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【仕合いその2】来栖未来VS長岡亮平

「しかしここから来栖の立ち技の時間が訪れるか。長岡はサークリングしながら距離を取ります」

「来栖サウスポースタイルにスイッチしたね。彼は二刀流と言われてますから」

「と、言うのはレイナさん?」

「オーソドックスとサウスポーの構えを局面に応じてスイッチできる。だからディフェンスが対応しにくいし、打撃が読めなくなる。来栖の大きな武器だね」

「なるほど、それで二刀流ですね。その来栖が先ほどまでとは逆方向からプレッシャーをかけていきます」


《バシィッッ!》

「左ストレート!これは間一髪長岡がかわす」

「早いパンチだ、ここで見てるより長岡は早く感じてるはずだよ」

《パンパァンッ!》

「今度は右からのワンツー!ガードの上からですが当てていきました」

「さすがに来栖が打撃で試合を作り出したね。来栖のいわゆる『当て勘』は天性のものだから、これは怖いよ」

「レイナさん当て勘と言いますと、打撃をクリーンヒットさせる距離感覚、タイミング、角度などの総合的な能力のことですよね」

「そういうことだね。これはなかなかトレーニングで身につくものでもないから、やはり来栖は天才と言えるよね」

「なるほど、その来栖が拳を振り回す!」


《ウンッ!》《ガシッ!!》

「来栖の早い右フック!しかしこれに合わせてカウンターのタックル!左足を抱えながら右足を刈って強引にテイクダウン!」

「上手いね!そのまま上四方(※1)取ってるよ!」

《ゴォンッ!ゴォンッ!》

「膝2発!ガッチリと来栖の体を固定させながら、頭に膝を叩き下ろす!」

「危ない!逃げないと!来栖未経験の攻撃だね」

「基本的にグラウンドの膝が認められるルールは今他にないですからね。もちろん修斗でも禁止されています。来栖身をよじって何とかハーフガードの体制に戻す。しかしここからも右膝を打ち付ける!」

「しつこいね。グラウンドの膝は最もダメージの大きい攻撃と言われてるからね、危ないよ」

「来栖の表情はどうか。膝をくらった左のおでこのあたりが赤くなっています。上手く足を戻してガードポジション、両足で長岡の体をロックします」


《ガッ!ガッッ!!》

「今度は肘の連打だね!長岡止まらない!全く休まないね!」

「来栖たまらず足で突き放して距離を取り立ち上がる!両者の間に距離が生まれます、この激しい攻防にアリーナから大きな大きな拍手です!!」

「いやぁ、一試合目から凄い攻防だね!早くて強い!痺れるわ。スタンド、グラウンド、全局面で一発で終わる力をお互いに持ってる」

「それにしても戦前の予想を覆すような長岡の止まらない攻撃が凄いですね。修斗の未来が攻めきれません!」

「『武士道』のおもしろいところで、無差別だからね、来栖にとっては自分より明らかに体重が重い相手との対戦も初めてだろう。そのやりにくさは感じてるだろうね」

「そうですね、ここでは階級は守ってくれません。例え体重差があったとしても、それをスピードやテクニックで跳ね返していかなければいけない。本来の戦いの醍醐味が味わえる舞台です」

「うん、それに来栖の打撃は本来1階級も2階級も上の破壊力があるからね。どんどん打っていけば良いと思う」


《バシィッ!》

「来栖の切れ味鋭い左ミドル!」

「強い蹴りだ。そうですね、こんな感じでどんどん打っていけば良いと思いますよ」

《バシィッ!》《バシィッッ!!》

「もう一つ左!今度はスイッチして右!長岡下がります。打撃ではやはり来栖か」

《バシィッッ!!》

「おっと長岡の左インロー!来栖の足が大きく流れる!」

「こちらも強烈だね!長岡寝技だけじゃないね!」

《バシィッッ!!》

「もう一つ!来栖はこれ嫌ですね」

「もう何発かもらったら足にきますよ」


《バシッ!》《ガンッ!!》

「もう一つ!あぁ!!来栖カウンターの右ストレートー!!!」

「おぅ!!!」

「長岡フラッシュダウン(※2)!ローに上手く合わせました!会場がどよめく!」

《ズドンッ!!》

「来栖の踏みつけー!!」

「危ない!一気に行くか!」


《ガッシッ!》

「しかし長岡下から右足を取っている!左足を手で刈って再びグラウンドになだれ込む!そのままヒールホールド!」

「これ極まってるかな?来栖少しずつずらしてるか」

「ヒールホールドはどの部分が極まる技なんですか?」

「両足で足全体を固定して、肘の内側で踵をフックして両手をクラッチし、踵をひねり上げる危険な技だね。ロックされてる膝が極まっちゃう」

「来栖体全体で横に回転してフックを外しにかかる!長岡も回転してついていく!」

「お互い対応が早い!非常にレベルの高い攻防だね!」

「あぁ!フックが外れた!来栖が上になる!ガードポジション。いやぁ今極まってもおかしくなかったですね!」

「良く逃れたね。うん、立った方がいい。長岡は下からでも取りにくるからね」


「来栖が立ち上がり、長岡に立つように要求します。場内割れんばかりの拍手!いやぁ、この雰囲気は…あの時代を思い起こしますね」

「そうですね。ちょっと涙が出そうですね」

「はい…。しかし、来栖、何か先ほどまでとは違う、スイッチが入ったような表情ですね」

「目がギラギラしてるね。ゾクゾクするような…」

「前に前にプレッシャーをかける、少し長岡気迫に押されてるか」

《バシッ!》

「来栖の右ボディ!」

「早いね!うん、上下に打ち分けた方がいい、その方が顔のガードも空くから」

《ダンッッ!》

「長岡飛び膝!これは交代しながら来栖が上手くいなす」

《バシッッ!》

「また右ボディ!長岡の表情がゆがむ!」

「これは効いたね!一気にくるよ!」

《ガッ!ガッ!》

「左フック!長岡も右を返す!お互いにワンツー!もの凄い打ち合いです!」

「一発入ったら倒れるパンチだよ!長岡グラウンド行った方がいいかもしれない」


《ガシッ!》

「来栖の右に合わせて胴タックル!しかし来栖これを切る!」

「倒れない!見切っているね」

「もう一つ片足タックル!これも切る!長岡の表情に焦りの色が浮かぶ!」

「精神的に追い詰められましたね。長所を活かせない」

「両者足を止めて打ち合う!長岡もプライドを見せる!お互いの拳が顔面を捉える!」

「凄い打ち合いだ!意地と意地のぶつかり合いだね!」

「お互いのプライドやバックボーンをかけた殴り合い!


《ガッ!》《ガッ!》

「来栖の右!長岡の左!交差する!」

「長岡ちょっと下がってる…来栖止まらず前に行くね!」

《ガッ!ガッ!!ガッ!!!》

「右ストレート!左フック!!右アッパー!!!

「なんて早いコンビネーションだ!!」


《ズドンッッッ!!!》

「左ストレート!!!長岡の顎を捉える!!!長岡後方にダウンッ!!!!一気に来栖畳み掛ける!」

「おぉ!!!完全に効かされた!!!」

《ドンッ!ドンッ!!ドンッ!!!ドンッ!!!!》

「鉄槌!鉄槌!鉄槌!鉄槌!審判止めたー!!!!!!」

「強い!!!!!これが未来だ!!!!」


5分24秒、ノックアウト

勝者!!来栖未来!!!


※1 仰向けにした相手の頭側から相手に乗り被さり抑え込む体勢。


※2 強い衝撃により一瞬意識が飛んでダウンすること。


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