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デモンズ・スミス-魔王の刀鍛治-  作者: ウッチーG
第1章─魔刀作成編 ─
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第二十三話 残された魔軍将《強者》(2)



「やれやれ、どつもこいつもあの場で臆して声も出せぬような御子様が主君(ガルディオン)の考えに口を出せる筈ないだろうが━━」


 その声の主はただそこに胡座をかいて、目を瞑り座っているだけだというのに周囲に放つ威圧感がヒシヒシと感じとれる。


 まさに強者(ツワモノ)、その姿は百獣の王を人形にした威風堂々とした容姿で個体数の少ない上位の魔族、獅子王(レグルス)のライオットだった。


 黄金に輝く(たてがみ)が隣にいる(ドラゴン)から、そよぐ風で美しくキラキラと輝く。 変わった所があるとするなら、その鍛え上げられた太い腕が6本も生えていることだけだ。


 すると、6本中4本の腕が身体に引っ込む。


 彼の腕それこそ彼の持つ加護(スキル)、【千手(エゼル・アムド)】だ。【再生】とは別で【増殖】の上位加護(スキル)にあたる。

無数の腕を生やすも戻すも自由自在、ライオットの変則的な近接攻撃に加え、得意とする雷属性の範囲魔法のコンボからは誰一人逃げることが出来ない。


「ライオット様の言うとおりです。ガルディオン様はとても思慮深い御方、その言動は先を見据えての事、私たちの考えなど遠く及ぶ筈もありませんわ。」


「新入りはあんな奴らばかりかと思ったが、少しは優秀な者もいるようだ。それには俺も同感だ!鬼姫(オーグレス)よ。 あの御方が興す事象に我々の考えなど必要無い! その行動に少しでも力添え出来れることこそ我らの誉れと思うべきだ。」


 褐色の肌の鬼人族(オーガ)とは似ても似つかぬ白い肌と美しい容姿したその者は、百年に一度生まれる希少種の鬼人族、鬼姫(オーグレス)のシアンだ。


 薄い水色の髪とアクアマリンのように透き通った瞳は油断をすれば吸い込まれてしまいそうなくらいに美しく輝く。


 シアンの吐く白い息は彼女の加護(スキル)、【凍結(フリーズド)】により、パキパキという音を立てながら小さな氷の結晶となり、落ちていく。 彼女が得意とする魔法は、加護(スキル)により五属性の概念から外れた、非常に珍しく神秘的な氷雪系の魔法だ。


「その呼び方は止めてもらえるかしらベリル様、私にはシアンと言うガルディオン様から頂いた愛おしい名、寵愛の証がありますゆえ。」


「寵愛の証?……これはすまなかったシアン、明日はオーガの軍勢にもインデルバルの周りを固めて貰わなくてはならない! 直ぐに準備を頼む。」


「ベリル様に言われずとも、ガルディオン様が私に求めることはわかっております! では、明日の仕度がありますので失礼しますわ♪」


 シアンは明日が待ちきれないという感じでウキウキしながら謁見の間(ヒルデガルデ)を出て行った。 


アレ(シアン)は何か勘違いしてはいないであろうか……」


 ベリルがボソッと呟いた。すると、その呟きを掻き消すほどに誰かが叫んだ。


「もぉ~限界だぁ~!!!」


 そう叫んだのはアトラスと同じ上位巨人族(ギガンテス)だが、一つ目の上位巨人族亜種(サイクロプス)のモノリスだった。


すると、小柄だったモノリスの身体がみるみるうちに膨れ上がり8~9メートルほどの巨体になった。、いつしか魔王に『デカイ邪魔だ!』と言われたことを気にしているらしく、魔王に合う時は必ず、自らに圧縮魔法(リコンプレス)をかけて約3メートルにまで身体を絞って来ている。

 3/1に身体を圧縮出来るのは一重に【超再生】の加護(スキル)のおかげであろうが、相当きつくその間、喋ることも出来ない。


「ぶはぁ~死ぬかと思ったぜ!!」


「止めればいいだろ、超ド級のM野郎が!召集された時にいつもプルプル震えやがって気持ち悪いんだよ気が散るわ!!グゥル~」


「俺様の勝手だろ!後、ウルズス!断じて俺様はMでは無くSだ!!」


「……どうでもいいわ。 お前らといると阿保が移る。」っとウルズスが呟き、呆れた様子で謁見の間(ヒルデガルデ)を出て行った。


 その腕力は人間など簡単に引き千切ることができるどろうが、モノリスの強みはそこでは無く【魔眼(モノアイ)】の加護(スキル)にある。 魔眼(モノアイ)は魔素を蓄積して、魔法の威力、魔力を上げる能力を持ち、シンプルにその一つ目から出す『破壊光線(レイ・デストラクション)』はミスリルの武具をも貫く。


「そんなことより、俺様はアトラスの敵を取ってやりたいと思っている、『タリタアーリアの人魔大戦』で魔王様が説いた不可侵条約を破り、奇襲をかけてきた人間共を根絶やしにしないと気が収まらねぇ、お前もそうだろ!なぁ、バイラス?」


「トモニ高ミマデ、高メアッタ友ガフタリ消エタ……シカシ、死シテナオ、魔王サマノ、武器トシテ、戦イ続ケル場ヲ、彼ラニオ与エニ、ナラレタ、魔王サマニ、感謝スルバカリダ!」


 人間や魔族とは違う声帯で無理やり声を出している、そんな硬質な声で答えたのは上位白竜種(サクソン)のバイラスだ。


 白銀に輝くとても硬そうな鱗には常に風を纏い、少しの所作でもその微風で埃が舞う。


「それで良いのかよ!! 四真竜将(クァドリガ)も残ったのは、お前(バイラス)と後は此処にいない死海(デッド・プール)ネクラな深海魚(リヴァイアサン)のラークだけだ!」


「アシタヲ待テバ魔王サマガ、我ガ友ヲフルイ、オマエノ望ミヲ叶ルダロウ━━」


 そう言うと、バサッと翼を広げ扉を通らず窓というのか柱と柱の隙間から、バイラスは飛び立って行った。


「インデルバルなんか、小国の一個や二個潰した所で家族(ツレ)を無くした俺様の怒りが治まるかよ……帰る。」


 モノリスも帰って行った。







 魔軍将達の容姿や装備、加護(スキル)等々色々(一人につき一話は)書きたいですが、多忙なため省きます。

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