戻ったデルフはカッーと目を見開きグラスの中の血を一滴残らず飲み干した。


「うっぐ、がぁっはあ!うっ、うぁあああ」


 それは数秒、デルフは悶え苦しみその先で倒れたまま動きを止めた。


「デルフ!? 糞がぁ!!何も起こらないだとぉおおお!しくじったか、まずい!まずいぞ!!劣化(クラスダウン)する前に早くニーズ━━━━」


 ガルディオンはデルフが倒れ込んだまま動かない姿を見て、さっきまでの希望に満ち溢れた自信満々の態度は何処へやら、きょどきょどと慌てふためく。


 そんな中、デルフの方でボフッという音が突然鳴り、音の方へ目を向けたガルディオン、そこには黒い煙に巻かれたデルフの姿があった、煙はどんどんデルフを包み覆い隠して行く。


「これは!もしや!!!」


 煙の中からはデルフの呻く声が聞こえて来る。 数分間その状態が続き!デルフから溢れ出し包み込んだ黒い煙の中から現れたのは、170cmくらいの青年、その肌は黒い鱗に包まれ、何より捻れ曲がった立派な角を生やしている。


「ハァ!成功だ!!その姿は『デアデビル』か?命知らずとは、まさにデルフお前にピッタリの種に成ったではないか♪ 何よりその角……(まが)ったな!クッハッハッハー!」


 ━━━━━悪魔の角が曲がっていることを禍々しいと言う意味合いも込め(まが)つと言い、悪魔の中では角が捻れ曲がるほどにその者が持つ魔素の強大さを表すとされている。━━━━━


「ふっうーふっうー、これは……いった、い」


 突然の苦しみから解放された虚脱感で放心状態のデルフはボッーと辺りを見渡しただけで、未だ自身の変化に気が付いていない。


吸血鬼(ヴァンパイア)達は自らの魔素を相手に流し入れ眷属を造る、これれは、いわば他属種を吸血鬼(ヴァンパイア)へと進化(クラスアップ)させていると言えるだろう。 で、あるならば同じ悪魔種である吸血鬼に出来て、この魔王である俺に出来無い筈が無いと考えたのだ!」 


 内心、究極魔刀への道が途絶え、自身だけの武器がもう二度と手に入れることが出来なくなるのではないかと焦っていたが、安堵して饒舌に喋り出す。


「クラス……アップ?」デルフは未だに放心状態が続く。


「まっ、俺の血を飲んだんだ!二段階の進化(クラスアップ)に成功するのは当たり前として、男型であるからサキュバスは無いと思ってはいたが、そうかデアデビルか! デアデビルなら腕力もオーガに並んで強い申し分無いだろうハッハハハー、さあ!俺の素材を拾い集め直ぐに究極の魔刀を作るがよい!!」


 ガルディオンはこれまでに無いテンションの高さで、デルフの状態を語る。 一方の本人(デルフ)はその言葉が耳に入っているのかもわからない。


 この状況をこの場にいないながらに感じ取った者が一人、すかさず謁見の間(ヒルデガルデ)に飛び込んで来た。


「魔王様!この魔素は一体なんで、すか?」 


「ベリルか!遺憾━━━」


 飛び込んで来た者、そうそれは優れた探知スキルを持つベリル、彼の眼には視たことの無い悪魔の姿が映る。


「何者だお前は!!この魔素量…デーモンいや、あの姿はデアデビルか!? 貴様何処から入って来た!」


 敵意は無いことは加護(スキル)により判断出来るが、ベリルは剣を抜きデルフへと警戒を向ける。


「待て!そいつは━━」


 ベリルに魔王が言葉を発した瞬間、ベリルの視線が腕がとれ、眼から血を流し、翼は傷だらけになった無惨な魔王へ向けられた。


「き、貴様かぁああああああ」


 ベリルは未だかつて無い憤慨の念に駆られ、赫灼の熱剣(フランベルジュ)を赤々と燃ゆらせ、デルフに向かって怒涛勢いで斬り込む。


「くっ、ダメージが、斬戟(アレ)を今受けるのは不味い、非常に不味い!!()せぇーデルフゥウウウ!!!」


 しかし、ガルディオンの叫びも既に遅く、ベリルの熱剣はデルフを捉えていた。


さあ、ベリルに刃を向けられたデルフ運命は如何に\(^^)/ 

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