第三話 素材集め
何だかんだで魔王の武器を制作することになってしまった小悪魔。
小悪魔の返答に魔王が追い打ちをかけるかの如く、プレッシャーをかける。
「そうか!失敗は許さん!必ず、成功させてみせよ!!
オレはこの傷を治しに向かうところがある。いいか!3日後に戻るそれまでにオレの振るえる武器を用意しろ。転送!」
すると、魔王は闇に包まれどこかに消えていった。
「どうする…時間がないぞ!!何から始める?」
小悪魔は軽く混乱して、周りに転がる魔軍将達を見渡す。
「まずは、素材選びからか…(死骸を漁るのはどうかと思うが)」
小悪魔は少し歩いたところにうつ伏せで倒れる魔物を転がした。
「こっ!これは竜人族のバッカス様だ!!ミスリルの防具にアダマンタイトの三又槍、魔族でありながら、あえてミスリルを着ているところがカッコいい!!鎧の装飾がとても気品が漂ういい代物だ!ミスリルは要らないがアダマンタイトは使えそうだ♪ついでに鱗と爪を貰っておこう!」
次々に散策していく小悪魔そのすぐ後ろに倒れる魔物に近づく。
「この方は!?悪魔貴族!吸血鬼のヴィシャス様、神聖剣ル・グラン何て魔剣だ!聖剣の浄化の能力も通用しない、不死の種族にすら死を与える魔剣…確かに神の成せる業なのかもしれない、あんな禍々しい声の聞こえる剣をいったい誰か作ったのか?はぁ!いけない!こんなこと考えてる暇はない!ヴィシャス様からは全てを貫き血を啜る牙と魔素の吸収力を高める翡翠晶で出来たイヤリングを!」
「これはデカい!!巨人族のアトラス様だ!下位巨人族とはその肉体の再生スピードが桁違いだと聞く、その血と肉を回収しておこう。装備は魔鉱そこそこの純度だが魔王様の武器には使えない。」
「この方は迷宮の番人の一人、牛頭族のザイロン様、他の魔族と比べるとそのポテンシャルは少し劣る牛頭族にも関わらず、魔軍将の中でも上位に入る強者だ!まさか迷宮から出てきていたとは、いやザイロン様まで殺られるとは…しかし、持っている武器これはガルシア様の魔武器の一つ『戦斧バルバドス』もちろん素材はオリハルコン、アダマンタイトより扱いずらいが、何より硬さがありながら衝撃にも強い、魔王様の武器には必要不可欠!!もっと欲しいなー」
最初は気乗りしなかったインプだったが、そこに倒れる魔軍将達と何より最高クラスの武器や装備を見つけることに、いつしか夢中になっていた。
死骸は塵と化していたが、上位死霊者のグリザルのオリハルコンで出来た杖、上位赤竜種のヴォルガードの火炎袋に逆鱗、上位黄竜種のフィンクスの黄金の角に逆鱗、上位合成獣種のナーバスの猛毒の牙に喉にある麻痺毒袋と次々と高価な素材を剥ぎ取っていく小悪魔。
そんな時、何かに脚をとられる小悪魔そこには、上位霊体しかもオリハルコンの鎧を核に生まれた精神体鎧のバルザークだった!
「わぁ!!バルザーク様!生きておいでで?」
「魔王様とお前の話し聞かせてもらった。あの聖剣、いや魔剣に鎧を貫かれてオレはもう動けん、いずれこの精神体であるオレは鎧から抜けて逝くだろう…だから頼む!!魔王様の盾として側にいた、このオレが魔王様を残して逝く訳には遺憾のだ!!このオレの鎧はオリハルコンの中でも魔素を多く取り込み純度も高純度の魔鉱に負けていない特別なオリハルコンだ、だからオレを魔王様の武器にして、く、れ…」
ガシャン、小悪魔脚を掴む手が崩れ落ちた。
「バルザーク様!あなたはそれをボクに伝えるために意識が遠退くのを抑え、ずっとボクが近づいて来るのを待っていたんですか!」
小悪魔の頬に涙がつたう。
「待っていて下さい!ここにいる死骸もきっと、あなたと同じ気持ちでしょう!あと、まる2日で必ず最強の魔剣を打ってみせます!」
小悪魔はすぐに集めた素材を台車に詰め込み、ガルシアの工房に運んで行った。




