ショートかチーズかチョコか
短編です
皆さんは、シュレディンガーの猫と言う言葉を知っているだろうか。
私も詳しく知っているわけではないのだけれど、外から中を見られない箱の中に猫を入れて、そこに毒ガスだか、毒の入った餌だかを入れて、一定時間放置する。時間経過の後、箱を開けた時、猫はどうなっているだろうか、という思考実験の話だ。もちろん、猫を実際に閉じ込めて毒を与えると言うわけじゃない。どうなっているかを、考えようという思考の実験だったと思う。
結果としては、箱を開けるまでは猫が生きている状態と、死んでいる状態の二パターンが共存している状態にある。つまり、蓋を開けてみないことには結果はわからない、というものだ。たしか。
なぜシュレディンガーの猫についてここまで話したかって?今の私が、それと似たような状態にあるからだ。
受験シーズン真っただ中の今、私宛に来る封筒は、私が受験した学校からのものだ。試験はもう終わってしまったのだから、今更足掻いても仕方ないから、私は友人とカラオケに行った。二人でソワソワしつつ、歌を歌って気を紛らわしていた。
でも帰ったら、リビングのテーブルの上に、その封筒は鎮座していた。楽しかった気分は、一気に不安定な乱気流に突入した。あぁ、今の私には、合格している状態と不合格の状態の両方がある。心臓が高鳴っている。試験を受けるときより緊張しているかも。
「あら、お帰り。・・・封筒開けにくかったらお母さん開けてあげようか?」
いつもより上ずった声の母が、そう言った。ソレもありかと思ったけど、他人に開けられる方が不安が強い。
「いや・・・とりあえず荷物おいてくる」
私は何とか自室へ移動して、上着をハンガーにかけ、荷物を置いた。部屋着を引っ張り出して着替える。小さな時間稼ぎ。
2~3分で着替えが済んでしまった。もう封筒を開けるしかない。
のそのそと自室から出て、リビングに向かった。母は懸命に気にしていないふりをしながら、夕飯を作っている。でもそわそわしているのはわかる。
食卓の椅子に座って、はさみを手に持った。
「・・・・」
母が固唾をのむ音が聞こえる。
はさみを滑らせて、封筒を開けた。
「ふぅ~・・・」
心臓が未だ高鳴っている。中には紙が数枚とそれらが折れ曲がらない様に一緒にクリアファイルが入っている。ゆっくり中の物に手をかけた。
「ただいま」
心臓が今日一番高鳴った気がする。父はタイミングが良いような悪いような。
「びっくりさせないでよ」
「えぇ?・・・あぁ、封筒来たんだな」
父は素知らぬ顔で着替えのためにリビングを出て行ってしまった。
さて、気を取り直して・・・いざ・・・・
ゆっくり中身を引きだす。いつの間にか母がこっちを見ていた。
構わず中身に目を通す。一枚目は中身の目次だ。
ドキドキしながら一枚目を抜くと、二枚目の紙のど真ん中に“合格”と書いてあった。
思わず私は母を見た。母も私の顔から察したようで、私たちはリビングで抱き合った。泣きながら喜びを分かち合っていると、父が戻ってきた。
「良かったな、ほらこれ」
そう言って父が箱を置いた。私の好きなケーキ屋の箱だった。
——チョコレートケーキかどうかは、開けてみるまで分からない——
私はチョコケーキが好きです。でもコーヒー味系も好き。・・・・結局全部好きだなwww




