第三十七話 魔武器作成と悪足掻き
「お帰りなさい!デルフの旦那!」
デルフが工房の中に入ると、オーガ達が一斉に挨拶をする。 どうやらインデルバルの一件の話がもう既にオーガキング達から広まっているらしい。
「いや~、マジでスゲーよデルフさん! イルガディスは、また国一つ消し飛ばすほどの魔刀だったんだって!」
オーガの中でも一番の力持ちで腕力とデルフから呼ばれるオーガが言った。
「本当だぜ!何でもあの童話にも出てくる伝説の吸血鬼にも武器を作れとせがまれているらしいじゃないですか?」
オーガの一人、デルフから一角と呼ばれるオーガが興奮しながら言った。
「デルフの旦那、お前さんは今、魔族の中で注目の的だ! 皆、お前さんの事をこう呼んでいるよ。魔王の刀鍛冶とな。 一人の族長が羨ましいそうにしていたのが何とも言えないかったが、俺達の選んだ道は間違いではなかったと改めて実感したぞ!」
デルフが御頭と呼ぶ、工房のオーガのリーダーはとても嬉しそうにデルフの噂を語った。
「えっ!魔王の刀鍛冶何て!?そんな、まだ、ボクは…………」
「あっ!!どうしたんだ? 旦那?俺達にそんな実力差を見せ付けといて元気がねぇぞ!!」
最初にデルフをボコボコにしたオーガ、デルフが乱暴と呼ぶオーガが誉めているのか、怒っているのか分からないトーンで叫ぶ。
「ランボーさん、すみません……、直ぐに最上位吸血鬼様の魔武器を造らないといけないので、少し奥の部屋で一人にして下さい。」
「何だ?どうしたんだ? 武器を作るなら俺達も手伝うぜ!何でも言ってくれ!」
オーガ達は一段と気合いが入っている。
(あぁ、ただ一人になりたかっただけなのに……、考えていても仕方がないか、『正確無比かつ高火力の七発同時に放つ遠距離攻撃』これを再現するには、剣では駄目だ! 可能性が有るなら造るのは初めてだけどアレしか無いと思う。)
「おっ、おい!どうした考え混んで、俺達にやれることは何もねぇのか?」
「あっ、いえ、次の魔武器の構想を画いていたので、そうですね、でしたら今回集めた素材を見たいので持って来ては頂けませんか?」
「任せとけ!全て倉庫に詰め込んだ!今持って来させる。」
オカシラは他のオーガに素材を持って来るよう指示を出す。
素材を持って来る様に伝えてから少したった時、倉庫の方から爆発音が響き渡る。
「何だ!? どうした! 何が起こった!」
工房にいたオーガ達とデルフは慌て外へ飛び出すと、そこには火傷を負ったオーガを鷲掴みして、ゆっくりとデルフ達の方へ向かって来る黒い魔導機兵の姿があった。
「よくも、ボクにこの様な事をしてくれたな!!糞がぁ、魔素中毒症だと! 貴様らが馬鹿で良かった!ボクとゴーレムを一緒にしてくれる何てね、フッ、フッハハハァー貴様ら全員道連れにして殺るよ!!」
「アレはアダマンタイトだ! 何て量一体何tあるんだろ?」
デルフには目の前のゴーレムはアダマンタイトの塊にしか見えていない。
「危ない、デルフの旦那は逃げるんだ! ここは俺達オーガが何とかする!」
ゴーレムの右腕に魔素が集まり、その砲口はオーガ達に向けられた。




