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遊ぶ兄弟

僕は湖畔の幽霊。

美術館裏の芝生の広場から毎日湖を眺めている。


今日も太陽がさんさんと輝いて、痛いくらいの日差しが湖に降り注ぐ。

美術館裏の広場には、一組の家族連れがピクニックをしていた。


30代半ばくらいの両親、そして小学6年生くらいの男の子と小学1年生くらいの男の子の兄弟だ。

兄弟は元気に芝生の広場で走り周り、その様子を両親が笑いながら追いかけている。

お兄ちゃんが弟を追いかけると、弟はキャキャキャと子供らしい声で逃げる。


その様子を眺めていると、自分にも弟がいたことを思い出す。

僕の弟は5歳年下だった。

ちょうど今、広場で遊んでいる兄弟くらいの年齢差だ。

ただ、僕は弟とちゃんと遊んだ記憶があまりない。

僕が小学生のころは、学校が終わると家の近くにある小さな公園に友達と集まって、かくれんぼや鬼ごっこをして遊んだ。弟が幼稚園生の頃は公園に一緒に行って、一緒に遊んだ記憶もある。


しかし、弟が小学校に入学してからは、弟と遊ぶこ機会はどんどん減っていった。

時間がなかったわけではなかったと思う。

彼が小学生になった後も、彼と同い年の小学生とは遊んでいた記憶がはっきりとある。

意地悪をしたかったわけでもない。

家で一緒に生活をしているのだから、わざわざ一緒に遊ぶ必要もないと思っていたのかもしれない。


そのうち、家でも彼とは遊ばなくなった。

彼が楽しいと感じる遊びは、6年生の僕にはあまりにもつまらなかったから。

12歳にもなってウルトラマンごっこは恥ずかしい。


共通の遊びでビデオゲームがあったけど、この年齢差があるとゲームの技術に差がありすぎて、喧嘩の原因になることが多くなった。

気が付けば彼とは家でもありまり会話をしなくなっていた。


--------

気が付くと兄弟は走り回るのをやめていた。

両親と一緒に木陰に入り、ランチバックからサンドイッチを取り出すところだった。

お兄ちゃんはお母さんからサンドイッチを受け取ると、まず最初に弟にそれを手渡した。

弟はニコニコとしながら、ありがとうとお礼を伝えている。


僕はこの家族の様子をみながら、温かい気持ちになると同時に少し寂しさを感じた。


弟は夢中でサンドイッチを頬張っている。

お兄ちゃんもサンドイッチを食べながら、その様子を横からじっと見ている。


お兄ちゃんもまだまだ子供だが、ちゃんと兄の顔をしていた。

僕はこんな風に兄の顔をしたことがあっただろうか。


僕は湖畔の幽霊。

美術館裏の芝生の広場から、遊ぶ兄弟を眺めている。

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