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デモンズ・スミス-魔王の刀鍛治-  作者: ウッチーG
第1章─魔刀作成編 ─
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第十四話 次なる魔刀!でも素材が足りません!?


「さて、どうしようガルシア様も出て行ってしまった……残っている素材はゴブリン達に集めて貰ったヴォルガディスの破片と上位黄竜種(リンドヴォルム)フィンクス様の素材と上位混合獣種(アンフィスバエナ)ナーバス様の素材かぁ~、心金になる金属が圧倒的に足りないでも、魔王様の使う武器となると邪霊属性を吸収しやすい金属の中でも最高級のアダマンタイトかオリハルコンの二択しかない。 ハァー、ちょっとたたら場によって精製した鉱石が余ってないか聞くしかないかぁ~」


 魔剣や聖剣を造るにあたって初歩的な事としてその素材の色がある。火なら赤、水なら青、雷なら黄色、土から茶色、風なら白が一般的で邪霊属性は黒や金などの色に混じり安い例えばアダマンタイト、魔鉱、炭素鋼、金、オリハルコンなどで、神聖属性は透明、銀などの色に混じり安い例えばダイヤモンド、水晶、水、銀、プラチナ、ミスリル、鉄など。


 例外もあるが、最上級の聖剣ならミスリルの一択、魔剣ならアダマンタイトかオリハルコンの二択になる。


 二つの金属の特性としてアダマンタイトはとにかく硬い、オリハルコンは硬さと靭性に優れている。硬さを取ればアダマンタイト、硬さに加え欠けにくい剣を作りたければオリハルコンが適している。


 一見、オリハルコンの剣の方が良いように見えるが、オリハルコンはその扱いが難しく超高熱で加工しなければならない上に熱を加え過ぎれば、銅ど同等の硬さにまで落ちてしまう。 焼き戻しても元の硬さに戻る事はなく、せっかくのオリハルコンをダメにしてしまう鍛冶士も多くない。 それに比べてアダマンタイトは超高熱での加工は変わらないが繊細な熱調整を必要としない上に、その硬さ故に欠ける事があるが、相当な衝撃でも加えない限り欠ける事はないのだ。


デルフはとりあえず、今ある素材を作業台に並べて見た。すると……。


「嘘だ!こっこれは……ヴォルガディスが溶けてる!?」砕けた魔刀を見てデルフは驚く。


「ガルシア師匠の魔族・魔物図鑑によると赤竜種(レッドドラゴン)の火の息の火力は1000℃、ヴォルガード様は恐らく2000~3000℃位は出せていたと思う。 最上位黒竜種(ニーズヘッグ)の火力は4000℃を越えると書いてある。 ヴォルガディスはヴォルガード様の素材を軸に造ったつまり3000℃位には耐えれる筈、ということは魔王様の放った斬戟は火属性で最強と言われる伝説の魔竜である最上位黒竜種(ニーズヘッグ)と同等いや、それを越えていたかもしれないということか……」冷静に魔刀が溶けた原因を解析したデルフは、その魔王の強大な魔力に背筋がゾッとするのを感じた。


「ハァ、最大級の耐性を持たせた筈の魔刀(ヴォルガディス)を魔王様は自らの力で粉砕した。ボクは本当に折れない魔武器を造る事が出来るのかな? 水属性を使えば良かっのかな?でもあのときは手元に無かったし、力を殺して使う魔武器何てそんなもの造る訳にはいかないよ! 魔王様が最大の魔素を込めて振るえる魔刀……土属性かぁ、幸いに土属性は上位黄竜種(リンドヴォルム)フィンクス様の得意とする属性、ベースはフィンクス様で決まりだな。 溶けたオリハルコン部分は使えないから、やっぱりたたら場に行くしかないか!」デルフは工房のすぐ隣に建てられた鉱石を還元して精製するたたら場に向かった。


 

 扉を開けるとそこは体感で100℃を越えているかに思えるほどの熱気に水蒸気と湯気が立ち込め、中ではオーガ達がたたらを踏み、10分おきに交代して作業をしているようだった。


 デルフはたたら場の中に入ったが、悪魔であるデルフの皮膚も少しヒリヒリする位の暑さだった。


「すみません!ここにオリハルコンは余っていませんか? もしあれば分けて頂きたいのですが!」デルフはギシギシと鳴り止まない、たたらの音に負けないように大きな声で問いかけた。


 休憩しているオーガ達へのデルフの問いかけに対してオーガ達の反応は無い。


 一人のオーガは横に置いてあるだけで、カタカタと沸騰しているやかんのお湯を勢い良く飲んでいる。


「すみません!!オリハルコンを頂きたいのですがー!」デルフは聞こえていないと思い更に大きな声で問いかけた。


 すると、お湯を飲んでいたオーガがやかんを投げ飛ばし、デルフの首を締め、片手で持ち上げる。


「さっきから、うるさせぇだよ! 小悪魔(インプ)のお前にやる物なんかここには1つもねぇ!! ここにある素材や鉱石はガルシアの旦那の物だ糞野郎!!」


「ぐっ、がぁはっ、やめ、てっ、くださ、い。」デルフは首を締められながら足をばたつかせてもがき、声を絞り出す。


 そんな様子を見て、他のオーガ達はケラケラと笑っている。


「雑魚が!何がネームドだ! ガルシアの旦那は何でこんな奴を弟子にしたのか理解に苦しむぜ!もう二度とここに来るなよ!!」デルフの首締め持ち上げたオーガはデルフをたたら場の扉のところまで投げ飛ばし言った。


「がはぁっ、はぁーはぁー(やっぱり、こうなったか……)」デルフ首を抑えながらたたら場を後にした。


 インプであるデルフにはこんな状況は日常茶飯事だった。 そうガルシアの工房を見つけたあの時そうだったように……。

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