第三十八話 狂乱と相談
ちょっと、修正と、祝!何と10万文字越えてました( ☆∀☆)
「よくも、ボクにこの様な事をしてくれたな!!糞がぁ、魔素中毒症だと! 貴様らが馬鹿で良かった!ボクとゴーレムを一緒にしてくれる何てね、フッ、フッハハハァー貴様ら全員道連れにして殺るよ!!」
アダマンタイトのゴーレムの横にいたのは、素材として運ばれたリフだった。 彼の体には既に魔素中毒症の症状である黒い斑点がうっすら出始めていた。
「貴様ら魔族何て大っ嫌いだぁ!消し炭にしてやる、殺れ、ゴライアス!火属性上位魔法 『拡散する爆撃弾』だぁ~!!」
ゴーレムの右手に収縮した魔素は、放出されると共に拡散し、オーガ達を襲う!
「何て強力な範囲魔法だ! 大丈夫か!お前達!!」
デルフを抱え回避したオカシラは皆の安否を確認する。 かろうじて、オーガ達は生きているようだが酷い火傷を負って動く事が出来無い。
「フッフハハハァー!どうだ!ボクのスペシャルな魔導機兵ゴライアスの力は!! こいつの核には上位巨人族が使われている! そいつの加護は【拡散】は全ての魔法を拡散させる対群用殲滅兵器だ!! 此処が暗黒大陸であることで威力も増大している! それ!もう一発行くぞぉお!」
今、動けるのはオカシラとデルフのみ、オーガ達の呻き声がこだまする中、次の攻撃が放たれる。
しかし、デルフ達に直撃するかの様に思われた炎弾は、鋭く光る雷撃が落ちると共に全て相殺させる。
「魔王の刀鍛冶に用事があって来てみれば、人間が玩具で遊んでいるではないか? 玩具は壊れていると思い、吾がインデルバルの街門から持ち運んだ物、バラバラに解体するべきだった失態だ……まだ間に合うか?」
「あなたは!?ライオット様!!」デルフが叫ぶ。
「今のを全て掻き消しただとぉ~、強そうなの獣人が一匹増えたところで殺る事は変わら━━━!?」
リフの眼前からライオットの姿が消えると、ゴライアスの腹に三本の右腕から繰り出されたストレートパンチが当たり、リフの横をゴライアスが掠め、グワ~ンっと鈍い音を立てながらふっ飛んで城壁にぶつかり止まる。
「千獣王拳、『咆哮の響拳』」
自分の横を掠めてゴライアスが飛んで来た事に一瞬、戸惑ったリフだったが、すぐさま目に青筋を立て怒鳴る。
「何をしているゴライアス!!ボクはまだ寝ていいとは言っていないぞ!『魔量変動』の加護を最高まで引き上げろ! 殺れ、最大火力の『拡散する爆撃弾』だ!! 」
鬼人族の【剛腕】と同様、【魔量変動】それは、巨人族が持つ種族加護、一見大柄でパワータイプに見える巨人族だが、生まれ持った自身の魔素量を段階的に引き上げる能力を持つ加護の為か、ほとんどの者が強力な魔法を行使する魔法使いが多い。
ゴライアスは城壁から這い上がり、全身から湯気を出して両腕をライオットの方へ向ける。
「硬いな……今ので動けるとは兵器としては上等だ! 上位巨人族だったか? その程度の魔力で上位を語るなど愚かな。 大方、盗賊かゴロツキだろう。 中身がタイランドの巨神兵団だったらもう少しまとも闘いが出来たかもしれぬな!」
「黙れ!獣人が人殺し共!!タリタアーリアの人魔大戦では一万を超える人間が死に、今回のグランゼールにインデルバルを含めれば間違い無く10万人を軽く超える人間が死んでいるのだ! 何がまともだ!ふざけるな!!」
「愚かな……魔獣ユニオンリンクスの密猟に、それに激怒した鳥人族との戦争による大量虐殺、先に手を出しておいて自らが殺れぬという道理が何処にあるのか? まあいい、雷属性上位魔法『熾烈を極める雷公』」
ゴライアスのよって撒き散らされた全てを炎弾を、蒼電の閃光が一瞬で掻き消していく。 そして、その雷はゴライアスを貫き、ゴライアスは動きを止めた。 ブシューと音がなったかと思うと、ゴライアス外装が剥がれ中身が地面に崩れ落ちた。
「此処に巨人族の者が居なくて良かったな……何と哀れな姿だ。」
ライオットが呟くと、リフは呆然とゴーレムの姿をみながら、ディーパーの進行により苦しみ出して気を失った。
「勝った……。」デルフとオカシラの言葉が揃う。
「魔王の刀鍛冶よ! 話がある!!お前達、鬼人族は向こうの離れで傷でも治していろ!」
* * * *
ライオットは何事もなかったかの様に工房に入ると、ずっと左手に持っていた漆黒檀というオーバーケイルに生える木の防腐性に優れた黒い葉っぱに包んだ小包をデルフに渡した。
「これは何ですか?」
「干しスライムだ。 吾ら獣人はその様なモノは食さぬが、悪魔は珍味と言い好んでスライムを食べると聞いたので土産に持って来た。」
「干しスライム!? ありがとうございます! ……えっ、でも、これはボクが食べても宜しいのですか?」
デルフは小包を手に喜んだが、今までの経験上で自分にプレゼント等、与えてくれる人はいなかったので自分へのプレゼントでは無いと思い直す。
「ああ、貴殿に持ってきたのだ魔王の刀鍛冶。 乾燥させたスライムなら、貴殿の小さな喉でも、詰まらせ劣化する事もなかろう?」
ある悪魔が生のスライムを食べた際、喉に詰まらせ劣化したと言う話は良い笑い話として皆が知っている。
「ほっ、本当ですか!加工食品何て高価な物をありがとうございます! それでは、ボクはヴァンパイアロード様の魔武器を造る為に先程の人間の加護を鑑定紙で調べてから、魂塊の精製と、やる事が山積みなので失礼します。」
「おっ、おい!? ガルゥ、馬鹿者!!」
急に怒鳴られてデルフはビビって縮こまる。
「あっ、いや、怒鳴って済まぬ……吾が貴殿に土産を持って来る為だけで、ここを訪れる筈なかろう! 話は終わっておらん。」
「何か他に?」
「当たり前だ! その為に来た…………吾の武器を作ってはくれぬか?」
1、2分の沈黙の後、ライオットはボソッと呟いた。
「えっ、ライオット様に武器を?」
「何度も言わせるな!察しろ!吾にも面子がある。 吾の部下には武器など要らぬと教えて来たその吾が武器を使うなど……魔王が振るった貴殿の魔刀を見て、昔バッカスから言われた事を思い出した。」
『お前の攻撃は一見、その手数の多さと素早い身のこなしで、避けようの無いまさに攻撃こそ最大の防御を実現しているかの様に見えるが、俺のからすればお前の性格同様に直線的な読み安い攻撃の連打でしか無い。 後、俺には無理だがお前のパワーを超える者がいれば、お前の壁は脆く崩れ去るだろうな!』
「奴の言う通り吾の攻撃は完全なモノでは無い、実際バッカスには四十四手の奥義を全て避けられた……そして、インデルバルで吸血卿の殺意に当てられた時、分かったのだ、吾は弱いと……頼む、武器には見えない敵を翻弄する事が出来る武器を作ってくれ!!」
「武器には見えない敵を翻弄する武器?…………ライオット様の武器は拳…………爪いやソレだと武器になる……ナックル、フィスト、そうだ!ガントレットならどうでしょう? ガントレットなら部下の方々も武器では無く防具と思われることでしょう! あとは翻弄する、敵を惑わす様な力を上手く乗せることが出来れば、闘い方を変えずに武器を使うこと可能かと。 あっ!あと、魔王の刀鍛冶と呼ぶのは止めて貰えませんか?」
「おお!ガントレット!そうか防具を武器として、なるほどそれでそれは━━━━」
「ねぇ、中々面白い話をしているじゃあない?」
「誰だ!!まさか、いつの間に!?」
デルフとライオットが振り返ると、そこに腰掛けていたのは最上位吸血鬼だった。
「ネズミに巣を追われ密林に逃げ込んだボス猫が、手土産を貢いで私を差し置いて抜け駆けするつもり?」
「なっ何故それを魔獣ラタトスクは吾ら獣人の天敵!決して逃げてはおらん、いや、もういい吾はこれで失礼する。」
ライオットは額から汗を流し、バツが悪くなったのか工房を出て行った。
「っで、デモンズ・スミス楽しそうにボス猫と話をしていたけど、私の武器は出来たのかしら?」
最上位吸血鬼と吸血卿のそのキャラの捉え方で漢字の部分を変えることがあります。
天魔卿でアークデーモンとか。




