タイムリミット
朝の10秒間は、まさに戦場。
生理痛の重い体を押して挑む「朝のスピード勝負」の行方と、くだらない勝利にドヤ顔をする同居人・慎二とのコミカルな攻防をお楽しみください。
10……わたしは目を開け、上半身だけ飛び起きた。パジャマ代りに着ているスウェットのパンツを、脱ぎ掛ける。気分はHigh
9……サニタリーショーツが汗などで濡れてないか確かめながら、電気を点け、そしてスウェットのトップスを脱ぐ。脱ぐというより剥ぎ取る。そして、朝の第一歩を踏み出す。
8……キッチンに向かう。足元に放置してある慎二の剃刀やらタオルやらエアコンのリモコンを踏み潰さないように細心の注意を払いながら。
そして、水の入っていた薬缶でお湯を沸かし始める。
7……棚から食パンを出し、2枚取り出してオープントースターに入れ、ダイヤルを回す。それらの行動を1秒に凝縮させたのは立派か?
6……あ!と叫ぶ。今日は生理日だったと思い出したのだ。
『夜用朝まで安心』を取り出し、ショーツを半分下ろしてからそのクロッチ部に、貼り付ける。再びショーツを履いた頃には残り5秒経過していた。
4……授業中のあの生理痛の辛さを思い出し、突然憂鬱になる。慎二には、説明してもわからない痛みだ。
慎二の作業の進捗具合は?まだ寝ている。起きてもいない。
これは楽勝だわ。
3……慎二が掛け布団をがばっと持ち上げ、いきなり立ち上がる。
2……敗けたか?わたしは溜息をつく。
慎二は外出着のままお布団に入って寝ていたようだ。
1……「反則よ」
わたしは抗議する。
が、彼は勝ち誇ったようにニヤリと笑い、「ベッドに入った時点で勝負は始まってたんだよ」と言い放った。
生理の重い体を押してドタバタと準備した努力を笑われ、わたしは呆れつつも悔しさに唇を噛む。くだらない朝の敗北感とパンの焦げる匂いが、どんよりした気分を少しだけ吹き飛ばした。
【了】
最後までお読みいただきありがとうございました!
朝の10秒勝負、今回は慎二の反則級(?)な作戦に負けてしまいましたが、生理痛の重い朝でもこんなくだらない攻防があると少し心が軽くなる気がします。
少しでもクスッと笑っていただけたら嬉しいです。




