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ファンタズム戦旅記  作者: 沫輝星
第一章「呼び声」
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第2話「出会い」


「………はぁぅぅぅ………」


帰り道。

陽香は歩きながら先ほどの出来事を思い返していた。

別に後悔をしている訳じゃない。

それははっきりと言える…言えるが……ちょっとやり過ぎたとは思っている。


「……………はぅぅ…………さすがに二刀流でやったのはまずったなぁ…」


やり過ぎたと思っているのは、その一点だった。

彼女に戦う術を教えた祖父とうさんは、無名流派ながらも現代において尋常ならざる対人戦闘を教えてくれたのだが……同時に1つの制約も教えられていた。


・『現代』において人に我が流派を使ってはならぬ。



「大体、『現代において』って………なによ??」

耳にタコが出来るほど聞いた制約を思い返しながら、そんな事を呟いた。


「…もう絶対知ってるよね……………り、理由を話せば許してくれるかなぁ……せめて減罰ぐらいなら…?」


彼女にとって師匠の時の祖父は畏怖の存在なので、帰るのが怖いのだ。




「フンフンフフ~ン………はむはむ……………ん?……およよ??」


ワタシこと片桐かたぎり 愛花まなかは、前方に見知った背中を見つけた。


(…なんか凹んでる?…くらぁい空気背負ってるにゃ~?………にゃらば!)


「はーるにゃーん!!」



突然後ろから聞き慣れた声が聞こえ振り返ると、クレープ片手に走ってくる愛花が居た。

が、明かにオーバースピード……突進して来ていた。


「………いやいや…まさか、ね?」


「はるにゃん! ……どぉーーん!!」


「わきゃ!!」

問答無用の減速無しだった。


「………うぅ~………イタタ………」


「えへへ。ゴメン!」


「……も~! いきなり何よ、愛花?」


「ん~? はるにゃん、元気なかったっぽいし。」


愛花は10年の付き合いで親友の子、年はひとつ下だから妹とも言える。

それにしても相変わらずだなぁって思う、彼女は私が失敗した時いつも近くに居てくれた。

そして、この天真爛漫な性格に何度となく元気をもらっている。


「で?…なにがあったの?」


「…………ぅん。………顧問の先生を……やっちゃった」


「わーそれはたいへーん。」


「棒読みやめて。」


「でも、凹んでるって事はあれでしょ?……おじさんが怒るようなことで、でしょ?」



突進から立ち直り歩きながら先ほどの事を話した。

そうしている内に先ほどまで悩んでいた事も、為るように為るしかないかなって思い始めた私は、せめてもの足掻きで愛花を誘って時間を潰すことにした。


「愛花、お茶して行こう!」


「うん、いいよ~行こー行こー!」




そうして喫茶店に着いた二人はそれぞれ注文した物を持ち、オープンテラスの席に移動した所で気付いた。

そこには異様に人だかりが出来ていたのだ。


「…人が沢山……なんだろう?」

「有名人かにゃ??…見てみよう!」


愛花が言うが早いか人だかりに紛れて行った、私はそう言うのに余り興味が無かったが愛花の後を追って人だかりに入っていく。

そこで見たのは二人の女性だった。

その二人の女性は、女の私から見てもとても美しかった。

ひとりは銀髪セミロングのとても落ち着いた雰囲気の女性で、それだけでも十分目立つのだが更に目立つのがもうひとりの方だった。

日の光を受けて輝く金髪にまるで人形の様な少女の顔立ちをしているのに、漂う雰囲気は大人の女性なのだ。


「……………………綺麗……」

自分で呟きその声で目を奪われていた事に気付いた私は、我にかえり愛花を探した。

愛花は直ぐに見つかったが、「はにゃ~…」と吐息を漏らしウットリしていた、集まって居た人達も皆一様に綺麗や素敵と同じ感想を呟いていた。


「……………………、…………………。」

「…………はい。」


小さな返事が聞こえ振り返ると注目の的になっていた二人のうち銀髪の女性が、こちらに近づいて来た。


(…………え?………あれ、こっちにきてる?)


そんな事を思っていると、銀髪の女性が私の前で立ち止まり

「…こちらへ、どうぞ」

と、言われたが訳が分からず戸惑いを表したら金髪の女性からも声をかけられた

「一緒にいかが?……久遠寺陽香さん?」


「…………………………ぇ?」


名前を呼ばれた?何故?二人は私を知ってる??……でも、私は知らない。…………どういう事?

私は混乱した。すごく。近くに居た愛花からも「はるにゃん、知り合い?」などと聞かれたが、私は二人を知らない。

時間にして5分ぐらいだろうか、銀髪の女性に

「さぁどうぞ。お友達の方もご一緒に。」

と、言われ手をとられ愛花と一緒に席に座らされていた。


「……フフ。………初めまして、久遠寺陽香さん。」


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