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【仕合いその1】来栖未来VS長岡亮平

「さぁ、『武士道』日本代表決定トーナメント一回戦の開幕です。実況は私田口、解説は桜木レイナさんでお届けいたします。レイナさん宜しくお願いします」

「お願いします。いやぁ…痺れる入場だったね」

「はい、Uのテーマが現代に蘇りました!アリーナも異様な雰囲気となってますね!」

「VTRもヒリヒリしたね。あの時代が戻ってきたって感じがするね!」

「本当そうですね!それはこのアリーナにいる全員が思っていることでしょう!胸のあたりが熱くなります。純白の舞台の上で、審判を介して向かい合う2人。来栖は俯きながら体を動かし、長岡はまっすぐに来栖を見つめています」


ー仕合い開始!ー

《ゴォォォンッッ!》


「さぁ鐘の音を合図に始まりました武士道第一試合、オーソドックススタイル(※1)で肩の力が抜けている感じの来栖に対して、長岡はしっかりガードを上げた形で間合いを測っています。レイナさんどうですかねこの仕合いのポイントとしては」

「そうですね、やはり打撃だと来栖のそれは圧倒的なので、長岡が得意のグラウンドにどう持ち込めるかできるか」

「一つ二つと軽く左のジャブで牽制する来栖。じわりじわりとプレッシャーをかけていきます。長岡はいわゆる回転体と呼ばれるそのスタイル。グラウンドでもどんどん動いていきますからね」

「えぇ、もちろん来栖はグラウンドも含めた総合力が高いので、数少ないチャンスで長岡が極め切れるか、注目だね」

「打・投・極の回転に対しての回転体というスタイル。どのように絡み合うか、目が離せません」


《ガァッシィッッ!!》

「いきなり長岡が入った!右ストレートを見せてからの片足タックル!」

「しかしこれは切ってるよ、反応早い」

「来栖が潰して上を取る!」

《ドンッッ!》

「右の強烈な鉄槌!あぁっと!長岡体をひねってリバース!上下の体勢が入れ替わる!」

「もう首取りにいってますよ!」

「下から再び返そうと懐に潜ってきた来栖の首を左脇で抱えるように締め上げる!どうだ極まっているか!?おぉ!来栖外してガードポジション(※2)に戻す!」

《ゴッッ!》

「鉄槌!上から長岡が左の拳を来栖の顔に振り下ろします。一発が強烈ですね」


《ガシィッ!》

「あぁ!来栖が長岡の左手を取っている!」

「下から腕十字(※3)!」

「鉄槌をキャッチしながら、流れるように右足を長岡の顔にかけて腕を伸ばしにかかります!」

「展開が早い!これ伸びたら極まるよ!」

《ギリッ!ギリッ!》

「伸ばせるか!長岡も必死で耐える!苦しそうだがどうか!?」

「これ伸びそうだね!」

「行けるか!あぁっと!一瞬の隙に一気に長岡が左腕を引き抜いた!そのまま立ち上がります!」

「抜いたねぇ!一瞬極まったかと思ったけどね」

「場内もどよめきが凄いですね!息を飲むような攻防でした。ここで少しペースが落ち着きますかね」

「いわゆる猪木アリ状態、背中を床につけた来栖が長岡を見上げる形だね」

「立ちの長岡が寝ている来栖の足を一つ二つと蹴り上げます」


「飛ぶよ!」

《ダンッッ!!!》

「おぉっ!長岡飛び込みながら右のパンチ!来栖の顔面を捉える!効いたか!?来栖一旦ガードポジションでホールドして落ち着かせます。少し驚いた表情を見せていますね」

「面食らったね、長岡が試合を動かしてる。逆に来栖はちょっと様子を見過ぎかもしれない」

「まだ強烈な来栖の打撃は見られません。長岡がそのままパスして右足を抜き、ハーフガード(※4)に移行します」

「グラウンドの安定感がやはりあるね。ここらへんはUWFの力を感じるよね。左腕取りに行ってるよ」

「長岡が来栖の左手首を右手でグリップし、腕の下を通すように左手を潜り込ませて自分の右手首を掴んでいます、アームバーを狙いに行ってますね、両手をそのまま伸ばせば来栖の肘が極まってしまいますがどうでしょうか」


《グッッ!!》

「一気に伸ばす!しかしこれは外れます!」

「下から良いタイミングで来栖が体を跳ね上げたね。その勢いでグリップが外れた」

「しかし長岡どんどん動きながら仕掛けます!止まりませんね!」

「無駄のない動き、非常に美しいムーブを見せてる。お、来栖また潜ってるね」

「足を抜き半身になりながら強引に立ち上がる!抱きつきクリンチ(※5)の体制に戻す!」


《ビシィッ!》

「離れ際に長岡左フック!来栖の鼻先をかすめる!」

「いやぁ長岡強い!来栖相手に一歩も退かないね!」

「むしろ来栖が押されているようにも見えます。さあ、ここから来栖どう巻き返していくか。それとも長岡がそれを許さないか。目が離せません」


※1 左側の手足を前に出し、利き手の右側の手足を後ろにする、右利きのボクサーの構え。


※2 仰向けの下の選手と向かい合った上の選手との間を下の選手が脚で隔てていたり両脚で上の選手の胴や脚を絡めている状態。


※3 相手の上腕部を自分の両脚で挟んで固定し、同時に相手手首を掴み背筋力で腕を伸ばす技。肘が可動部を超えて反対側に反り返る。


※4 ガードポジションの一種で上になっている選手の片脚が、下になっている選手の脚の間にある状態。


※5 相手に抱きつくように距離をつぶすこと。


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