表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デモンズ・スミス-魔王の刀鍛治-  作者: ウッチーG
第1章─魔刀作成編 ─
30/56

第三十話 獅子王なる武人

 


「すっ、すごいです魔王様!ライオット様から魔法道具(マジックアイテム)がどんどん送られて来ます。」


 少し怒っているのか、興奮しているデルフを横目にそれがどうしたという感じでスルーするガルディオン。


「これは紅蓮晶(クリムゾンライト)!?、温熱機(ヒーター)や加熱機器に使用しているのかな? うん?こっちは氷結晶(アイシクルライト)だ!冷蔵庫(コールダー)冷凍庫(フリーザー)かな?お!?白迅鉄(ホワイトソルバイト)と合わせて使用していたのかな?やっぱり冷凍庫(フリーザー)だ! しかし、凄いですよ!人間の魔法道具(マジックアイテム)には貴重な属性付きの魔鉱しかもかなり純度の高いモノが使われていますよ!!」


 目を輝かせてスクラップを物色していくデルフを見て、他のモノは何をそこまで興奮しているのかわからない様子だ。


「そうか、それでその珍しい魔鉱とやらは魔軍将達の武器に使えるのか?」


 ガルディオンが口を開く。


「はい!素材としては十分かと思います! いや~♪これだけ純度の高い属性付きの珍しい魔鉱を、魔素少ない人間の大陸でどうやってこんなに沢山集めたのか、そして人間の魔法道具(マジックアイテム)これは魔族が使う物よりずっと性能が良さそうですね! やっぱり、魔素が自由に使えない人間だからこそ、こうした魔法道具(マジックアイテム)の研究が進んでいるのですかね? あっそうか!そういえば、ガルシア師匠の書物にあった錬金術という方法の中に魔鉱の魔素量を上げる方法と書いてあったような……確か内容はとても難しいく失敗すればただの石ころになるとかだったような。 もし、簡単に魔鉱しかも属性付きの魔鉱の魔素量を引き上げれたとすれば、これは一気に皮金の素材不足の解消に繋がりますよ!!」


 デルフは弾丸のような早口でペラペラと呪文のように喋っている。


「そっ、そうか……ならよい。(よくわからんが、深く聞かんでもまあいいか。 あと、暗黒大陸(グリムデルム)を出るとやはり魔素の回復速度が落ちるなもう少し休んだら、フルパワーで魔刀(コイツ)を振るうとしよう。」


「これは、雷煌鉄(トールスタイト)!このビリビリとした感じ相当、雷の魔素を溜めているに違いない、おお!そして、魔素の吸収力と循環を助ける翡翠晶(ジェイドライト)これは……ぶつぶつぶつぶつ。」


 デルフの呪文(ソレ)は仕分けが全て終わるまで続くのだろうと、皆が呆れた様子で無視している。



*   *   *   *



「おい、どうする。あれは獣人……魔族がいるぞ。」


 霧がかかった見ずらい環境でその四人の若者達は皆が寝静まる民家に入っては何かしている獣人を追っている。


「奴は一匹のようだが、どうだ……見えるか?マルクス。」


 気が付かれないようにヒソヒソと話をする若者達。


「この霧はどうやら、魔素の感知を遮断しているらしい……俺の感知魔法(リサーチ)じゃ他に敵がいるかはわからない。 奴がこの霧を操っていないとすれば、どこか近くにいる可能は十分にあるな。」


「まっ、マルクス君がそう言うなら、しっ、慎重に動いた方がいいよね、あっ、あの魔族がもし上位魔族だったら僕達じゃあ敵わないよねノートン君……。」


「見る限り、アイツはどうやら魔法道具(マジックアイテム)を物色しているようだ……ニック、上位魔族が盗みをすると思うか? もし魔法道具(マジックアイテム)を集めているにしても普通はゴブリンみたいな下位の魔族や部下に任せるだろう? 少し体格はデカイが俺の読みだとアレは猫人族(ケット・シー)で間違いないだろう。」


 ノートンという青年は街灯を壊して袋に詰めている魔族の様子と微かに見える二又の尾を見て下位の魔族、猫人族(ケット・シー)だと推測した。


「ノートン、まさか俺達で奴を殺る気か? 確かにインデルバルから多くの兵士が駆り出されて今この国にいるのは魔法騎士(ソーサルナイト)が数人残るだけだと噂に聞いたが……とりあえずこの事を屯所に伝えに行った方がよくないか?」


「そっ、そうだよノートン君……ヤーン君の言うように屯所に行こうよ、僕達はまだインデルバルの兵士にも成れてないから勝手なことするとお兄さんに怒られちゃうよ……。」


 ヤーンという架台(がたい)のいい青年とニックという気弱そうな青年はこのパーティーのリーダーなのだろう青年ノートンに忠告する。


「確かに、俺達はまだ(・・)兵士でもないでも、俺らもやっと今年で18だ次の入団試験で必ず全員採用される為、箔を付けておく必要があると思わないか?」


 ノートンは悪い顔をしながら、三人を諭す。


「確かに……、でもなるべく戦闘は避けるべきだよ上位魔族が近くにいたら直ぐに逃げれるようにしとかないとこっちが殺られたら意味がない……俺がサイレスにすぐ気が付いて聴覚保護をお前らにかけれたから良かったがサキュバスはこの近くに必ずいるぞ。」


 マルクスは討伐ではなく撃退なら、と心が動くが他に魔族が彷徨いていることが確定している状態での不意討ちを示唆する。


「何弱気なこと言ってるんだ、もし中位悪魔(サキュバス)や上位魔族が来ても、こっちにはニックがいるんだニックの加護(スキル)があれば逃げることだって出来る、俺達は魔法騎士(ソーサルナイト)を目指してるんだろ、俺の兄貴の部隊は上位魔族の上位巨人族(ギガンテス)を仕留めたんだ。 俺達だって上位魔族にビビっていられるかよ……しかも相手は下位だ俺達なら必ず殺れる。」


 皆の顔つきが変わる、どうやらノートンの話に乗るらしい。


「覚悟は出来たか?」


 ノートン問いにマルクスとヤーンの二人が頷き、二人が頷いたのを見てから遅れてニックも頷いた。


「よし、いつも通りの作戦でいくぞ。 マルクスは後方支援を頼む、ヤーンは俺のサポートしつつ敵の注意を逸らしてくれ、そしてニック、お前は少し下がってマルクスを守りながら、敵に増援又は俺達がヤバい状況になった時すぐ加護(スキル)を発動してくれ……それじゃあ行くぞ!」


 ノートン、ヤーン、ニックは腰に携えた鉄製剣を抜き盾を構える、マルクスは魔法使い(ソーサラー)なのか、緑色の魔晶石が先端に付いたロッドを構え魔法道具(マジックアイテム)を漁る魔族の元へ駆け出す。

 

「おい!魔族何をしている!!」ノートンが剣を構え、威嚇する。


「何かコソコソしている者がいるとは思っていたが、出てきたか。」


 そこにいたのは黄金の鬣が威厳と威圧感を放つ、猫形の獣人だった。


「こっ、コソコソしているのはお前だろう!その魔法道具(マジックアイテム)をどうするつもりだ!(付けていたのがバレていた?……この風貌前に一度見た猫人族(ケット・シー)とは違う、まさか!上位か!)」


 ノートンは対面したからこそわかるその王者の風格に、自分の判断の甘さ噛みしめながら、震える声で虚勢を張る。


「ふん、参ったな観るところ(わっぱ)が四人……主君から任された任務は魔法道具(マジックアイテム)の回収であって人間の捕獲ではないのだがな。」


「何を言ってやがる!大人しくこの国から出て行けっ!さもないと━━━」


 口では敵を挑発しているが、剣を握るその手は強張りガタガタと震えている。


「ノートン君!ダメだ!!その魔族はヤバいよっ!逃げよう!」


 ニックが叫び、加護(スキル)を発動した彼のスキルそれは『投影(フェイカー)』ノートン、そして他の三人が数十人に増えて映し出された。


 ニックは恐怖で全身に力が入り動こうとしないノートンの腕を引き走り出すと同時に叫ぶ。


「屈折して!」


 すると、『投影(フェイカー)』によって産み出された分身はオリジナルの四人とは違う方向、バラバラに散り始めた。


「これは加護(スキル)!?、そうか(わっぱ)と遊んでいる時間はないと思ったが、加護(スキル)を持っているなら話は変わってくるな……千獣王拳(レギアエゼル)━━四肢の構え━━、とりあえず人数分の腕でいいか?」


 そう青年達が挑んだ相手こそ、まさに上位魔族の天辺とも言える魔王軍が幹部、魔軍将獅子王(レグルス)のライオットだった。


 ライオットは自らの腕を更に二本生やし、自らが編み出した武術『千獣王拳(レギアエゼル)』の構えをとる。


 インデルバルの青年達は二つの間違いを起こした。 何一つ危険のない、優秀な兵士や騎士に守られたこの国に生まれた者ならば、本当の強者(てき)にあったことの無い者ならば、その判断ミスは仕方の無いことなのかも知れない。 そう圧倒的な経験の無さから生まれた過ち、しかしそれはもう後戻りすることの出来ない後悔念すら掻き消されるほどの地獄絵図を生むこととなる━━━━





 インデルバルのくだりは30話で終わらせる予定でしたが、魔軍将を戦わせてみたくなったのであと2~3話続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ